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イスラエルが直面 ガザ停戦をめぐり高まる圧力

2024年2月13日、イスラエル南部のガザ地区に向かって車両を走らせるイスラエル軍兵士(AP)
2024年2月13日、イスラエル南部のガザ地区に向かって車両を走らせるイスラエル軍兵士(AP)
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14 Feb 2024 10:02:04 GMT9
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  • パレスチナ保健省によると、イスラエルによる絶え間ない砲撃と地上攻撃により、ハマス支配下のガザでは攻撃開始以降少なくとも2万8473人が死亡し、そのほとんどが女性と子どもだという
  • ラファ上空に煙が立ち昇る中、アルジャジーラは、イスラエルの空爆で同局のジャーナリスト2人が重傷を負ったと伝えた

パレスチナ自治区ガザ地区:イスラエルは13日、国際的な圧力に直面している。ラファへの侵攻の準備を進める中で、ハマスとの停戦に同意するよう求める圧力が高まっているのだ。ラファはガザ南部にある人口が密集した都市であり、100万人を超えるパレスチナ人がそこで身動きが取れない状態になっている。

ウィリアム・バーンズCIA長官はモサドのデビッド・バルネア長官とカイロで会談し、カタールの仲介による案について新たな協議を行った。この案はハマスの人質解放と引き換えに戦闘を一時的に停止するというものだ。

この交渉にはカタール首相とエジプト政府高官も参加したが、交渉は「前向き」なものとなり、今後3日間続くものと見られるという。エジプト政府高官の発言を引用してエジプトのアルカヘラニュースが伝えた。

イスラエル軍がガザから人質2人を救出した次の日、残る人質の家族はカイロでの会談を前に、バルネア長官とイスラエルの代表団に対して悲痛に訴えかけた。「生存者も死者も、全員が帰宅できるまで帰ってこないでください」

イスラエルの運動団体「人質・行方不明者家族フォーラム」は、依然ガザにいると考えられる約130人の人質をとり返すために、あらゆる手段を尽くすよう政府に訴えてきた。イスラエルによれば、そのうち29人は死亡したとみられるという。

同フォーラムは、今回の交渉を「一生に一度の任務」と呼び「取引が成立することなく帰ってきてはならない」と述べた。

イスラエルの公式発表に基づいてAFP通信が集計したところでは、10月7日にハマスが行った前例のない規模の攻撃では武装勢力が約250人を人質に取り、この攻撃の結果イスラエルでは約1160人(ほとんどが民間人)が死亡した。

パレスチナ保健省によると、イスラエルによる絶え間ない砲撃と地上攻撃により、ハマス支配下のガザでは攻撃開始以降少なくとも2万8473人が死亡し、そのほとんどが女性と子どもだという。

アメリカと国連は、どこにも行き場がなくなったと訴える市民を守る計画も立てずにラファへの地上攻撃を行わないようイスラエルに対し警告していたが、そうした状況でカイロでの会談が設けられた。

ラファで緊張が高まる中、一部の住民は仮設テントを解体し、再び移動する準備を始めた。

「私たちは道端で寝ているんです。(テントに)屋根はないしナイロン製ですから、ミサイルが当たれば即死です」とガザに住むファイズ・アベドさんは語った。

12日にホワイトハウスでヨルダンのアブドゥラー国王と会談した後、ジョー・バイデン米大統領はラファの市民は「保護する必要がある」と語り、「危険にさらされ、被害を受ける可能性が高い」とした。

同国王は、4ヶ月以上続く戦争を終結させる「持続的な停戦」を求め、イスラエルによるラファへの攻撃は「新たな人道上の大惨事をもたらす」と警鐘を鳴らした。

先週(2月7日)ハマスの休戦条件を拒否したイスラエルは、12日未明にラファで急襲作戦を実行し、2人の人質(60歳のフェルナンド・シモン・マルマンさんと70歳のルイス・ハーさん)を解放し約100人を殺害した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの作戦を「完璧」だとたたえたが、パレスチナ外務省はガザ住人が数十人死亡したことを「虐殺」だとした。

類があまりない今回の救出作戦が実行されたのは、ネタニヤフ首相がバイデン大統領と会談し、バイデン大統領が改めてラファへの大規模攻撃に反対を表明した数時間後のことだった。

しかしネタニヤフ首相は、ラファにあるハマスの最後の軍事拠点を壊滅させない限り「完全な勝利」は達成できないと語った。

アメリカは、完全な停戦を支持することを繰り返し拒否して中東の同盟国を怒らせてきた。アメリカ政府はハマス撲滅を目指すイスラエルの支持を表明し、代わりに人質と囚人の交換を伴う短期間の停戦を要求してきたのだ。

あるハマス幹部はAFP通信に対し、カイロでの会談の結果が明らかになるのを待っているが、「侵略と戦争の終結を実現する取り組みについては、どんなものであっても話し合う用意がある」と語った。

ガザに住む240万人のうち半数以上がラファに避難し、エジプトとの国境で仮設キャンプに押し込まれて身動きが取れなくなっている。そこで彼らは肝炎や下痢が流行し、食料や水が不足する事態に直面している。

AFP通信は、今まで何度も家を追われた家族がテントを解体し、車やワゴン車で、あるいは馬車を使って避難していく様子を捉えた。

ネタニヤフ首相は、イスラエルは避難しようとする市民に「安全な回廊」を用意すると語っているが、外国政府やガザの住人、支援団体は、避難先があるのかどうか疑問視している。

「現在ガザに安全な場所はありません」と国連のステファン・デュジャリック報道官は述べた。

13日の「ウォールストリート・ジャーナル」の報道によれば、イスラエルは避難計画の一環として、ガザ南西部に15のキャンプ地を設けて、そのそれぞれに約2万5000のテントを用意することを提案しているという。

同紙はエジプト政府関係者の話として、キャンプと野戦病院はエジプトが設置・管理すると伝えているが、確認は取れていない。

ラファ上空に煙が立ち昇る中、アルジャジーラは、イスラエルの空爆で同局のジャーナリスト2人が重傷を負ったと伝えた

今回の戦争では、アルジャジーラの他のジャーナリスト2人が死亡し、ガザ支局長ワエル・ダハドゥーフ氏が負傷した。

イスラエル軍は13日、ガザでさらに3人の兵士が死亡したと発表し、10月27日の地上作戦開始以降の犠牲者は232人に達した。

またイスラエル軍によれば、ハーン・ユーニスで30人以上の「テロリスト」を殺害したという。ハーン・ユーニスは、ここ数週間激しい戦闘が続くガザ南部最大の都市だ。

ガザの国境地帯を訪れたヘルジ・ハレヴィ国防軍参謀総長は、イスラエル軍は「戦闘が長期間続くことを覚悟している」と語った。

「決意をもってハマスへの攻撃を続けなければ、人質の奪還は難しいだろう」と彼は語った。
マーティン・グリフィス人道問題担当国連事務次長は、イスラエルが計画しているラファへの軍事侵攻は「虐殺につながりかねない」と警鐘を鳴らした。

戦争の影響は広範囲に及んでおり、イランが支援するハマスの同盟勢力が関与する武力衝突が中東全域で急増している。

レバノンのヒズボラは、戦争開始以降ほぼ毎日イスラエルと砲撃の応酬を行っている。

13日、イランが支援する組織ヒズボラの指導者ナスララ師は、国境を越えた砲撃は「ガザへの攻撃が止まるまで」終わらないだろうと語った。

AFP

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