
ガザ地区:イスラエル・ハマス戦争の一時停止と残された人質の解放のためのカイロでの交渉の2日目となった2月14日、退避を余儀なくされたガザ地区の住民たちは、想定される、最後の避難場所であるラファに対するイスラエルによる攻撃に備えていた。
イスラエルの交渉担当者たちが2月13日に調停者たちと会談したことを受けて、ハマスの代表団がエジプトとカタールの調停者たちとの協議のためにエジプトの首都カイロに向かったと、あるハマス関係者がAFPに語った。
ガザ戦争におけるイスラエルの行為を率直に批判するトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も、2月14日にカイロでエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と会談の予定だ。
米CIAのウィリアム・バーンズ長官は、イスラエルの諜報機関モサドのダビデ・バルネア長官と会談を行った。エジプトのメディアは、概ね「前向き」な話し合いになったと報じた。
米国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は、交渉は「建設的かつ正しい方向に向かっています」と述べた。
調停者たちは、イスラエルが140万人以上のパレスチナ人たちが閉じ込められてしまっているガザ地区の最南端の都市ラファへとイスラエルが全面的な地上侵攻を実行する前に戦闘の一時停止を実現させようろと懸命の努力を続けている。
多数の民間人が犠牲者となる可能性を考慮し、既に4ヶ月間に及んでいる今回の戦争で未だ侵入していない最後の主要人口集中地への地上部隊の侵攻を控えるよう、緊密な関係を保っている複数の支持国からもイスラエルに対して緊急の要請が行われた。
最重要の支持国である米国は、民間人保護のための「信頼し得る計画」無しにラファへの地上作戦を後押しすることはない表明している。
ラファは、切実に必要とされている救援物資の主要な搬入口である。そのため、国連機関は、ラファへの地上攻撃が実行された場合には、人道上の災害が発生するとの警告を発している。
国連の人道問題担当責任者であるマーティン・グリフィス氏は、どのような軍事作戦も「虐殺に繋がり得る」と語った。
ラファの怯えた民間人たちは、絶望的な状況下に置かれながら、ただひたすらに安全を求めている。
ダナ・アブ・シャバンさんは、ラファとエジプトとの境界にある検問所近くで、「私の3人の子供たちは怪我をしています。どこへ行けば良いのでしょうか?」と語った。彼女は、包帯を巻いた息子たちと共に検問所を通過する事を望んでいる。
強まる圧力
パレスチナ民間人のために検問所を開放するよう、エジプトに対する圧力が高まっている。数十万人が、ラファとエジプトの境界近くの仮設キャンプを避難所とし、肝炎や下痢の発生、そして、食料や飲料水の不足に苦しんでいる。
しかし、ガザ地区の住民に対して、検問所は閉鎖されたままである。
「100日間、私たちは、検問所で、通過させて欲しい、私たちを助けるために何かして欲しいと懇願し続けています」と、ハビバ・ナクラさんは語った。
米国のジョー・バイデン大統領は、ラファの民間人は「危険にさらされて、脆弱な状態にあり」、「保護される必要があります」と語っている。
しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ラファを拠点としているハマスの大隊を壊滅させない限り「完全な勝利」は達成出来ないと述べている。
カイロでの停戦交渉が続く一方で、イスラエル軍はガザ地区への攻撃を継続している。ハマス支配地域の保健省は、2月14日、104人が一晩で殺害されたと発表した。
2月13日遅くに、イスラエル軍は、今回の戦争の端緒となった10月7日のハマスによるイスラエルへの襲撃から数日後、ガザ地区のハマスの指導者ヤヒヤ・シンワル氏と家族がトンネルを通って逃げる様子を捉えた監視カメラのものとされる動画を公開した。
「生死を問わず身柄を確保するまでシンワルの捜索を続ける」と、イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は記者たちに語った。
ラファのガザ地区住民の一部は、さらなる退避を行う準備のために既に所持品をまとめている。他方、空爆で焼野原となった故郷でさらに悲惨な運命に見舞われることを恐れて、現在の場所に留まると決意した人々もいる。
アハラム・アブ・アシさんは、ガザ市に残った親族が陥っている飢餓のような状況に戻るくらいならばラファで「死んだ方がまだましです」と語った。
「私の息子や彼の子供たちには食べ物が何もないのです。皆で一握りの米を炊いて、翌日のために保存しています」と、アシさんはAFPに語った。「孫が空腹で泣いています」
イスラエルの公式統計に基づくAFPの集計では、戦争の契機となったハマスによる襲撃で、イスラエルでは約1,160人が死亡し、その大半は民間人だった。
ガザ地区の保健省によると、イスラエルの報復により、少なくとも28,473人がこれまでに殺害され、その大半が女性と子供だという。
パレスチナの武装組織による襲撃の際に拉致され人質となったとされている推定250人の内、約130人は依然としてガザ地区に残っていると考えられている。イスラエル政府は、その内29人は死亡したと推定されると発表した。
カイロでの停戦交渉に先立って、イスラエルの運動組織「人質・行方不明家族フォーラム」は、イスラエル諜報特務庁(モサド)長官に、停戦交渉に当るイスラエル代表団を「合意なしに帰国させないように」との嘆願書を送付した。
米国の国家安全保障会議のカービー報道官は、米国人の人質たちが依然として生存していると思っているかと記者たちに問われ、「それに反する情報は有りません」と返答した。
AFP