


エルサレム:いまもガザ地区で拘束されている人質解放のための交渉が続いているが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とベザレル・スモトリッチ財務大臣は20日、イスラエルが人質の帰還のためにいかなる代償も払うことはないと発言した。
ガザに残されている134人の人質について問われたスモトリッチ氏は「カン・ラジオ」で、人質の帰還は「非常に重要」だが、人質解放のために「いかなる代償を払う」ことはないと発言した。
同氏は、ガザ地区への軍事的圧力を段階的に強めて、この封鎖された地区を統治する武装組織ハマスに勝利することが、人質解放に至る道筋と述べた。
野党指導者のヤイール・ラピード氏やベニー・ガンツ大臣は同氏の発言を非難し、人質解放のために取引をするよう政府への圧力を強めようとしている一部の人質家族からも怒りの声が上がった。
しかし、スモトリッチ氏のラジオでの発言の直後、ネタニヤフ首相府は同氏の発言に同調する声明を発表した。
「代償を厭わぬ人質解放のための取引を含む、我々の目標がすべて達成される前に停戦するようにと、国内外からイスラエルに大きな圧力がかかっている」とネタニヤフ首相は述べた。「我々はいかなる代償も払うことはない。イスラエル国家の敗北を意味する、ハマスが我々に要求する妄想的な代償を払うことはない」
この発言が発表された時、米国は停戦と人質解放の仲介に努めている米国、エジプト、イスラエル、カタール間での協議を継続するため、中東特使を同地域に派遣する予定をしていた。
イスラエルによると、ハマスが主導した10月7日のイスラエルの町への攻撃で、1200人が殺害され、253人以上がガザ地区に連れ去られたという。パレスチナ当局によると、その後のイスラエルによる空、陸、海からの攻撃で約2万9000人のパレスチナ人が殺害され、数千人以上が瓦礫の下敷きとなり、ガザ地区の大部分が破壊された。
これまでで最大の人質解放は11月に一度だけ、交渉による1週間の一時停戦中に行われた。この時、ハマスが拘束していた110人のイスラエル人と外国人を解放した。
ロイター