• 米国中央郡によれば、ルビーマール号からの燃料流出により、紅海に全長29kmの油膜が形成されている
• イエメン政府は国際社会に迅速な対応を求めた

サイード・アル・バタティ

アル・ムカッラー：イエメンの国際的に認められた政府は、フーシ派の貨物船攻撃により紅海で石油流出が起こっており、化学物質漏洩のおそれもあるとして、国際社会に支援を要請した。

米国中央軍は23日に声明を発表し、先週フーシ派の攻撃を受けて船員が退避した貨物船ルビーマール号から燃料が流出しており、紅海に全長29kmの油膜が形成されていると述べた。

レバノンが運行する英国所有ベリーズ船籍の同船舶には、4万1000トンの肥料が積まれており、海洋への漏洩によって環境災害が生じるおそれがあると、声明は指摘した。

イエメンの国営通信社SABAによると、アフメド・アワド・ビン・ムバラク首相は緊急対応委員会を組織し、他国と環境保護団体に紅海における生態系被害を防ぐための協力を要請した。

イエメン政府は国際社会に対し、同船舶に積まれた「大量の」肥料とアンモニアが海洋に流出する事態を防ぐための迅速な対応を促すとともに、ルビーマール号は攻撃を受けて放棄され、現在はハニシュ諸島の南にあると補足した。

サヌアでは、フーシ派がルビーマール号の事故の責任は米国と英国にあると非難し、標的となった船舶は警告を無視し、かれら武装勢力が課したイスラエルへの禁輸措置を破ったと批判した。

「われわれの軍事行動の目的はイスラエルに向かう船舶の針路調整であり、拿捕、迂回、撃沈ではない。にもかかわらず、米国と英国はイスラエルへの部分的禁輸措置を破りつづけ、それがエスカレーションを引き起こしている」と、フーシ派指導者のモハメド・アル・ブハイティ氏はXに投稿した。

昨年11月以降、フーシ派は紅海、バブ・エル・マンデブ海峡、アデン湾で1隻の商船を拿捕し、商船や軍艦を標的として数百回のドローンおよびミサイル攻撃を繰り返すことで、イスラエルと関連する船舶の紅海航行を妨害してきた。

同武装勢力は、作戦の目的はイスラエルにガザ地区の封鎖を解かせることであるとする。

フーシ派による紅海での船舶攻撃を受け、米国は同盟国とともに紅海を守ることを掲げ、イエメンのフーシ派支配地域に数百回の空爆をおこなった。

24日、中央軍はイエメンから米国海軍および海外の商船に向けて発射が準備されていた、フーシ派の移動型対艦巡航ミサイル7基を破壊したと発表した。

米英軍の大規模空爆にもかかわらず、フーシ派はイスラエルがガザ地区への人道支援物資供給を認めないかぎり、紅海での船舶攻撃をやめないと宣言している。

イエメンの専門家グループは米国に、フーシ派の紅海での軍事行動を止めるため、イエメン政府に軍事支援を提供するよう促した。

ワシントンDCに拠点を置くシンクタンクのアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所のレポートのなかで、ナドワ・アル・ダウサリ氏、ケイシー・クームズ氏、イブラヒム・ジャラル氏、ケネス・M・ポラック氏、バラー・シバン氏、キャサリン・ジマーマン氏は、米英の空爆がフーシ派の紅海での軍事作戦を終わらせるうえで果たして有効なのか疑問を呈した。

空爆によってフーシ派の攻撃の頻度と強度は下がったものの、米国はイエメン政府軍に武装と訓練を実施し、かれらが武装勢力を制圧できるよう協力しなくてはならないと、かれらは論じた。

「米国は自身がイエメンに認める政府を全面支援し、フーシ派との紛争に勝利するうえで必要な手段を提供すべきである」と、著者らは述べた。「内戦の文脈においては、フーシ派を弱体化させることこそが、かれらがイエメンにおける権力組織として地位を固め、海事も含めて対外的に力をつけていくことを防ぐ唯一の方法だ」

「直接的な脅威にさらされ、敗色濃厚とならないかぎり、フーシ派が、そしておそらく裏で糸を引くイランが、自身の行動を見直すことはないだろう」