
ロンドン:米国務省安全保障人権局の元局長は、ジョー・バイデン大統領のガザ政策を理由に、局内のムードはイラク戦争時よりも悪化していると主張した。
チャールズ・ブラハ氏はインディペンデント紙に、「これほどの反対意見は今までにない」と語り、こう続けた「32年間国務省にいたが、イラク戦争中も含めて、これほどの不幸は経験しことがない。イラク戦争時よりもひどい状況だ。それゆえ、職員は心配している」
イスラエルに対しては、6カ月目に入ったガザでの軍事作戦の中止を求める圧力が高まっており、バイデン政権はイスラエルを支援し続けているとして批判されている。
その批判は、今月初めに米国市民を含む7名の援助活動家が誤爆された後、さらに高まっている。昨年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃して以来、この紛争で約33,000人のパレスチナ人が死亡したと伝えられている。
ホワイトハウスは最近、イスラエルへの新たな爆弾の納入を承認し、イスラエル軍に戦闘機やその他の装備を売却する180億ドルの契約を検討している。
ガザにおける「政策決定に関し人道的配慮を考慮しようとしない前代未聞の姿勢」を問題視し、国務省政治軍事局の議会・広報部長を辞任したジョシュ・ポール氏は、インディペンデント紙に、「国務省内の不満は高まっており、ホワイトハウスの姿勢に批判的な少なくとも7つの内部情報を把握している」と語った。
「ここ数週間、我々が目のあたりにしているガザの状況下で、武器輸出に関する省内の動きや進め方に深く憤慨し、恐怖を感じている内部の職員から、さらに批判が高まっている。私の印象では、物事をより良い方向に進めようとする職員が大勢いる。そして、『傍観』するだけの職員も、おそらくもっと大勢いる。そのような議論を行う意志がないことは、イスラエルの安全保障に対する私たちのコミットメントの証拠ではない。政治的に都合がよければ、道徳観念を放棄し、ガザの何百万もの人々の苦しみから目を背けようという意思の証明なのだ」と、同氏は続けた。
イスラエルへの武装をめぐって「この政権とはもう関わりたくない」という理由で国務省を辞職したアネル・シェライン氏も、ナショナル紙にこう語っている「国務省内には、今回の事態に心を痛めている職員が大勢いた」
元国務省法律顧問のブライアン・フィヌケーン氏は、インディペンデント紙にこう語った「10月以来、ガザやイスラエル・パレスチナ問題全般に関する国務省の分析や政策提言と、ホワイトハウスが最終的に下す決定との間には、大きな乖離がある」
戦争法、戦争犯罪、武器移転に関する問題への助言を専門とするフィヌケーン氏は、「大統領は最終的な決定者であり、ガザの悲惨な紛争の実態にほぼ無関心だった。少なくとも提言された政策は対照的だった」と続けた。
アントニー・ブリンケン国務長官は11月、職員に宛てた書簡で、内部の不満にこう答えた「多くの職員にとって、この危機が個人的に深刻な打撃となっていると承知しています」
ロイター通信が報じた書簡で、ブリンケン氏はこう続けた「この戦争で苦しんでいる乳児、子供、老人、女性、その他の一般市民の姿を毎日目にする苦悩は、身につまされるものです。私自身も実感しています」
木曜に行われたバイデン大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との電話会談で、米国の今後のガザ政策は、イスラエルが「民間人の被害、人道的苦痛、援助関係者の安全に保護するための、具体的で実現可能な一連の措置」を発表し、実施することによって決定する、と大統領は警告したと伝えられている。