
ナジア・フサーリ
ベイルート:レバノン政府は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ナイジェリア、コートジボワールからの同国民の帰国援助策を日曜日から実施すると明らかにした。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延阻止のための旅行制限により海外で身動きが取れなくなっている何千人もの国外滞在者を帰国させるレバノン政府の計画は、ウイルス感染の検査手順への懸念、また対象となる帰国者が多数に上るため、遅れが生じている。
隔離・検疫センターが帰国者の収容に割り当てられている地域のレバノン人住民からは、健康に対する危険を恐れる声もあがっている。
レバノンのナシーフ・ヒッティ外相は、この海外滞在者の帰国計画の日曜日開始を発表するに際して、次のように述べている:「ミドル・イースト航空(MEA)の航空機を4機を使って、希望する国民が(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ナイジェリア、コートジボワールから)帰国できるようにします」
「ウイルスの感染拡大のため、影響を受けている諸国は困難な課題に直面しています。こうした困難のために関係手続きが遅れた場合、帰国措置は火曜日まで遅れる可能性もあります。」
ヒッティ外相はまた、以下のように説明した:「航空機には医療チームが搭乗し、手続きを監督します。搭乗を望む方は全員、健康であることを確認する検査を受けていただきます。その後、ベイルートのラフィク・ハリリ国際空港に到着次第、再び検査があります」
「検査結果が陽性だった場合は病院に移送されますが、結果が陰性であれば、隔離施設に移送され、そこで2週間を過ごしていただきます。」
ミドル・イースト航空は声明の中で、「海外諸国のレバノン大使館が作成したリストに名前がある、レバノンへの帰国を希望する方々は、当該国の事務所に連絡してチケットの予約、受け取りを行ってください」と述べた。
乗機許可には、必須の医療用調査票に記入し、レバノン保健省([email protected])にメールで送付する必要があることも、同航空は説明した。
レバノンのヒズボラとアマルは、帰国者の隔離用の建物を確保するため努力してきたが、安全性の保証がされているにもかかわらず、多くの地域は、海外からの帰国者たちがやって来ることで、キラーウイルスの蔓延が加速する危険があるのではないかという警戒を解いていない。
匿名を希望したあるナバティエの住民は、アラブニュースの取材に対して次のように語っている:「彼らは、戻ってきた人々を隔離するのに、この地域の廃業したホテルを用意していると言っていました。でもそのホテルは、彼らが言うような大人数の帰国者を収容できるようなものではありません」
「その上、私たちには取るべき予防策が正しいものなのかどうかも知らないのです。この地域では一般動員はきちんと守られていません。帰国者たちがここに来るとすると、彼らの一部は政治的に保護を受けていることを考えれば、いったいどんな状況になってしまうのでしょうか?」
レバノンで確認された新型コロナウイルスの感染者数は金曜日には508名に達し、総死者数は1名から17名に増加した。レバノンの保健省によると、過去24時間にウイルスの検査を受けた644名が結果を待っている状況だ。
レバノン各地のモスクでの金曜日の礼拝は、イマームたちが信者たちに自宅にとどまるようモスクの尖塔から呼びかけを行う中、宗教当局によってキャンセルされた。
これまでのところ、レバノンの治安部隊は、夜間外出禁止令を含む国の一般動員規則に違反している人々に対して3,511枚の違反切符を発行している。レバノン軍はソーシャルメディアを使用して、人々に自宅に留まるよう再度促し、新型コロナウイルスへの感染拡大を防止するため政府が導入した措置に違反しないよう呼びかけた。
こうした状況の中、人々をはげまそうと、国立オーケストラのメンバー30名が演奏した、レバノンの歌手・ファイルーズの曲「レバノン、アイ・ラブ・ユー」のビデオが、レバノンのソーシャルメディアで旋風を巻き起こした。演者たちはそれぞれ自宅からビデオ会議ツールを使用して演奏を同期した。合唱団も参加し、著名な音楽家、アンドレ・ハッジがリーダーを務めた。