カイロ:9月中旬以来、イスラエルとレバノンのヒズボラとのほぼ1年にわたる紛争は、目まぐるしい勢いでエスカレートしている。
まず、ヒズボラが使用していたポケベルとトランシーバーが2日間に渡り爆発した。この攻撃はイスラエルによるものとされ、少なくとも39人が死亡、数千人が負傷した。
ヒズボラの指導者は報復を誓い、9月20日には武装集団がイスラエル北部にロケット弾を打ち込んだ。それ以来、双方は連日何十発ものロケット弾を撃ち込み、北部では数十万人のイスラエル人が防空壕に避難し、ヒズボラが強い影響力を持つレバノン南部の一部では数万人が家を捨てて避難を余儀なくされている。
国連によると、ここ数日で9万人以上のレバノン人が避難を余儀なくされている。
レバノン政府は、月曜日のイスラエルによる空爆により560人以上のレバノン人が死亡、2000人近くが負傷したと発表した。これは2006年のイスラエル・ヒズボラ戦争以来、最悪の攻撃である。
ヒズボラの複数の指導者が攻撃の標的となり、その中にはベイルートでの空爆で死亡したヒズボラの最精鋭部隊の司令官も含まれている。
米国、フランス、その他の同盟国は、この紛争において「外交の余地を確保するため」に「即時」21日間の停戦を共同で呼びかけた。ガザ地区での戦争によってすでに揺らいでいるこの地域をさらに不安定化させるような、イスラエルとヒズボラとの全面戦争に発展するのではないかという懸念が高まっているためだ。双方とも、そのような事態は望んでいないと述べているが、より激しい攻撃を行うと威嚇している。
イスラエルとヒズボラは、イスラエルとハマスの戦争が始まって以来、互いに繰り返し攻撃を行ってきたが、報復の連鎖が制御不能に陥る寸前になると、米国とその同盟国からの強い圧力を受けて、双方とも攻撃を中止してきた。しかしここ数週間、イスラエルの指導者たちは、レバノンからの攻撃を阻止し、戦闘によって避難を余儀なくされた数十万のイスラエル人が国境付近の自宅に戻れるよう、より大規模な軍事作戦を行う可能性を示唆している。
この状況について、いくつか知っておくべきことを以下に挙げる。
最新の攻撃はどのようなものだったのか?
イスラエルは、テルアビブを標的とした地対地ミサイルを迎撃したと発表した。ヒズボラは、イスラエルのモサド情報機関の本部を標的としたカダー1弾道ミサイルを発射したと発表した。
イスラエル軍は、レバノンから発射された弾体がイスラエル中央部に到達したのは今回が初めてだと発表したが、ヒズボラは8月にもテルアビブ近郊の諜報基地を標的にしたと主張している。この主張は確認されていない。
イスラエルは水曜日に、レバノン国内のヒズボラの標的280箇所を空軍が攻撃したと発表した。レバノンの保健大臣は、今回のイスラエルの攻撃により70人以上が死亡し、数百人が負傷したと述べた。この数字を合わせると、3日間で630人以上のレバノン人が死亡したことになる。
イスラエル北部にヒズボラのロケット弾数十発が発射され、破片により2人のイスラエル人が負傷したと軍が発表した。
国境の状況は?
イスラエルとレバノンの国境では、10月7日にイスラエルとハマスの戦闘が始まって以来、ほぼ毎日衝突が起こっており、レバノンでは630人以上、イスラエルでは約50人の兵士と民間人が死亡している。国境の両側で、何万人もの人々が避難を余儀なくされている。
ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師は、電子機器爆弾テロへの報復を約束した。しかし、ヒズボラはさらなる危機を煽ることを警戒している。
ヒズボラは、イスラエルへの攻撃を拡大して、その大胆な攻撃に対抗する一方で、全面戦争の引き金となりかねない民間地域への大規模な攻撃を回避するという、難しいバランスを保たなければならない。
ヒズボラは、イスラエルに対する攻撃は同盟国であるハマスを支援するためのものだと主張している。 ナスララ師は、イスラエルのガザ地区での作戦が終了するまで、攻撃は継続し、イスラエル人は北部の自宅に戻ることができないだろうと述べた。
米国務長官のアンソニー・ブリンケン氏は水曜日、NBCニュースに対し、米国はイスラエルとヒズボラ間の緊張を緩和するための外交的合意に向けて取り組んでいると語った。
イスラエルはどのような計画を立てているのだろうか?
イスラエル政府高官は、ヒズボラに対する軍事作戦の拡大について、まだ公式な決定は下していないと述べ、その作戦がどのようなものになるかについても公には明らかにしていない。
イスラエル北部軍司令官は地元メディアの取材に対し、レバノンへの地上侵攻を主張する発言をしたと報じられている。また、イスラエル軍参謀総長のヘルツィ・ハレビ中将は水曜日、北部国境に配備されている部隊に対し、現在行われている空爆は「部隊の進攻に備え、ヒズボラを弱体化し続けるため」のものであると述べた。
さらにハレビ氏は、「本日遅くには、非常に強い反撃を受けることになるだろう。準備しておくがいい」と続けた。
一方、ガザ地区での戦闘が減速する中、イスラエルはレバノン国境沿いに軍を増強し、数千人の兵力を擁すると思われる強力な軍団も到着した。そして水曜日、イスラエルは北部での任務のために予備役の2個旅団をさらに展開すると発表した。
本格的な戦争が勃発した場合の影響はどのようなものだろうか?
新たな戦争は、2006年の戦争よりもさらに悲惨なものになる可能性がある。この戦争は双方にとって十分なトラウマとなり、それ以来、抑止力として機能してきた。この戦闘により、ヒズボラの戦闘員数百人と推定1,100人のレバノン市民が死亡し、南部とベイルートの一部は廃墟と化した。イスラエル軍兵士120人以上が死亡し、数百人が負傷した。ヒズボラによるイスラエル都市部へのミサイル攻撃により、数十人の市民が死亡した。
イスラエルは、ヒズボラが約15万発のロケットやミサイルを保有しており、その一部は精密誘導式で、イスラエル全土を射程に収めていると推定している。イスラエルは防空体制を強化しているが、新たな戦争の激しい砲撃から防衛できるかどうかは不明である。
イスラエルは、ヒズボラが国境沿いにロケットや武器、軍隊を配置しているとして、レバノン南部を戦闘地域に変える可能性があると述べている。また、ここ数か月の過激な論調の高まりの中で、イスラエルの政治家たちは、レバノンにガザで軍が引き起こしたのと同じような被害を与えると発言している。
AP