
サイード・アル=バターティー
【ムカッラー】スパイ容疑で11日に死刑判決の出た4人のイエメン人ジャーナリストへの処刑をめぐり、フーシ派に対する撤回圧力が高まりつつある。
4人は2015年初めにフーシ派に勾留された10人のジャーナリストらの一部。当時フーシ派はサヌアとイエメン各州で統制を強めていた。
国連のマーティン・グリフィス・イエメン担当特使とイエメン下院議長のスルターン・アル=バラカーニー氏は、フーシ派による裁判は「事態を悪化させるだけ」だとする。「国際社会が承認するイエメン政府」と「反乱軍(フーシ派)」の間で取り持たれた捕虜交換に関する以前の合意を反故にするものだからだ。
「最低限の品位のかけらもなく、無辜の人びとをなみするこうした裁判をわれわれは非難する。国際社会の圧力でフーシ派がこうした三文芝居をやめるよう、イエメン政府としても働きかけているところだ」。イエメンのサーリム・アル=ハンバシー副首相は本紙に対しこう語る。
勾留されたジャーナリストらの親族や人権団体なども、さらなる圧力のもとで死刑判決を取り下げさせるよう求めている。
イエメン国営通信(SABA)によると、サウジ主導のイエメン停戦協定履行のため同国で調停中のグリフィス特使のもとをアル=バラカーニー議長が訪れ、同特使の介入によりフーシ派が裁判結果を覆し戦争状態に終止符を打つことを求めたとされる。
「まさに事態を悪化させるだけであり、いかにフーシ派が安保理や国連決議、また被勾留者・囚人・ジャーナリストおよび個人と家族の自由にまつわる国際協定を歯牙にもかけていないかの表われでもある」。アル=バラカーニー議長の書簡にはそうしたためてある。
フーシ派が法廷を使って旧敵への遺恨を晴らす行為については、各国の駐イエメン大使らが停止を求めている。駐イエメン米国大使のクリストファー・ヘンゼル氏は次のようにツイートしている。「米国はフーシ派による4人のジャーナリストへの死刑判決を非難する。即時釈放を求める国際社会の輪に加わる所存だ」
イエメン国内でフーシ派やその他の武装グループによるメディアへの脱法行為を記録するイエメン記者同盟も死刑判決を非難している。勾留されたジャーナリストらは心身ともに虐待を受けているとも難じている。同盟の古参会員であるナビール・アル=ウサイディー氏は本紙に語る。「われわれは法廷手続き全般を強く非難している。また、今回の件もジャーナリストを標的にこの5年間繰り広げられてきた一連の脱法行為の一環となる新たな犯罪行為だととらえている」
勾留中のジャーナリストの一人、タウフィーク・アル=マンスーリー氏の兄弟アブドゥッラー・アル=マンスーリーさんは、死刑の決定が出てから家族はパニックに襲われているという。「理屈も何も通らないこんな決定が出て驚いている」とアブドゥッラーさんは本紙に語る。
「私たちの不安と恐怖はつのる一方だ。司法を乱し荒らす犯罪軍事集団を向こうに回している。世界中で人権や表現の自由のため立ち上がっている方たちすべてに求めたい。どうか囚われている彼らの生命を救い、ただちに解放するようフーシ派へ圧力をかけていただきたい」