• ベイルートで一部の職業、レストラン、金細工師、おもちゃ屋、花屋が仕事の再開を許可される
• マロン派大主教：レバノン銀行総裁への批判は容認できない

Najia Houssari

ベイルート：レバノンは26日、新型コロナウイルスの流行と、国の通貨を事実上価値のないものにするおそれがある金融危機という二重の打撃に苦しんでいた。
当局は新たに3人の感染を確認し、合計707人に増えたが、死者数は変わらず24人のままだった。

都市封鎖は27日に緩和される予定だ。マスクの着用は義務付けられているが、店、工場、レストランは長時間営業することができ、配管工や大工といった職業に就く人々は労働が許可される。

しかしながら、レバノンポンドの暴落と、中央銀行総裁のリヤード・サラーマ氏の責任をめぐる政治的な騒動によって、パンデミックの影は薄くなっている。

レバノンポンドの価値は10月以降、半分以下になり、先週の闇市場で記録的な安値を付け、1ドル4200レバノンポンドまで下落した後、通貨ディーラーはストに入った。

 ハッサン・ディアブ首相は、通貨危機の責任はサラーマ総裁にあると非難し、自由愛国運動の指導者、ゲブラン・バシル氏も同総裁を非難した。

国の財政的損失の責任は「窃盗、腐敗、強欲な受益者、銀行のオーナー、株主、中央銀行」にあるとバシル氏は述べた。

しかし、ナビ・ベリ議会議長とキリスト教マロン派のアルライ大主教は同総裁を擁護した。

ベリ氏は、レバノンは債務不履行の後、海外の債券保有者との交渉を始めている最中にサラーマ氏を解任する余裕はないと述べた。

「レバノン人が目を覚ますと1ドル1万5000レバノンポンドになっているでしょう」と彼は述べた。

「レバノンの中央銀行が残っていなければ、預金者の資金が永久になくなってしまうことは誰でも知っています」。

アルライ氏は、サラーマ氏を批判してもレバノンを害するだけだと述べた。「我々は問う。中央銀行総裁が不安定になると得をするのは誰か。我々は悲惨な結果になることを知っている。国家の構造の基礎に対するレバノン国民や他の国々の信頼を失墜させることになる」。

世情不安が高まる中、25日の夜、シドンにある銀行の外で爆弾が爆発し、「危険な状況です」というフレーズが市内の他のいくつかの銀行の外で飛び交い、26日の早朝、ティールの銀行が火炎瓶で襲われた。

免許を受けた両替商は「為替レートの不当な改悪」に抗議して23日以降営業していないが、27日に業務を再開する予定だ。

この応答は、レバノン銀行総裁の金融政策に対する政治的緊張の高まりと一致している。両替商シンジケートの代表、 Mahmoud Murad氏はアラブニュースに、「事態が急速に進展し、非常に危険な方向に向かっているので、私たちは月曜日に文字通り固唾をのんで見守ります」と語った。

彼はこう付け加えた。「事態は収拾がつかなくなりました。起きていることに全く納得できません。為替市場に手出しをしている人もいますが、家からでも為替レートをコントロールしていること以外、私たちは彼らについて何も知りません」。

「レバノン銀行が私たちにドルの価格を調べる方法を知れると約束したプラットフォームを待っていますが、今まで何も知らされていません。Lebanese LiraというSNS上のアプリがあります。出所は分かりませんが、それは3カ月以上にわたって市場を支配しています。このアプリは、ドルの為替レートが1600リラだった頃から使われています。人々はこのアプリの価格に従ってドルを売ることしかしていません。誰かが異常な方法で市場で全てのドルを買っています」。

 Murad氏は、「このアプリに対して裁判所に訴状を提出しましたが、まだ誰も行動していません」と指摘した。彼の説明によると、家で仕事をして、ドルを買った後に両替した金を届けている人たちがいる。「こういうことをされると、合法的な両替商の資本がなくなってしまいます」と彼は述べた。

同氏は、現在の政治的危機を考慮すると、レバノン銀行のリヤード・サラーマ総裁を解任することが解決策ではないと付け加えた。同氏が言うには、中銀は市場価格を安定させるため、5000万～1億ドルを投入し、市場に強く介入すべきでる。「先週の1日のように、一日500～700万ドルを使って介入するだけでは十分ではありません」と彼は述べた。