
サイード・アル=バタティ
ムカッラー:イエメンは5日、10人の新型コロナウイルス感染者を発表。そのうち2人が死亡し、全体の死者は22人になった。フーシ派は支配地域でのウイルス拡散を隠蔽したと批判された。
アデンに拠点を置く国家最高緊急対策委員会は、アデンとハドラマウトで新たに9人が感染し、そのうち1人が死亡したと発表した。
イランが支援するフーシ派もサヌアの病院で死亡したソマリ人が感染していたことを発表した。
イエメンは4月10日に初めて新型コロナウイルスの感染者を記録した。患者は現地の隔離施設に2週間滞在した後に回復し、帰宅した。
感染者数が増え始めたのは今週初めからで、港湾都市アデンで7人の感染がわかった。
新たな感染者は人口過密都市のタイズとサヌアで見つかった。感染者の急増が発表されたのは、5日にアデンの医師201人が保健省、さらにアデンとその部隊を支配する分離独立派の「南部暫定評議会」に対し緊急事態を訴え、すぐに街を24時間ロックダウンし、市内の地区に隔離施設を用意し、医療関係者に防護用具を配布するよう求めたことがきっかけだ。
「事態は深刻です」アル=サダカ病院のマネージャーで嘆願書に署名した医師の1人でもあるワファ・ダバリ医師はアラブニュースに語った。「アデンの各地区で少なくとも4人の死者が出ました。彼らは呼吸器疾患に罹っていました」現地の医療施設は検査用のスワブ(綿棒)が不足しているため、死因を特定することはできなかったという。
イエメンの暫定首都アデンは先月、南部暫定評議会が自治を宣言したとき暴動に陥り、国際的に認められた政府の復帰が阻止され、ウイルス対策が中断した。同評議会は都市の完全封鎖を強要したが、人々が通りに群がったことで失敗に終わった。
サヌアなどイエメン北部の人口が過密した地方では、イエメン政府関係者と住民が、数百人の重症呼吸器疾患患者が病院に殺到しているとの報道を受けてフーシ派の支配地域でコロナウイルスの感染者数が隠蔽されていることを非難した。
サヌアの住民はアラブニュースに対し、武装したフーシ派の男が集団でいくつかの地区に現れて道路を封鎖し、労働者が車や徒歩で消毒された通りを通る際、屋内にいるよう命じたと語った。
ある住民はフーシ派の報復を恐れて匿名を条件にアラブニュースに次のように語った。「彼らはヘイル市場、ジャマル通りやサニナ通りを2日間封鎖しました。私たちは、発表されていない感染者が大勢いるのではと懸念しています」住民はさらに、サヌアの通りは人や車があふれていると話した。
4日、個人が撮影した動画がSNSに投稿された。映像には救急車が患者を運ぶ際、武装した男たちがサヌアの通りを封鎖する様子が映っていた。サヌアの医療従事者は海外に住む友人や地元のメディアに対し、反対派が情報を公開しないよう医師らに圧力をかけたため、コロナウイルスに感染した疑いの患者の多くがクウェートの病院に運ばれたと語った。サヌアの医師たちからコメントを聞くことはできなかった。
イエメンの政治家は、派閥争いをしている人たちが国内全土の保健所内で情報と能力を共有しない限り、各支配地域でウイルスの拡散を防ぐことはできないと警告した。
ムスタファ・ノーマン元外務副大臣は「フーシ派も南部暫定評議会も政府も、医療機関同士の連絡や情報共有なしにこの災害に対処することはできない」と5日にツイートした。