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サウジアラビア開催の2034年ワールドカップが象徴するスポーツと文化の隆盛のアジアへの移行

2019年1月16日のユベントス対ACミランのスーペルコッパ・イタリアーナ決勝戦を前にしたジェッダのキング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアムの全景。(AFP)
2019年1月16日のユベントス対ACミランのスーペルコッパ・イタリアーナ決勝戦を前にしたジェッダのキング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアムの全景。(AFP)
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08 Nov 2023 01:11:42 GMT9
08 Nov 2023 01:11:42 GMT9
  • 日本と韓国でのワールドカップのアジア初開催までには72年間、カタールでの2回目のアジア開催までにはさらに20年間の歳月が要された

2034年FIFA ワールドカップの招致が確認されているのはサウジアラビアのみで、同大会のアジアでの開催は史上3度目となり、これは世界のスポーツと文化の隆盛のアジアへの移行を示す出来事となる。

日本と韓国でのワールドカップのアジア初開催までには72年間、その後、カタールでの2回目のアジア開催までにさらに20年間の歳月が要された。中東、特に湾岸地域は、2022年のカタールでの開催後、次回の大会まで12年間だけ待つことになった。

これは、アジアの隆盛の表れである。そして、また、サウジアラビアは、国際的なサッカーの領域で想像だにし得なかった急展開を経験してきた。

たった12ヶ月前、国際的な舞台ではそれほど知られていなかったグリーン・ファルコンズは、リオネル・メッシ率いるアルゼンチン代表との開幕試合という無理難題への備えを行っていた。

いつものように暖かく晴れたドーハの午後、ルサイル・スタジアムの黄金のファサードが煌めく中、アリーナ内の8万人のファンたち(アルゼンチンとサウジアラビアの割合は均等だった)は、経験しなければ信じられないような空気に包まれた。

後半開始早々、まずサレー・アル・シェフリ選手が、そして次にサーレム・アッドーサリー選手が見事なワンツーパンチのようにシュートを決め、ハーフタイムでの0-1の点差を2-1のリードへと逆転した。それは、ルサイル・スタジアムが土台から揺れるような逆転だったのだ。サウジアラビアはこのリードを守り抜いた。

サウジアラビアのサッカーは世界中で話題となった。当時、その歴史的な勝利のもたらす多幸感の後であっても、サウジアラビアのサッカーが革新を続けていくと考えた者はほとんどいなかったはずだ。

エルヴェ・ルナール監督(当時)が率いていたサウジアラビア代表は、国内の才能あるサッカー選手らを世界に紹介しただけでなく、国境を越えた自国チームの応援にファンたちを駆り立て、3,000万人超のサウジアラビア人たちのサッカーへの情熱をも世界に知らしめた。

あの日の経験は、トーナメントを開催することとの比較においては淡いものになるだろう。2034年になると、サウジアラビア開催のワールドカップという驚くべき大会を世界は体験することになるのだ。

サウジアラビア開催のワールドカップは、同国と中東地域にとって大きな意味をもつことになる。また、2030年にはモロッコが共催国となることから、アラブ世界のサッカー界自体が極めて重要な時期を迎えつつあるということでもある。

カタール大会前にはサッカーの歴史と文化が不在だという極端な悲観論もあったが、これはサウジアラビアにも当てはまらない。幸運にもカタール大会の際にドーハで時間を過ごすことが出来た人々は、非常に楽しい唯一無二のワールドカップ体験を語ってくれるだろう。

ワールドカップがそれぞれ異なる独自性を持った文化の数々を紹介するものであるとするならば、2022年のカタール大会はそれを非常に美しく成し遂げたと言える。カタール大会は、アラブ世界によるアラブ世界のワールドカップだった。

カタール大会の際、スーク・ワキーフを散策したり、ドーハの煌びやかなスカイラインを背に曲がりくねった道を歩いたりすると、アラブ世界各地の旗がそこかしこに掲げられ、サッカーファンが集い祝っていた。

カタール大会は、障壁を打ち崩し、それまでの認識を覆した。2034年には、リヤドやジェッダ、ダンマームの街頭で、同じ光景が再現されることになるのである。

実際、2034年のワールドカップは、カタール大会よりも大規模でさらに素晴らしいものになるはずである。開催の段階までにトーナメントが48チームに拡大するからだ。

カタール大会では、アルジェリアやエジプト、イラク、UAEといった国々が漏れていたが、追加枠があったため、これら4ヶ国のすべてが出場資格を獲得する機会を狙っていた。

他のアジア地域のサッカーファンにとっては、2027年にサウジアラビアで開催されるAFCアジアカップが、サウジアラビアでのワールドカップがどのようなものになるのかを感じ取る初めての機会となるだろう。意外なことだが、AFCアジアカップにおいて優勝3回という大成功を収めているサウジアラビアだが、その開催国となるのは初めてである。

アジアが新型コロナ禍の惨状から立ち直るのに合わせて、今後10年間、中東地域内でサッカーの発展を加速させる素晴らしいチャンスが到来する。

サッカーの世界で、サウジアラビアが国際的にもアジア域内においても一層主導的な役割を担おうとしている現在、丁度満ち潮がすべての船を持ち上げるように、ユーラシア大陸には今後為される巨額の投資から恩恵を受ける好機が到来するのである。

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