
ロンドン:米国のワトソン国際問題研究所(Watson Institute for International Studies)のCosts of Warプロジェクトが火曜日に発表した報告書によると、イスラエルのガザ戦争はジャーナリストにとって「過去最悪の紛争」であり、2023年10月以降、少なくとも208人のパレスチナ人メディア関係者が死亡している。
タイトルは『ニュースの墓場』だ: 戦争記者の危険はいかに世界を危険にさらすか」と題されたこの調査は、ジャーナリストへの戦争の犠牲と、国際報道を弱体化させたアメリカのニュース業界のより広範な傾向について検証している。ガザでのジャーナリストの死者数は、歴史上の他の紛争をはるかに上回り、空前のものとなっている。
「ジャーナリストへの攻撃は、数十年にわたって世界のニュース業界を疲弊させ、国際報道の優先順位の低下と海外報道局の閉鎖につながった長期的な社会経済的変化を悪化させている」と報告書は指摘する。
世界中で、ニュース業界の経済、戦争の暴力、協調的な検閲キャンペーンによって、紛争地域がニュースの墓場と化す恐れが高まっている。
ブラウン大学を拠点とする超党派の調査プロジェクトは、9.11以降の戦争の人的、財政的、政治的コストを分析し、「2023年10月7日以降、ガザでの戦争は、アメリカの南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、9.11以降のアフガニスタン戦争を合わせたよりも多くのジャーナリストを殺害している 」ことを明らかにした。
報告書はまた、2024年には、世界中で3日に1人の割合でメディア関係者が殺されたり、殺害されたことを明らかにした。
「ガザでのケースと同様、被害を受けたり殺されたりした記者のほとんどは地元のジャーナリストである」
BREAKING: More journalists have died in Gaza since Oct. 7, 2023 than in both World Wars and other major wars, combined.
— The Costs of War Project (@CostsOfWar) April 1, 2025
Our new report outlines the costs of war to journalists – and the journalism we all rely on. [THREAD, 1/8] https://t.co/oeeqPqw5i2 pic.twitter.com/gSXWYjtXSl
3月下旬、パレスチナ人ジャーナリスト、モハマド・マンスール氏(『パレスチナ・トゥデイ』特派員)とホッサム・シャバット氏(『アルジャジーラ・ムバシャー』記者)が、イスラエルの攻撃によりガザで殺害された最新のメディア関係者となった。イスラエル軍はシャバトの殺害を認め、彼を「排除したテロリスト」だと非難した。
報告書は、イスラエルが「情報の自由な流れを弱体化させるための全面的な取り組み」を行っていると非難し、メディアインフラの「ほぼ完全な破壊」、インターネットの遮断、誤報キャンペーン、外国人記者の入国を禁止する一方で地元ジャーナリストのガザからの出国を妨げる制限などを挙げている。
また、紛争地域で現地ジャーナリストが果たす重要な役割を強調し、「戦争の現実と恐怖」の目撃者であると述べている。
「ジャーナリストは世界の目となり耳となり、暴力の渦や噂、操作、誤報、偽情報、プロパガンダが飛び交う中で、確かな検証可能な情報を探し求める」と報告書は続けた。
また、政府軍や武装グループによって何百人ものジャーナリストが殺害されたシリアの内戦についても言及している。シリア人権ネットワークは、2011年に紛争が始まって以来、700人のジャーナリストやメディア活動家が殺害されたと推定している。
ワトソン研究所の報告書は、ジャーナリストに対する脅威の増大は、個人を危険にさらすだけでなく、世界的な報道と 「世界的な情報エコシステム 」を弱体化させると警告している。
「国際報道の優先順位の低下や海外報道局の閉鎖につながったグローバル・ニュース業界の長期的な変化により、紛争地帯での経験豊富な海外特派員の数が減少していることも、同様に重要な知識を麻痺させ、ニュースの墓場の創設を助長している」と報告書は述べている。