
国連(アメリカ): ヨルダン川西岸地区でのイスラエルの暴力を描いたドキュメンタリーを共同監督し、今年アカデミー賞を受賞したパレスチナのバセル・アドラ監督は、木曜日、国連で、映画の成功にもかかわらず状況は悪化していると警鐘を鳴らした。
アドラ氏は、国連パレスチナ人の不可侵の権利委員会に招かれ、自身の映画『No Other Land』の上映会でスピーチを行った。
このドキュメンタリーは、1980年代にイスラエルが軍事制限区域と宣言したマサファー・ヤッタにおける、イスラエル軍と入植者によるパレスチナ人の強制移住を描いたものだ。
「私たちがこの土地に住んでいること、私たちが存在していること、そして私たちが日常的に直面していること、この残忍な占領を世界に知ってもらいたかったのです」とアドラ氏は国連で語った。
この映画では、ブルドーザーが家屋や学校を取り壊す様子や、イスラエル人入植者によるパレスチナ住民への挑発行為(暴力に発展するものも含む)が描かれている。
長期にわたる法廷闘争の末、イスラエルの最高裁判所は2022年にイスラエル軍を支持する判決を下し、この地域の8つの村からの住民の追放を許可した。
「アカデミー賞を受賞した後も、私たちは同じ現実に戻ってしまった」とアドラ氏は言い、状況は「悪化から悪化へと変化するばかりだ」と付け加えた。
「ほとんど毎日、入植者たちがマサファー・ヤッタやヨルダン川西岸地区のあちこちのコミュニティを攻撃している」とアドラ氏は続けた。
先週、アドラ氏の共同監督であり、同じパレスチナ人であるハムダン・バラル氏は、オスカーを受賞したことでイスラエル人入植者に襲われたと報告した。
権利団体は、イスラエルとハマスによるガザ(パレスチナ自治区)での戦争が始まって以来、ヨルダン川西岸地区ではイスラエル入植者による攻撃が急増していると述べている。
1967年以来イスラエルに占領されているヨルダン川西岸地区には、約300万人のパレスチナ人と、国際法上違法な入植地に住む約50万人のイスラエル人が住んでいる。
「No Other Land」は、名誉あるアカデミー賞を受賞したにもかかわらず、米国での配給を見つけるのに苦労しており、ほんの一握りの映画館でしか上映されていない。
AFP