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AUB学長:コロナウイルスと経済危機で自由主義アラブ人が危険にさらされる

ベイルート・アメリカン大学
ベイルート・アメリカン大学
ベイルート・アメリカン大学のファドロ・クホーリ学長(提供)
ベイルート・アメリカン大学のファドロ・クホーリ学長(提供)
ベイルート・アメリカン大学
ベイルート・アメリカン大学
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15 May 2020 04:05:10 GMT9
15 May 2020 04:05:10 GMT9
  • ベイルート・アメリカン大学が危機を乗り越えるには代償が必要とファドロ・クホーリ学長
  • クホーリ学長は、世界の新常識となっている遠隔教育が長期的な解決策とは見ていない

カリーン・マレク

ドバイ:レバノンの経済崩壊とコロナウイルスのパンデミックにベイルート・アメリカン大学(AUB)が耐えられなかった場合、中東における近代自由主義思想の進化が深刻な危険にさらされる。

この厳しい忠告は、Zoomを通してベイルートから行われたArab Newsとのインタビューで、他でもないAUBの学長、ファドロ・クホーリ博士自らが発したものだ。

アラブ諸国の中でも最も長い歴史を持つ大学の1つであるAUBは、莫大な損失を被り、人員削減を余儀なくされ、創立以来最も深刻な危機に直面している。

AUBはこれまで、中東における医療、法律、科学、芸術の分野で活躍する人材、また各国首相を含む政治的リーダーや学者も創出してきた。

「このような場は他にはありません」、「AUBのように、西洋の自由思想の影響を完全にもたらしつつ、東洋の思想も受け入れるリベラルアーツ期間は他にありません」と話す。

影響力のある一流論文の63%がAUBから出されていることから、「AUBがこの危機を乗り越えるだけではなく、地域において繁栄することが非常に重要なのです」と同氏は言う。

「そうしなければ、中東における近代自由主義思想の進化は深刻な危険にさらされることになります。」

クホーリ氏は現状を社会、経済、政治的のパーフェクト・ストームと呼ぶ。

「レバノン経済の内波が重大な課題をもたらす中、一時的な代償を払うことは避けられません」と同氏は指摘する。

また、「レバノンはしばらくの間、国として無理をしている状態にあり、私たちはこれを懸念していました。戦争が終息した後、この問題は対処されませんでした。」と述べる。

同氏は、このような困難な時には資金が必要不可欠だとし、AUBはこれまでに、コロナウイルス危機で発生した損害の補填に米政府から250万ドルの助成金を受け取っている。

そのほとんどは大学に充てられ、残りは私立病院に配分されるという。

一方、AUB卒業生300人以上が大学の訴えを受け、共同で6万ドルを拠出した。

「私たちのコミュニティはこれまでも寛大で、これからもそうあり続けますが、二国の政府による支援がそのうち必要となります」とクホーリ氏は言う。

[video width="1280" height="720" mp4="https://www.arabnews.jp/wp-content/uploads/2020/05/AUB-JP-final_1.mp4"][/video]

しかしながら、1975年の内戦時、大学を閉鎖の危機から救った1,800万レバノン・ポンドの援助のような政府による支援の申し出は今のところない。

クホーリ氏は、「大学は以前ほどの危機にはないが、政府は私たちへの借金を返済しなければならない」とし、政府はAUBMC(ベイルート・アメリカン大学医療センター)に1億5,000万ドル以上の借りがあることを指摘した。

同氏は、AUBはこれまでにも甚大な圧力に耐えてきた歴史があることで知られており、パンデミックも乗り越えて、さらに今後154年とその先も間違いなく繁栄すると話す。

「カレッジ・ホールの建物が爆破されてもAUBは生き残りました。」「ある学長は殺害され、また別の学長は誘拐されました。AUBはそれも克服しました。つまり、AUBは何があっても生き残ります。」

問題は、生き残った後、AUBがどのような形で現れるかだと同氏は言う。

「私たちは、30年にわたって優れた、才能のある、効果的な研究教員と教育サービスを築き上げてきました。」

「今、レバノンの経済は崩壊しつつあり、また世界も1920年代後半から1930年代以来、最も深刻な不況、そして初めてともいえる大恐慌に陥ろうとしています。」と同氏は話す。

様々な課題が迫る中にあっても、同大学は良い手本、そして世界、地域における良い市民であり続けることを目指しており、そのためには長期的な再建と効率化を進める必要があるとクホーリ氏は述べる。

[caption id="attachment_14682" align="alignnone" width="500"] アラブ世界でも最も長い歴史を持つ大学の1つであるベイルート・アメリカン大学(AUB提供)[/caption]

最近のレポートでは、AUBの修士プログラムの有効性について、同校が長期的な目的を果たし、地域の市民リーダーを創出しているかどうかが精査された。

現在、同プログラムには96か国の学生が在籍している。「私たちが彼らを教育するにあたり、インクルーシブで平等、かつエンパワーリングでいるかが重要です」とクホーリ氏は話す。

また同氏はArab Newsに対し、アラブ諸国と地域全体は現在、創立そして第一次世界大戦以来、最もAUBの繁栄を必要としていると指摘。

遠隔教育が世界の新常識となったが、クホーリ氏はそれが長期的な解決策だとは考えていない。

「長期的に、高等教育は指導型、経験型および遠隔教育をすべて包含できるよう、これまでより遥かに速いスピードで進化しなければなりません」とクホーリ氏は指摘する。

「3つすべの混合でなくてはなりません。」

将来について、クホーリ氏はAUBが中心的存在でないアラブ世界を思い描くことはできないと言う。

「今ですら、教員一人当たりの高品質の研究がこれほど貢献している機関は他にありません」と同氏は話す。

「AUBは…アラブ世界のランドマーク、そして最高級のリベラルアーツ研究大学であり、この大学の反映は、私たちすべてにとって有益なことです。」

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