
ベイルート:レバノンが大規模な食糧危機のリスクにさらされており、深刻な金融危機と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、多くのレバノン人は間もなくパンを買うことが困難になるかもしれないと、首相が警告した。
ハッサン・ディアブ首相はワシントン・ポスト紙への寄稿で、パンデミックが引き金となって世界的な食糧安全保障の緊急事態が発生すると警告した。首相は、食糧輸出を制限しようとする試みは控えなければならないと述べ、米国と欧州連合(EU)に対し、中東が深刻な危機を回避するための緊急基金を設立するよう求めた。
そのような措置を取らなければ、「飢餓はヨーロッパへの新たな移民の流れに火をつけ、地域をさらに不安定化させる可能性がある」と首相は記している。
レバノンはCOVID-19のパンデミックの前から深刻な危機に陥っていた。同国の交換可能通貨の流動性が不足し、10月以降、現地通貨の価値は半減していた。インフレと失業率が急上昇している。レバノンのソブリン債は3月にデフォルトを起こしている。
輸入食料品の価格は2020年に入ってから2倍以上に上昇したとディアブ首相は強調する。レバノンは食料の半分以上を輸入に頼っている。
「かつては東地中海の穀倉地帯だったレバノンは、大規模な食糧危機のリスクという、10年前には想像もできなかったような劇的な課題に直面しています」と首相は述べる。
「数週間前、レバノンでは初めての『飢餓デモ』が発生しました。多くのレバノン人はすでに肉や果物、野菜を買うのをやめており、すぐにパンを買うのさえ難しくなるでしょう」
イランが支援するシーア派のヒズボラとその同盟勢力の支援を受けて今年首相就任したディアブ首相は、農業への投資の不足をめぐり、数十年に及ぶ政治的な失策と汚職を非難している。
COVID-19とロックダウンは、「経済危機を劇的に悪化させ、食品のサプライチェーンを大きく混乱させました」と首相は述べた。
レバノンの小麦の8割はウクライナとロシアから供給されていたが、先月、ロシアは小麦の輸出を停止し、ウクライナも同様の動きを検討していると首相は述べた。
ロイター通信