
ドバイ:警察官のスマートヘルメットから研究所に至るまで、パンデミックに対するそのアプローチを形成しつつあるドバイ。同国はコロナウイルスによりその技術的・科学的影響力を試す機会がもたらされた。
この派手な湾岸首長国による闘いにおいて大きな役割を担うのは、ドバイの医師や疫学者、その他専門家の取り組みを調整するために設立されたCOVID-19指揮管理センターである。
同センターは、最先端の病院、ラボ、研究センターも並ぶドバイのヘルスケアシティにあるモハメド・ビン・ラシッド医科医療大学(MBRU)内に置かれている。
「ここ数年、ドバイは堅固なデジタルインフラストラクチャの整備に努めきましたが、このことはコロナウイルスとの闘いに貢献しました」と、多専門的な同センターを率いるアメル・シャリフは語る。
同センターは、ドバイ皇太子とソーシャルメディアスターのシェイク・ハムダン・ビン・モハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥームにより、コロナ禍が始まった頃に設立された。
ある部屋では、マスクを着用した若い男女が注意深く分離された席に座り、ノートPCでデータ処理の作業にあたり、現場で働く人達と調整を行っている。
このイニシアチブの一部には「国内および世界各地の研究と科学的エビデンスの最新の進歩を常に把握する」という役割を果たすための科学チームがある、とチームリーダーのアラウィ・アルシェイク・アリは語る。
アラブ首長国連邦は160万件以上のコロナウイルス検査を実施し、死者244人を含む28,700人以上の感染患者を正式に宣言している。
シャリフは、「医療システムの完全なデジタル化」を含むこのハイテクなアプローチはより広範なウイルス拡散を防ぎ、ロックダウンに役立ったと語った。
MBRUのトム・ローニー公衆衛生・疫学准教授は、コロナウイルスはドバイがその能力を試す機会になったと述べた。
ドバイが他国と一線を画すのは「データと科学に基づいて迅速な意思決定を行う能力だ」と、ドバイ当局のアドバイザーも務めるローニーは言う。
ローニーによると、センター設立の決定は、ドバイのリーダー、シェイク・モハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥームの指令により下された。MBRUの建物にはその肖像画が掲げられている。
ドバイはアラブ首長国連邦の7つの首長国の一つで、大きな技術的・科学的野心を抱く主要湾岸国である。
ドバイは近隣諸国のような石油の富を持たないが、湾岸で最も多様な経済を擁し、金融、商業、観光の拠点としての評判を築いている。
アラブ首長国連邦は昨年宇宙飛行士を宇宙に送り、7月にはドバイの首相が後援するプロジェクトとして、火星に向けてアラブ初の探査機を打ち上げる予定だ。
パンデミックが襲ったとき、ドバイはすでに多くのテクノロジーを活用できる状態にあり、コロナ禍においてにそれらの技術を様々な用途に迅速に応用した。
警察は通行人の体温を測れるスマートヘルメットを着用し、研究所では3Dプリンタを使用して保護用マスクを製造している。
夜間外出禁止令が始まると、ドバイの住民(うち90%が外国人)は、アラビア語、英語、その他の言語で携帯電話にリマインダーメッセージを受信する。
アラブ首長国連邦は定期的にCOVID-19感染症の研究の進歩を発表してきたが、パンデミック管理に役立つアプリも開発している。
その一つ、政府が住民にダウンロードを奨励しているAlhosnは、ウイルス感染者や感染が確認された患者と密接に接触した可能性のある人を追跡するものだ。
しかし、パンデミックとの闘いにテクノロジーを使用することについては、政府による監視やプライバシーリスクに関して世界中で懸念が高まっている。
いくつかの外国のウェブサイトやアプリケーションがすでにブロックされているアラブ首長国連邦で、テクノロジーの専門家やメディアはこの問題の重要性を指摘してきた。しかし、シャリフは懐疑的な見方をはねのけた。
「ドバイと首長国連邦は、患者記録であれスマートアプリケーションであれ、プライバシーを尊重します」と、シャリフは述べた。
シャリフは、当局はまた、危機に対して政策対応をうまく行ったと見られている韓国などの国々を参考にしつつ、ドバイ「独自のモデル」を作り出すと付け加えた。
「我々は進歩について行かなければならない…しかし、さらに進歩の一部となり貢献しなければならない」とシャリフは述べた。
AFP