
Daoud Kuttab
アンマン:パレスチナ・アラブの要人らがナクサ53周年を活用している。ナクサとは、エジプト・シリア・ヨルダンとの1967年の戦争で勝利したイスラエルがアラブの領土を占拠・追放したことであり、紛争中やその後の政治的な過ちを浮き彫りにした。
ヨルダンのフセイン元国王とアブドッラー2世国王の政治顧問であるAdnan Abu-Odeh氏がアラブニュースに対し、アラブ諸国とパレスチナの指導者はシオニズムの目標を理解していなかったと語った。
「戦争に参加した政府はアメリカがイスラエルの撤退を命じた1956年のシナイ侵攻の繰り返しを期待し、甘い考えを持っていた。これによって、ゲリラ戦で領土を解放できるとの誤った考えが生まれた」とAdnan Abu-Odeh氏は語った。
パレスチナ解放機構(PLO)のAnees Sweidan外務局長がアラブニュースに対し、政治的機会が限られた今、パレスチナ問題は複雑な局面を迎えていると語った。
「アメリカのイスラエルに対する偏った見方と団結力の欠如によって、パレスチナでの運動は困難な状況にある。外部からの支援を得るのが一層難しくなっており、また我々は国連やヨーロッパで重要な成果を上げてきたにもかかわらず、金融危機によって多くの苦しみがもたらされている」。
Faisal Husseini FoundationのAbdalqader Husseini議長は、この記念日は無視できない機会となると語った。
「この問題に対し国際社会は関心を失い、世界の良心はイスラエルの行為に対し無感覚になっている。我々はこれが不法占拠であり、日に日に深みを増しエスカレートし続けていると理解しなくてはならない。エルサレムにおける我々は占領軍との関係を正常化できていない。またこの新しい状況について、避けられない現実であると認めてはいない」。
ヨルダンの下院議員のKais Zayadin氏はアラブ諸国が犯した最大の間違いは、占領状態によって平和が築かれ、パレスチナ問題への永続的な解決へ至ると信じたことであると語った。
「我々は希望を持ってマドリードへ出向いた。パレスチナの指導者は国家の確立への段階的な解決策に至るだろうとの楽観的な考えでオスロへ向かった。ナクサを忘れずにいる者として、国際社会からの抑止力なしに我々の土地を奪い、人々に混乱をもたらした占領の存在を許したこの歴史を見直さなくてはならない」とZayadin氏は語った。
彼ら(パレスチナの若者)は、尊厳のための不動の意味を体現しており、我々の遺産とアイデンティティーと聖地を守るという意志を持っている。
Mahdi Abdulhadi、パレスチナ国際問題研究学会(PASSIA)シンクタンク代表
Bir Zeit大学のメディア開発センター長であるNibal Thawabteh氏によると、政治を重視し地域の発展を避けてきたことが、1967年以降最大の過ちであるとのことである。
「我々の市民意識は高いとは言えない。イスラム教に馴染んだ人もいる。我々は市民権をより機能させていく必要がある」。
アンマンに拠点を置く Phenix Center for Economic and Informatics Studiesのディレクター、Ahmad Awad氏はアラブの損失の理由に対する認識の欠如があると語った。
「政治的、経済的、文化的な要因が我々の損失を引き起こした。またアラブ諸国のほとんどがこの教訓を学んでいないと感じている。学ぶことの代わりに我々は逆行し、実存する権利を守ることに失敗し、地域において文化的、経済的に退化するだけでなく、孤立主義へと移行しつつある」。
後ろを向くのではなく、前を向こうとするパレスチナ人もいた。
エルサレムのパレスチナ国際問題研究学会(PASSIA)シンクタンクのMahdi Abdulhadi代表は、1967年の敗戦の衝撃を感じたことはないが「世紀の取引(Deal of the century)」に直面し、アラブ体制が露呈するのを見てきたパレスチナの若者が、これに打ち勝つだろうと語る。
「彼らは、尊厳のための不動の意味を体現しており、我々の遺産とアイデンティティーと聖地を守るという意志を持っている」。
Exeter大学・政治学科の卒業生であるLily Habash氏はアラブニュースに対し、現場では物事は異なって見えると語った。
「世界は変化していて、イスラエルは地政学的、地域的な変化を利用し自分たちに有利なようにしている」とHabash氏は語った。
現在の危険な状況は絶望を助長しているが、パレスチナ人は長期的に不動の意志で臨むだろうと、Habash氏は付け加えた。
「このジレンマから抜け出すために救世主が必要だと言う人もいる。しかし我々は自分を信じ、あらゆる面に取り組む必要があると私は信じている」。