パリ:フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、交渉官らがウィーンでの協議を通じて核合意の再建を目指す中、イランのイブラヒム・ライシ大統領に対し、2015年の核合意で定められたイラン政府の義務を「遅滞なく」再び履行するよう求めたと、フランス大統領府が発表した。
29日の電話会談で、マクロン大統領は、ライシ大統領に対し、「建設的な姿勢で」協議に参加するよう促した。この協議は、強硬派のライシ氏がイラン大統領に選出されたことを受けた半年近くの中断を経て、今週再開された。
欧州の主要国は、正式には「包括的共同行動計画」(JCPOA)として知られている核合意の再建を目指している。核合意は、米国が2018年に協定から離脱し、米国政府が制裁を再発動したために、イラン政府が核開発活動を強化するのを促したため、消滅しかけている。
フランスの目的は、「JCPOAで定める全ての義務をイランが再び完全に順守し、米国が協定に復帰するのを見届けることだ」と、フランス大統領府は述べた。
マクロン大統領はまた、「意見交換で協定への迅速な復帰が可能になるよう、イランがこの方向で建設的に関わる必要性を強調した」と、大統領府は付け加えた。
「イランは遅滞なく、全ての約束と義務を再び順守し、(国連原子力)機関がその任務を完全に遂行できるような協力を速やかに再開しなければならない」と、大統領府は述べた。
イランの核担当交渉責任者のアリ・バゲリ氏は、協議が再開されてわずか1日で強硬路線のアプローチを取り、これまでの外交交渉で議論した全ての内容を再交渉する可能性を示唆した。
バゲリ氏は、イラン国営テレビに対して語り、これまでに話し合われた全ての内容は単なる「草案」に過ぎないと説明した。
同氏は次のように付け加えた。「草案は交渉の対象となる。従って、全てが合意に至っていない限り、何の合意もなされていない」
「このような前提に基づき、(過去の)6回(の協議)で行われた全ての議論は、まとめられて、交渉の対象となる。これは、今日の会合でも全ての当事国が認めたことだ」
バゲリ氏の発言は、協議を主導しているEUの外交官、エンリケ・モラ氏が29日に行った発言と真っ向から矛盾している。
「イランの代表団は、新しい、もっともな政治感性を持ったイランの新政権を代表しているが、代表団は、6回の第1弾交渉で行われた作業が、今後の我々の取り組みを積み上げて行く良い基盤であることを認めているため、後戻りしても意味はない」と、同氏は述べた。
国営テレビの別の報道は、イランは「米国が新たな制裁を課したり、これまでに解除された制裁を再発動したりしないことを保証すること」を要求しているとウィーンでバゲリ氏が発言していることを強調した。
文民でイラン原子力庁長官のムハンマド・エスラミ氏は、イランの政府系通信社IRNAに対するコメントの中で、この要求を繰り返した。
「(ウィーンでの)協議は、米国の合意復帰に関するものであり、彼らは全ての制裁を解除しなければならず、これは実行されるべきであり、検証可能なものであるべきだ」と、長官は述べた。
イラン大統領府は、マクロン大統領に「ウィーンで他の当事国と努力して交渉を妥結し、イランに対する制裁を解除するよう」促したと述べた。
ライシ大統領は次のように述べた。「協議に交渉チーム全体を派遣することは、この協議に対するイランの真剣な意志を示すものだ」
大統領は米国に言及しながら、次のように付け加えた。「核合意への違反を始めた者は、交渉を現実的かつ実りある形で進めるために、相手側の信頼を得なければならない」
AFP通信/AP通信