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イラクで米国を標的とするロケット攻撃が1週間に3回行われたが、米国政府はいまだ反応せず

2021年2月20日、ISIL(通称イスラム国)の戦闘員との衝突を受け、バグダッドの北35キロ(20マイル)にあるタルミヤで捜索を行うイラク軍。(AFP通信)
2021年2月20日、ISIL(通称イスラム国)の戦闘員との衝突を受け、バグダッドの北35キロ(20マイル)にあるタルミヤで捜索を行うイラク軍。(AFP通信)
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23 Feb 2021 05:02:32 GMT9
23 Feb 2021 05:02:32 GMT9
  • 昨年1月にトランプ氏がアリ・ハメネイ氏に次ぐイランの権力者とされていたイスラム革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官の暗殺を命じたことで、イラク情勢の緊張が高まった

Ray Hanania

シカゴ:イラク北部のエルビル国際空港近くにある軍事基地へのロケット攻撃で、5人の米国人が負傷し、米国のために働く外国人請負業者1人が死亡してから1週間が経過したが、米国政府は暴力の激化にどのように対応するか決めていない。

その間にも、イラク国内では米国に関連した標的への新たな攻撃が2回発生している。2月20日には、バグダッド北部のバラド空軍基地に少なくとも4発のミサイルによる攻撃が行われて1人が負傷した。月曜日には2発のロケットがバグダッドの米国大使館近くのグリーンゾーンに着弾した。今回の攻撃では死傷者の報告はなかった。

攻撃の背後にはイランがいるとの疑惑が広がっているが、バイデン政権はこれまでのところ責任の所在を明らかにすることを躊躇しており、2月15日のエルビルでの攻撃の後、責任の所在を「評価中」とし、「我々が選択した時と場所で」反応するとしている。アントニー・ブリンケン国務長官は月曜日、この地域におけるイランの破壊的な活動を取り上げた際、ジョー・バイデン大統領は核兵器の問題でイランに圧力をかけることをあきらめていないと述べた。

イラン核合意としても知られる2015年の包括的共同行動計画(JCPOA)への復帰に向けた交渉に入ることに合意したことで、米国がイラン政府に対する影響力を放棄したのかどうかを問われた際、ブリンケン氏は「イランはこの地域で立ち止まることなく行動を起こし、様々な不安定化行動、イラクやその他の地域での米軍への攻撃、(そして)パートナーへの攻撃を行っている」と述べた。ドナルド・トランプ大統領は2018年に米国をイラン核合意から離脱させた。

「つまり、問題は良くなるどころか悪化しているということだ。そしてバイデン大統領は、これらの問題に対処し、核問題をテーブルの上に戻し、他の分野でイランに対抗するには、強力で原則的な外交が最善の方法だと強く信じている」。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、イランに関する最優先事項は、イランの政権が核兵器を手に入れるのを阻止するということに変わりはないと繰り返した。

サキ報道官は、「それに先立って、制裁を取り消すような追加措置を取ることは想定していない。これは、今後の道筋について話し合うためのものだ。そして、その一部として、先を見据えると、地域における彼らの役割、弾道ミサイルの用途、そしてもちろんイランの政権の目的について会話をしたいという願望があるだろう」と述べた。

ブリンケン氏は先週、フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン外相、ドイツのハイコ・マース外相、イタリアのルイジ・ディマイオ外相、英国のドミニク・ラーブ外相と共に、この攻撃について共同で警告を発した。

「我々フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国の外相は、2月15日のイラク・クルディスタン地域でのロケット攻撃を最も強い言葉で非難する」と外相らは述べた。

「犠牲者とその家族、そしてイラクの人々に哀悼の意を表明する。我々の政府は共に、攻撃を行った者に責任を取らせることを目指し、攻撃に関するイラク政府の調査を支持する。我々は、米国、関連する人員、そして施設への攻撃は許容されないという見解で一致している」

最近の攻撃で犯行を主張する者はおらず、過激派は「イラクの武装集団」としか特定されていない。

しかし、多くのアナリストやイランの反体制派は、責任はまさにイラン政府にあると考えている。

パリに拠点を置くイラン抵抗国民評議会の外交委員会のメンバー、アリ・サファビ氏は、「最近の米軍基地やバグダッドの大使館に対する度重なるロケット攻撃の背後にイランの政権があることは疑いの余地がない」と語った。「イランは厳しい反応を恐れて代理勢力テロ組織のために偽名を作った。これらの攻撃は、イラン政府が核交渉におけるリスク・リターンを引き上げる試みだ。なぜなら、欧米諸国はイラン核合意に関する新たな協議は、イランの政権が違反を止め、JCPOAの条件を厳格に守ることを前提としており、ボールがイランの側にあるからだ」

「国際社会は見て見ぬ振りをせず、毅然とした態度で臨むべきだ。なぜならば、イランを率いる聖職者らは決断力と権力という言葉しか理解していないからだ。いかなる譲歩も弱さと解釈され、イランの政権をつけあがらせるだけだ」

昨年1月にトランプ氏が最高権力者アリ・ハメネイ氏に次ぐイランの権力者とされていたイスラム革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官の暗殺を命じたことで、イラク情勢の緊張が高まった。

イラン政府関係者は「厳しい報復」を行うことを明言した。イラク北部の情勢は、クルド人部隊を守っているとして米国政府を批判してきたトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と米国との不穏な関係によってさらに複雑化している。エルビルはイラクのクルディスタン地域の主都だ。エルビルで2月15日に起きたミサイル攻撃の直前には、クルド人戦闘員が兵士や警察官を含む13人のトルコ人の人質を処刑した。トルコ政府は、イラク北部でのクルド人勢力の増強がトルコの安全保障に対する脅威となっていると主張している。

ブリンケン氏は以前、2月16日にイラクのムスタファ・アル・カディミ首相に電話し、米国政府がイラクの安全に引き続き尽力していることを再び確約し、エルビル攻撃に対する「憤り」を表明したと述べた。ブリンケン氏はまた、クルディスタン地域政府のマスード・バルザニ首相とも話した。ブリンケン氏は、暴力的過激主義に対処するためにクルディスタン地域政府と緊密に連携し続けるようアル・カディミ氏に促したと付け加えた。

 

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