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ガザで医療紹介が終了し、パレスチナ人患者に大きな影響

パレスチナ保健省によると、ガザでは1万6千人のがん患者が治療を必要としており、毎月120〜130人が新たにがんと診断されている。毎月約15人の死亡が記録されている。(AFP)
パレスチナ保健省によると、ガザでは1万6千人のがん患者が治療を必要としており、毎月120〜130人が新たにがんと診断されている。毎月約15人の死亡が記録されている。(AFP)
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23 Jun 2020 04:06:25 GMT9
23 Jun 2020 04:06:25 GMT9
  • 治療を受けるためエルサレムやヨルダン川西岸へ渡航できないため、今では何千人もの患者が命の危険を感じている

Hazem Balousha

【ガザ市】オマル・ヤギが亡くなったとき、まだ生後8ヶ月にも満たなかった。彼はパレスチナ自治政府(PA)とイスラエル間の治安協力が終わってから最初の犠牲者となった。

ガザ地区の何千人もの患者が、エルサレムやヨルダン川西岸の病院で治療を受けるために渡航ができず、命の危険を感じている。

ネスリーン・アルシャワフは、白血病を患っている14歳の息子サダムがガザ地区で治療を受けることができず、ヨルダン川西岸への渡航が必要であると述べた。

サダムがわずか6歳の時に診断されて以来、イスラエルの病院で治療を受けるためアルシャワフはPAから財政援助を受けていた。

しかし、イスラエルがパレスチナの税収入の送金を保留していた政策への対抗策と思われる、2年以上前のイスラエルの病院への医療紹介を停止したPAの決定により、ガザの患者の治療は、代わりにエルサレムとヨルダン川西岸のパレスチナの病院に移送された。

何年もの間、重篤で不治の病に罹ったパレスチナ人を治療するための治療費はPAが請け負ってきた。そのうちの30〜40%を占めるがんは、金額にして毎年約1億2000万ドルに上り、そのほとんどがイスラエルの病院に支払われている。

ヨルダン川西岸のパレスチナの病院は、イスラエルの病院に比べて複雑な病状の多くに対応できていないが、ガザの病院よりははるかに優れていると、アルシャワフは考えている。

しかし、マフムード・アッバース大統領が5月20日に治安調整を含むイスラエルや米国とのすべての合意や協調関係の解消を決定した今となっては、ガザの患者にはこの選択肢さえも無くなり、ガザの外で治療を受けるための渡航許可が得られなくなった。

「もし息子の治療を続けるためにガザから出られなければ、息子の命が脅かされ、危険にさらされることになりかねません。そうならないことを願っています」とアルシャワフはアラブニュースに語った。

イスラエルとの連絡を担当するパレスチナ当局の民事庁は、患者の渡航を調整する業務を停止している。

ガザのサレハ・アル・ザーク長官は「当局は執行機関であり、PAが下した政治的・主権的決定に従います」と語った。

「この問題はもはや、イスラエル側との調整や連絡を行う権限を持たない当局の職務の範囲内にはなく、アッバース大統領の決定に従います」と述べた。

現地での治療
パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は16日、ガザの患者はPAが契約したガザ地区の2つの病院で治療を受けると発表した。

同首相は、PAは世界保健機関(WHO)や赤十字国際委員会(ICRC)などの国際機関に依頼して、必要とされる医療機器や医薬品の提供を支援すると述べた。

パレスチナ保健省によると、ガザでは1万6千人のがん患者が治療を必要としており、毎月120〜130人が新たにがんと診断されている。毎月約15人の死亡が記録されている。

バスマット・アマルがん治療財団の腫瘍学コンサルタント、ジヤド・アルフジンダルは、ガザにある病院、センター、専門医療チームの能力は、数の面から患者のニーズを満たすには不十分であると述べた。

「ガザは、専門家、医薬品、医療機器、特に放射線治療装置の深刻な不足に関連した複雑な健康上の危機に直面していて、患者の苦しみは、治安協力を停止したPAの決定によるものだけではなく、医療紹介が停止して以来、増加しています」と彼はアラブニュースに語った。

紹介所のマゼン・アルヒンディ所長は「ヨルダン川西岸とガザにあるパレスチナの病院での治療サービスを現地患者に限り、イスラエルの病院の代わりに、エジプトとヨルダンの病院へ優先して重症患者を紹介することをPAは目指しています。特に骨髄移植や原子スキャンによるがん治療など、イスラエルの病院との間で必要性に迫られた場合、イスラエルとの調整はICRCを介して行われます」とアラブ・ニュースに語った。

イスラエルのNGO「人権のための医師団」は、イスラエルや東エルサレムの病院で治療を受ける必要がある数千人のパレスチナ人患者の命が本当に脅かされていると警告している。

「イスラエルは、ヨルダン川西岸とガザにいるパレスチナ人の渡航と生活を管理していて、パレスチナ人の生活をあらゆる面で支配しており、占領と数十年を経て確立した管理体制の責任を負わなければなりません」と、医師団の関係者であるガダ・マジャドルは述べている。

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