


ダマスカス:シリアでは、政府が戦争で荒廃した国土の大部分を取り戻して外国からの経済制裁や国内の経済崩壊に取り組むなか、国民は日曜日に新たな国会議員を選出すべく投票に出かけている。
政府が掌握した地域の国内7400カ所以上の投票所は、午前7時30分(グリニッジ標準時4時30分)に投票が始まる。今回そのなかに反体制派の元本拠地であった地域も初めて含まれる。
バシャール・アサド大統領のバアス党とそれに同調する政党が国会議員250議席のうちのほとんどを占めると予想されている。9年前に内戦が始まって以来、国会議員選挙は今回が3度目となる。
投票前夜のダマスカスで2件の爆発があり、1名が死亡、1名が負傷したと国営通信社SANAが報じた。
国内でいくつかの政党が出馬を認められているが、真の意味での野党はおらず、与党のバアス党が覇権を握ると予想される。
ここ何週間か首都ダマスカスの至るところに立候補者たちの写真が貼られている。1658名の候補者たちのなかには著名実業家も何人か含まれる。
選挙は当初4月に予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大により2度延期された。シリア国民のほとんどが生活費の高騰を心配しつつあるなかで今回実施されることとなった。
多くの候補者たちがインフレ対策と内戦で破壊されたインフラの拡充とを公約に掲げている。
「公共事業拡充のために議員たちは並々ならぬ努力を傾けなければならないでしょう」と31歳の女性開業歯科医であるウマヤ氏は述べた。
38万以上の人々を殺害した内戦を逃れて国外に住む何百万人ものシリア人たちは、投票することができない。
しかし今回初めて、政府が覇権を取り戻した地域においても投票が実施される。そのなかにはダマスカス郊外の東グータ地区やシリア北西部イドリブ県の南部も含まれる。
主要同盟国ロシアの支援で一連の軍事的勝利を獲得し、シリア政府は約70%の国土の掌握を取り戻したとシリア人権監視団はいう。
前回2016年の選挙の投票率は57%だった。
今年の選挙は、9年間の内戦による経済破壊、西側諸国による経済制裁、隣国レバノンの経済危機の副次的影響などを是正すべく政府が苦闘するなかで実施される。
シリアでは食品価格が過去1年で200%以上急騰し、現在の水準は内戦前の20倍であると世界食糧計画は述べる。
シリアではすでに国民の80%以上が貧困状態であり、「かつてない飢餓の危機」に直面していると国連食糧機関である世界食糧計画は警告している。
この選挙はまた、アサド政権発足20年周年となる月に、そして米国が新たに大統領夫人への制裁を含む経済制裁をシリアに課した何週間か後に実施されていることになる。
次の大統領選挙は2021年であり、候補者は国会議員35名以上の書面による是認を必要とする。
ワリド・アリ・ムアレム外相は先月、「シリア国民がアサド大統領の続行を望む限り」アサド氏が政権に就き続けることになるだろうと述べた。
AP