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対テロリズムレポートによると、ダーイシュの新たな指導者は米国のへ密告者だった

ダーイシュはアブ・イブラヒム・アル=ハシミ・アル=クラシがバグダディの後継者だと発表したが、米国高官側はアル=クラシの本当の素性はアル=マウラであり、通称ハッジ・アブドゥーラとしても知られていると言っている。(ツイッター)
ダーイシュはアブ・イブラヒム・アル=ハシミ・アル=クラシがバグダディの後継者だと発表したが、米国高官側はアル=クラシの本当の素性はアル=マウラであり、通称ハッジ・アブドゥーラとしても知られていると言っている。(ツイッター)
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19 Sep 2020 01:09:57 GMT9
19 Sep 2020 01:09:57 GMT9
  • テロ対策センター(CTC)によると、前リーダーのアブ・バクル・アル=バグダディが殺害された後、アル=マウラがダーイシュの新たな指導者となった「可能性が非常に高い」という

エフレム・・コッサイフィ

ニューヨーク:ニューヨーク州ウェストポイントの米国陸軍士官学校に所属する調査機関、テロ対策センター(CTC)からの新たなレポートによると、ダーイシュの新たな指導者だと広くみなされている人物は、かつて米国への密告者だったという。

「日陰の身から踏み出す:イスラム国の未来のカリフの尋問(Stepping Out from the Shadows: The Interrogation of the Islamic State’s Future Caliph)」はタクティカル・インテロ ゲーション・レポート/戦術的尋問レポート(TIR)に基づいている。TIRとは、敵の兵士が拘留されて尋問を受ける際に米軍によって作成される書面証拠のことで、前述の報告書は2000年代末期にアル=マウラが監禁中だった時のTIRに基づくもの。

アル=マウラは、2009年に解放されるまでの間に、テロ活動に関わった過激派たち88人の名前を挙げ、同地域の米軍による尋問中に暴露した彼の情報によって、数十人のアル・カ イーダ兵士を捕獲または殺害することに成功した、と同レポートは記載している。

CTCによると、2009年10月のシリアにおける米軍の空爆で前リーダーのアブ・バクル・アル=バグダディが殺害された後、アル=マウラがダーイシュの新たな指導者となった「可能性が非常に高い」という。

ダーイシュはアブ・イブラヒム・アル=ハシミ・アル=クラシがバグダディの後継者だと発表したが、米国高官側はアル=クラシの本当の素性はアル=マウラであり、通称ハッジ・アブドゥーラとしても知られていると言っている。

ダーイシュに加わる前、アル=マウラはアルカイーダの副リーダーだったと考えられて  いる。

アル=マウラの捕獲に至った作戦に関する詳細はほとんど見当たらないが、TRIによると、彼は2008年1月6日に捕虜となったとされている。

捕獲の翌日、米国中央軍は「誘拐や処刑の命令及び承認に関与していた不法裁判制度の判事をかつて務めていた」指名手配中の人物を拘束したと発表した。

尋問中アル=マウラは尋問官にテロリストたちの計画の詳細をすべて提供し、自身の関与については最小限しか語らなかった。彼は多くのジハード(聖戦)参戦者たちの名前を明かし、テロリスト組織内での彼らの役割や、2003年のイラク侵攻中彼らが米軍同盟軍への攻撃にどのように関与したかについて、詳細な情報を提供したのだった。

アル=マウラはかつてサダム・フセイン軍の高官であり、またバグダディのスピーチ起草者でもあった人物だが、TIRの中では知られざる過去をもつミステリアスな人間として記録されており、その民族性についても確かな判断をすることができなかったという。この報告書内の記載には矛盾する要素が散見され、解釈の仕方にも幅広い可能性が考えられる。その前書きでは、筆者たちも「アル=マウラが彼自身またはISI(ダーイシュの前身)に関して暴露している内容が真実か否かを確かめることは極めて困難だ」と指摘している。

アル=マウラの生誕地、イラクのタルアファーのアル=ムハラビーヤーは、その人口統計の詳細がごく大雑把なものだが、概してトルクメン人口が大半を占めているといえる。同報告書の筆者によると、一部の情報源が「この事実によって彼の正統性に関する問題が生じる可能性がある。ダーイシュは上級指導者層のほとんどがアラブ人で構成されているからだ」と示唆しているという。ただしダーイシュの上級メンバーには他に少なくとも2名のトルクメン人がいるということも報告されているらしい。

アル=マウラは、自分がスーフィ教徒であるため組織に忠誠を誓うことを避けてきたと主張した。しかし彼がこのテロリストグループ内で短期間のうちに実力者として台頭したことや、ISI およびダーイシュがスーフィ教を異端とみなしているという事実を考えた合わせると、報告書の筆者たちは彼のその主張に疑惑を抱かざるをえない。

ただし筆者たちは、TRIがアル=マウラの人となりについての貴重な見方を提供していることは疑わない。

「アル=マウラが(仲間のジハード参戦者たち)に関する詳細な活動内容や証言を提供したという事実から、彼が自分の目的を遂げるためにはグループの仲間さえも平気で裏切るということがわかる」と筆者たちは書く。「情報の詳細さや組織の仲間に関する情報を平気で共有する様子は、忠誠心の欠如、戦略的な計算、はたまた組織運営上のセキュリティに関するアル=マウラ側の諦めの気持ち、のいずれかを意味している。

「アル=マウラは組織の全レベルにわたって、何らかの立場にある個人を名指ししたと思われる。ただし一部の個人についてはある程度詳細に説明していた」と筆者らは続けた。

米国司法省はアル=マウラの本人確認または居場所に関する情報に対して、1千万ドルの報奨金を呼びかけている。

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