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家庭内暴力条約に対する疑念とともに高まるトルコ女性の怒り

2020年8月3日、イスタンブールのカラコイ地区で、アヤソフィアを背景にボスポラス海峡のほとりでおしゃべりする2人の女性。(AFP)
2020年8月3日、イスタンブールのカラコイ地区で、アヤソフィアを背景にボスポラス海峡のほとりでおしゃべりする2人の女性。(AFP)
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05 Aug 2020 08:08:21 GMT9
05 Aug 2020 08:08:21 GMT9
  • 抗議の警告の中、イスタンブール条約撤退に関する主要な協議は延期された

メネクセ・トキヤイ

アンカラ:家庭内暴力と戦うためのヨーロッパの法的枠組みであるイスタンブール条約の批准6周年からわずか数日後、トルコ政府は条約からの撤退危機に関する重要な会合を延期した。

トルコは条約を批准した最初の国であり、法的文書の起草を先導したが、近頃、国内の家庭内暴力率が上昇しているにもかかわらず、撤退をちらつかせた。

与党の正義発展党(AKP)中央幹部は、条約からの撤退の可能性について水曜日に協議することが期待されていたが、撤退は女性の権利に対する攻撃であり安全に対する脅威であると主張する女性グループらの抗議運動が計画される中、会議を8月13日に延期した。撤退を狙うロビー活動を行う者の中には、伝統的な親政府系の超保守派がいる。

しかし驚くべきことに、副大統領タイップ・エルドアンの娘であるスメイエ・エルドアンが副議長を務める女性NGO、KADEMは最近、条約への全面的な支持を表明した。

「現在イスタンブール条約と女性殺害件数の増加との間に関係がないのに、女性の殺害防止を目的としたこの条約をスケープゴートとすることは合理的ではない」とKADEMは声明で述べた。

条約を批判する者は、同条約が女性に対して法的、社会的、経済的に力を与えることによって、家族の財政面・道徳面での完全性が脅かされると主張している。

最近のデータによると、今年に入って7カ月間で155人のトルコ人女性が殺害されている。7月だけでも32人の女性が殺害され、イード・アル=アドハーの期間中さらに2人が殺された。昨年は470人以上の女性が殺害され、女性の権利擁護者は女性たちが「鳥のように狩られた」と述べた。

ズムラウト・セルチュク家族・労働社会福祉大臣は、女性への暴力の潮流が高まる中でも、沈黙を守っている。

女性グループによると、虐待者の多くは「ネクタイやスーツを着用して出廷しているために」刑期が軽減されたり、適切な処罰なく釈放されたりしていると言う。

イスタンブール条約は、2009年の欧州人権裁判所の事件が契機となった。トルコ当局がトルコ人女性とその母親を夫の家庭内暴力から守ることを怠り、母親が殺害されたことで注目を浴びた事件だ。

人権弁護士のドゥイグ・コクサルは、この条約は「女性への暴力防止に取り組む上で『差別的な司法の受動性』と戦うための主要なツールの一つだ」と述べた。

家族を守り、女性に対する暴力を防ぐための法律があるにもかかわらず、このメンタリティには絶えず挑戦をつきつける必要がある、とコクサルは言う。

「政府は強い政治的意志を示し、一歩も引かず、後退を防がなければならない」

ここ数週間、トルコの女性たちはソーシャルメディアに象徴的なモノクロ写真を投稿し、条約への支持とともに、次は自分の番かもしれないことを示した。

「チャレンジ・アクセプテッド」と呼ばれるこのキャンペーンは、デミ・ムーア、クリスティーナ・アギレラ、ジェシカ・ビールなどの有名人の支持を集めた。

アドボカシー(権利擁護)プラットフォーム「We Will Stop Femicide」(女性の殺害を止める)のスポークスマン、メレク・オンダーは、「女性がまっとうに生きる権利を支持するか、残忍な殺人に目をつぶるか」の、二つに一つだと言う。

オンダーはアラブニュースに語った。「コロナウイルスの流行による一連の自己隔離の後、トルコでは女性への暴力が急激に増加した。条約からの撤退の可能性に関する最新の議論は一層状況を悪化させた。また、女性を殺害しても責任が問われないと男性が捉えたことで、毎月の殺人件数は約30件に上昇した」

オンダーは暫定的な解決策を拒否する。「批准するか、撤退するかの、二つに一つだ。他の選択肢などない。交渉するものも何もない」とオンダーは言う。

「この条約の存在は、すべての問題を解決するわけではなく、暴力と犯罪に関して保護的かつ積極的な措置を講じるという保証に過ぎない」とオンダーは述べた。

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