
Ephrem Kossaify
ニューヨーク:イランのアメリカ公使の地位を継ぐこととなるベテラン外交官のエリオット・エイブラムスは、テヘランの軍事力を抑止する戦いにおける重要な局面で、役職に就任することとなった。
米国国務長官のマイク・ポンペオは、ブライアン・フックが、ベネズエラ公使のエイブラムスに役職を譲り渡すことになると、木曜に発表した。エイブラムスは著名な対イラン強硬派であり、両方の役職を務めることになる。
10月に期限が切れる、イランへの武器売りつけの禁止を、正式に延長することについて国連において満場一致の支持を得ようとアメリカが奮闘しているときに、この役職交代は起きる。
1年半の勤務の後でのフックの辞任は、アメリカとイランの間の緊張が高まるタイミングでのことである。彼の辞任により、ドナルド・トランプの任期終了の前にイランとの間で外交的な新提案が行われる可能性はなくなった。
後任のエイブラムスは、アメリカの最も著名な新保守主義者の1人であり、2015年のイラン核合意の歯に衣を着せぬ批判者でもある。
国際的な大国間で合意され、包括的共同作業計画(JCPOA)として知られる合意は、重大な影響を与える制裁を軽減する代わりに、イランの核開発を抑制することを目的としていた。
トランプを含む、合意に反対する者たちは、合意によってイランは弾道ミサイルの開発を続けることができるようになり、中東においてイラン政権が攻撃的な外交政策を行う資金の余裕を生じさせたと述べている。トランプは2018年にアメリカを合意から脱退させている。
エイブラムスは、合意を取り仕切ったバラク・オバマ前大統領を、彼の言うところのキューバモデルに基づいて合意を行ったことについて非難した。
「深刻な経済的問題を抱えた政権に救助の手を差し伸べ、イラン国民を無視し、彼らが人権やきちんとした政府を追求するのを無視している」と2015年に彼は書いている。
「歴史的な達成と呼びなさい、そして何よりも弁償を強く求めてはいけない。というのも、ほら、イランやキューバに開いた対応を取ることで、アメリカが犯してきた、我々がそれに対して謝らなければならない、歴史的な過ちを正しているだけなのです」
アメリカとその同盟国にとって目下の関心事は、国連の武器貿易禁止の延長を確実なものとすることである。
貿易禁止の継続はイランの核合意離脱につながるとヨーロッパ諸国が懸念しているのに対し、来週アメリカが安保理事会で新しい決議を提案するのに際して、貿易禁止延長のために、エイブラムスは、運動を行うと予測されている。
理事会における否決権を持つ5つの常任理事国の2つであるロシアと中国は、従来型の兵器をイランに売るのに対する国連による禁止が、2015年の合意で設定されたとおりに、10月18日に終了することを望んでいる。
アメリカが延長にこぎつけなかった場合は、イランとの核合意の一部として解かれた、国連による経済制裁を「反動として行う」事を考えていると、今週、ポンペオは明確な形でにおわせた。
「我々は反動としての制裁を行う能力があり、我々はそれをアメリカを守るようなやり方で行使する」とポンペオは上院外交委員会に述べた。
昨年から、エイブラムスはベネズエラ公使として務めてきた。トランプ政権がニコラス・マドゥロ大統領を権力から引き離そうとしていたため、彼が登用された。
エイブラムスとフックは国務省において隣室であったため、エイブラムスは、「イラン政策について私が聞くことの大半は壁を通して聞こえてくることだ」と述べた。
ハドソン研究所におけるフックとの対話で、エイブラムスは、ベネズエラとイランの間で新たに築かれた関係について話し、2国をのけもの政権と名付けた。
「2国は本質的に友達のいない国なんです」
「だから、彼らは、ほら、我々はそんなに孤立していないと言うやり方をさがしているのです」
「それから、非常に実際的なこともあります。マドゥロは石油という売るべきものを持っていて、ガソリンを極度に必要としています。誰も石油を買ってくれません。金の埋蔵量は確かにあるので、イランに対して、『もし金がほしいなら、金をあげるよ』と言うことができます」
「そしてもちろんイランは莫大な量の石油とガソリンを持っていて、それを手放すのに手こずっています」
アメリカ大統領の役割に対するエイブラムスの見方は、彼が2014年に米ウェブサイトのポリティコに寄稿した、オバマに関する「中東を壊した男」とタイトルのついた記事に最もよくまとめられている。
記事では、テヘランから地中海にかけての領域における支配力をイランが持つのを可能にしたことや、米国政府の湾岸における同盟を手放したことについて、エイブラムスが当時の大統領を非難している。
「ベイルートの南の郊外のヒズボラから始まって、シリアやイラクを通る直線に沿ってイランに至る地図は、今では悪夢的光景であるだけでなく、イランの軍事力と同盟と影響力がどこに存在するかの現実的説明となるだろう」と彼は書く。
「それがサウジアラビア人、アラブ首長国連邦人、クウェート人や他の国の人々が自分の周りに見ている、以前の(アメリカという)守護者が躊躇する間に、年々広がっているものなのだ」
「『分かっている』、危機を自分たちと同じように見ている、イランが覇権を得ようとしていることを自分たちと同じように理解しているもう一つの国を、彼らは認識する。イスラエルのことだ」
「彼らがみな住んでいる世界では、弱いものは消え、強いものが生き残り支配する。彼らは究極の現実主義者なのだ」
72歳のエイブラムスは、ロナルド・レーガン大統領のもとで1980年代に、ラテンアメリカで見られた共産主義的脅威に対して干渉主義を取るタカ派として名を挙げた。
当時の国務次官補として、彼は1991年のイラン・コントラ事件において中心的な役割を果たした。そのとき、議会に情報を公開しなかったという2件の軽犯罪によって有罪判決を受けた。
彼はその後、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領によって1992年に赦免された。
退職するイラン公使のフックについては、「イラン政権に対する歴史的な結果」を上げたとして彼の努力をたたえた。
フックは、トランプのイランに対する「最大圧力」政策を実行するのに、ポンペオと非常に親密に働いていた。
彼はフックの努力のうちから、Michael WhiteとXiyue Wangという2人のアメリカ人捕虜を、イランの刑務所から開放したという成果を選り抜いた。
ニューヨーク・タイムズのインタビューでは、フックはイランが今では衰弱していると主張した。
「合意がなされようとなされまいと、我々は非常に成功した。どんな指標をとっても、政権とその代理としてのテロリストは3年半前と比べて弱くなっている」