
【ベイルート】31日、レバノンの新たな首相に駐独レバノン大使のムスタファー・アディーブ氏が指名された。経済の退潮が厳しいなかでベイルートの大規模爆発が追い打ちをかけ、底の見えない危機的状況のただなかにいる同国の舵取りを任されることになる。
大統領府によりテレビ声明が出された。同時に、アディーブ氏がベイルート近郊のバアブダー宮殿に到着、ミシェル・アウン大統領とナビーフ・ビッリー国民議会議長と面会したとも伝えられた。
アディーブ氏は、早急に組閣をおこない大規模な改革に着手したいとの抱負を語った。
同氏は、IMF(国際通貨基金)との合意取り付けのとば口として、ただちに改革を実施することを求めた。
「レバノンのたどれる道筋は狭い」。アウン氏から正式に指名を受けたアディーブ氏はそう語った。
同氏は48歳で北部のトリポリ市出身。レバノンでは宗派主義によりポストを割り当てられるため、スンニ派の同氏が首相となるのは問題ない。
在ベルリン・レバノン大使館のウェブサイトによれば、同氏は政治学の博士号をもつ研究者でもある。
同サイトの記述によれば、同氏は、「人間の安全保障および国家の安全保障、安全保障分野における議会監視、地方分権および地方民主主義、選挙法といった領域で調査研究活動」に従事した、とされる。
同氏は2000年から2004年にかけて、億万長者で元首相のナジーブ・ミーカーティー氏の顧問を務めた。元首相は31日の首相指名で同氏の後ろ盾となった。
2011年には当時の首相ミーカーティー氏がアディーブ氏を内閣官房長官に指名している。