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トルコでまたぞろクルド人弾圧の凶兆

トルコ政府は反対派の声を封じているとして非難されている。(ロイター/資料写真)
トルコ政府は反対派の声を封じているとして非難されている。(ロイター/資料写真)
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16 Sep 2020 07:09:33 GMT9
16 Sep 2020 07:09:33 GMT9
  • 政治家も民間人も同様に暴力と用意周到な攻撃の対象に

アラブニュース

【イスタンブール】クルド人弾圧の動きがトルコ中で引きも切らない。犠牲となっているのは、公選された政治家や兵士たちにとどまらず、季節労働者にまでおよんでいる。

15日、親クルド系の人民民主主義党(HDP)の元議員で、東部アール(Ağrı)県の市長経験者でもあるスルル・サクク(Sırrı Sakık)氏が、テロ行為に加担したかどで5年10か月の禁錮刑を言い渡された。

事件の核心は、同氏が5年前におこなった報道声明にさかのぼる。非合法のクルディスタン労働者党(PKK)とトルコ軍との間で起きた衝突にまつわるものだ。

罪状は、「PKKへの積極的な支援」および「テロの宣伝活動をおこなったこと」だった。その実同氏が実際にしたのは、クルド人政治家やNGO代表らなど250人からなる団体に加わって、トルコ政府に対し暴力に終止符を打つためPKKとの交渉を再開するよう申し入れたことにとどまる。

「こんな衝突がいつまでも続くようではたまらない。NGOメンバーやアール県県民はこうした衝突の再発防止をになっているのだ」。これが同氏の当時の発言内容だ。

サクク氏は1990年代から活動し政治家としては重鎮だ。が、2017年に政府が依託統治者を市のトップに据えたため、市長の座を解任された。

先週にはHDPのレムジイェ・トスン(Remziye Tosun)副代表がテロ行為のかどで10年の禁錮刑を言い渡されている。2016年にディヤバクル(Diyarbakır)県であった衝突事件でPKKの負傷したメンバーらの手当てをした、というのが罪状だ。

トルコ政府とPKKは2015年夏に短かった停戦を終わらせている。以後、クルド人が多数居住する南東部および東部の県の数々で暴力をともなう衝突事件に道を開くこととなった。

ほかには、クルド系のトルコ兵ドアン・チェティン(Doğan Çetin)さん(20)が兵役義務中に2人の同僚兵士らの襲撃を受けるとともに上官からも侮辱を受けた、との報が伝わる。上官は、チェティンさんがトルコ国内でクルド語を使用することについて意見を述べたことに対し、「裏切り者のテロリスト」呼ばわりしたという。

「ウルファ(Urfa)やヴァン(Van)やシュルナク(Şırnak)といった街の出身者はみなおれの仲間なんだ。おれたちはクルド人なのにたがいに話が通じない。クルド人全員がクルド語で教育を受けられればよいのだが」。これがチェティンさんが同僚兵士らに語った内容だそうだ。

この件については、トルコ政府通信局にチェティンさんが連絡したことを受け、トルコ軍当局も調査を開始している。

南部アダナ(Adana)県選出のHDP所属議員、トゥライ・ハトゥムオウルラル(Tulay Hatımoğulları)氏はアラブニュースにこう語っている。「複数のクルド人政治家や市長がいま獄中にある。クルド人は母語であるクルド語を話したい、という理由だけで打擲されているのだ。政府は、議会第3党のHDPにテロリストの刻印を打ち政治的に抹殺してしまうことでトルコ政界から追い出そうというもくろみのようだ。要するにわれわれの社会的影響というものを破壊する意図だ」

ここしばらくの間でも、クルド人に対する物理的な襲撃は相次いでいる。9月4日には、西部のサカリヤ(Sakarya)県でヘーゼルナッツの収穫に雇用された16人のクルド人農業季節労働者らに対し、トルコ人の集団が攻撃を仕掛けている。クルド人たちの怒りに火を注ぐ結果となったが、2人が勾留されたものの襲撃についてはのちに保釈となった。

9月13日には東部のヴァン県でクルド人建設労働者らが武装攻撃の対象となり、1人が亡くなっている。エーゲ海地方のアフィヨン(Afyon)県で2人が傷を負わされた、という一件もある。

ハトゥムオウルラル氏は語る。「いくら襲撃されようと、HDPは民主主義と平和と正義のための闘いをやめることはない」

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