
Arab News
ジッダ:アゼルバイジャン・アルメニア間の衝突が激化する中、トルコ政府はアゼルバイジャン政府に対する全面的外交支援を提供した。
これは、衝突中の地域パートナーの軍事的強靭性を増強するため、シリアの聖戦士集団のアゼルバイジャン領内への流入をトルコ経由で手配したという広範囲にわたる報道と一緒であった。
しかしながら、物議を醸しだしているトルコのシリア、イラク、リビアへの介入後、南コーカサスでの衝突への積極的な関与は、トルコ政府が地域的野心を拡大するためどこまでやるのかと、非難の口火を切った。
「我々は、市民の損失を生じ、明らかな国際法違反であるアルメニア攻撃を強く非難する。トルコはアゼルバイジャンを完全支援している。トルコはアゼルバイジャンが望むいかなる方法も支持する」と、トルコ外務大臣の9月27日声明にはあった。
アルメニア政府関係者は、トルコ軍は合同訓練活動のためアゼルバイジャンに行った後、一部が同地に駐留していると、長らく主張している。
シリア国民軍(SNA:Syrian National Army)の情報筋によると、聖戦士が最大1,000名アゼルバイジャンに傭兵として配備され、シリアのクルド人民防衛隊の民兵筋からは、シリア人傭兵数100人がトルコ南東のキリス県を通過して移送されたそうだ。
トルコのジャーナリスト、ヒクメット・ドルグン(Hikmet Durgun)氏は、SNA戦闘員は、南コーカサス内陸の紛争地域ナゴルノ・カラバフ(Nagorno Karabakh)方面に配備されるだろうと主張した。
Arab Newsの得た情報源では、傭兵の何人かはリビヤの戦闘地でトルコに支援された党派から集められたとも主張した。
シリア人傭兵はトルコ情報機関の仲介を通じて一人当たり月2000ドルの賃金の約束で募集され、トルコ軍の貨物機経由でグルジア領空を使ってアゼルバジャン都市ギャンジャとバクーに輸送されたと言われる。
「一カ月ほど前、アゼルバイジャンに行く登録ができるという噂がWhatsAppでSNA戦闘員の間に広がった。多数がWhatsAppで登録し、残りは明らかにトルコ管理地域にあるオフィスで登録した。戦闘員は噂された魅力的な給料2000~2500ドルのために登録した」と、世界政策センター(Center for Global Policy)のエリザベス・ツルコフ(Elizabeth Tsurkov)氏はツイートした。
シリアのイドリブ県地方紙Idlib post紙もシリア国民軍戦闘員300名の一群がアレッポ地方にあるシリア領土からトルコ経由でアゼルバイジャンに出発したと写真付きで確認した。
受賞歴のあるジャーナリスト、リンゼイ・スネル(Lindsey Snell)氏は、戦闘員は主にシリア北部での軍事行動にトルコ軍と一緒に代理部隊として協力した、シリア北部のシリア反乱グループのハムザ派から選抜されたと語った。
一方、日曜のイラン外務大臣ジャヴァード・ザリーフ(Javad Zarif)のアンカラへの公式訪問は突然キャンセルされた。
地域専門家のポール・アントノプロス(Paul Antonopoulos)氏は、日曜の衝突は、EU、ロシア、そしておそらくアメリカからの圧力の後、敵対を終えるため停戦で終わるだろうと予想している。
「アルメニアは、ロシアが主導するユーラシア軍事連合である集団安全保障条約(Collective Security Treaty Organization)の加盟国なので、トルコは軍隊に直接干渉することを思いとどまり、従って、衝突はアルメニアとアゼルバイジャンの間に封じ込められるだろう」と同氏はArab Newsに語った。
一方、ニコル・パシニャン(Nikol Pashinyan)アルメニア首相は、「最終的には地域情勢を不安定にするトルコによるいかなる干渉の可能性を停止するため影響力を全て用いる」よう国際社会に促した。また、同首相は、トルコの行動は南コーカサスと近隣地域に破滅的な結果を与えかねないとも語った。
トルコがシリア北部からアゼルバイジャンに戦闘員を移動したという強力な証拠があり、リビアで用いられたのと同じようなこの代理部隊が使われそうだと、アントノプロス氏は考えている。
「トルコは疑いの余地なく直接的軍事介入を防げるあらゆる可能な方法でアゼルバイジャンを支援している。アゼルバイジャンに対するトルコの強力な外交的支援は、物的、情報的支援とともに継続するだろう」と同氏は語った。「敵対を終わらせる国際的圧力が十分ある場合、ロシアとトルコは、敵対を一時的に終了させるために協調するだろうと思う。」
ジュゼップ・ブレイ・フンテーリャス(Joseh Borrell Fontelles)欧州連合外務大臣・安全保障政策上級代表は、日曜夕方、アルメニアとアゼルバイジャンの閣僚と話し、即時停戦を促し、交渉のテーブルに戻るよう求めた。
しかしながら、トルコの親政府ジャーナリストの中には、アゼルバイジャンの権益を保護するため、アルメニアへの軍事力行使を求めた者もいる。
主要な政府系新聞の一紙、Yenisafakの主筆であるIbrahim Karagul氏は、トルコのアゼルバイジャンへの連携を示すため「エレバン中心にミサイル」を落とすことを勧め、「このような方法で100年以内にコーカスイスラム軍を組織できる」と付け加えた。