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EUが、新政府樹立を果たせないレバノンの政治家たちを批判

ムスタファ・アディブ氏(AP)
ムスタファ・アディブ氏(AP)
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30 Sep 2020 01:09:01 GMT9
30 Sep 2020 01:09:01 GMT9
  • フランスのエマニュエル・マクロン大統領は日曜日、レバノンの政治的エリート層に対する怒りを表明した

ナジア・フサリ

ベイルート:レバノンでは、指名された新首相がヒズボラとその支持勢力から主要な閣僚ポストに関する圧力を受けたことで週末に辞任し、新政府樹立が未だ果たされていないことから、EUは月曜日にレバノンの政治家たちを非難した。

レバノンは1年近くに及ぶ激しい混乱に見舞われており、その混乱は新型コロナウイルスの感染拡大と8月4日にベイルートで起きた壊滅的な爆発とでさらに悪化している。レバノンは深刻に援助を必要としているが、国際社会はその援助を、レバノンが必要な改革を成し遂げるまで提供することはない。

首相に指名されたムスタファ・アディブ氏は、爆発事故を受けて前首相が辞任した後、新政府の組閣を任された。ところが8月31日に指名されたばかりのアディブ氏が、辞任を表明したのだ。

EUのジョセップ・ボレル外務政策上級代表は月曜日、アディブ氏の辞任と彼をその決断に導いた状況に関して、「失望と懸念」を表明した。

ボレル氏は次のように述べた。「レバノンの指導者たちは、新内閣を迅速に樹立すべく力を合わせ、持ち得るすべての力を出し切らなければならない。迅速な政府樹立はまた、急を要する国際通貨基金(IMF)との合意成立のためにも必要不可欠だ」

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は日曜日に、レバノンの政治エリート層に対する怒りを表明し、交渉の決裂は、爆発後にベイルートを2度訪問した「私の目前で誓った約束に対する、裏切りと不履行だ」と述べた。

彼の厳しい態度が日曜夜、レバノン当局に対する抗議活動に火を点け、予測された道路のバリケードを阻止すべく翌朝に軍が配備された。SNSでは国民に対して再び通りに繰り出そうとの呼び声が上がったが、交通は通常通りで収まった。 

 マクロン大統領は門戸を開いたままとし、長らく果たせないでいる改革を実行する新政府の樹立のために、さらなる6週間を政治指導者たちに与えた。

しかし大統領府は、組閣を阻害している膠着状態への解決策を見出す今後の動きについて何ら声明を出しておらず、新首相を指名するために必要な議会審議の開催日程もこの数日うちに組まれそうには見えない。

大統領府筋は、マクロン氏の言葉は「厳しいものであり我々はそれを評価する」と述べ、一方でミシェル・アウン大統領は、マクロン氏の構想に取り組む意思を改めて表明し、フランスの大統領がレバノンの国家と国民に寄せてくれる関心に感謝した。

大統領府職員によればアウン大統領は、「アディブ氏がマクロン大統領の構想通りに新政府の樹立を果たせなかったことを遺憾としており、とりわけ今回は改革を実行しなければならない時であり、その改革が法案の議会承認を必要とするものであろうと、内閣の発足について議会承認を得た後に新政府が発令するものであろうと、是が非でも成し遂げなければならない改革であるだけに尚更」だと述べているという。

ヒズボラとアマル運動は、マクロン大統領の発言についてコメントしていない。

しかしヒズボラに近い筋からの過去24時間の発言によれば、ヒズボラはマクロン大統領の声明は偏っていると捉えており、ヒズボラ書記長のハサン・ナスララ氏が火曜日に声明を公表すると予告している。

進歩解放議会ブロックのアマル運動派の党員であるアリ・ハサン・ハリル氏は、「承認された彼の構想は成文化され配布されており、その内容はよく知られている」と言ってマクロン大統領の発言へのコメントを拒否した。

イランのサイード・ハティブザディ外務省報道官は、次のように述べた。「レバノンの状況は、レバノンの人々の間で解決すべき内政問題だ。イランとフランスの間で話し合いはしている。しかしイランはいかなる他国にもレバノンへの介入を呼び掛けることはしない」

未来運動党員であるムスタファ・アロウシ氏は、マクロン大統領は誰からも偏っていると非難されることがないよう全員を批判しているのだと述べた。

「マクロン大統領は、ミシェル・アウン氏、ヒズボラおよびアマル運動、そして未来運動をも含む残りのレバノン政党すべてを直接批判しており、すべてに責任を負わせることによっていずれかの党に肩入れしていると取られないようにしている」と彼はアラブニュースに語った。

未来運動は組閣を委ねる人物について、他の候補者を検討する前にいずれかの人物を指名するつもりはないと彼は述べた。昨年辞任したレバノン元首相サード・ハリリ氏が誰かを指名することはないし、彼自身が候補者となることもないだろうとアロウシ氏は付け加えた。

「アウン大統領はフランスの構想に懸命に取り組むと表明しているが、ヒズボラを含む誰もが問題はそれほど簡単ではないことを承知している。アマル運動は追い詰められていると感じ始めているが、ヒズボラが態度を変えない限り何も変わらないだろう」

現在の膠着状態を克服するには、米大統領選や、安全保障上の重要案件、新たな国家による新たな理解など、なにか重要な事が起きる必要があるとアロウシ氏は考えている。

2つの反ヒズボラ団体である山岳女性会議と国家イニシアチブ運動は、今回のフランスの取り組みとマクロン大統領の言葉からレバノンが学んだ教訓は、憲法、国民和解憲章、国連決議案に反すれば、レバノンに国家を樹立するのは不可能だということだと述べた。

そして、派閥議会の設立によって憲法を順守するのが不可能であるのと同様、ヒズボラの武器の影響下でレバノンに国家を復興させることは不可能であるとも付け加えた。

彼らはまた、他の政治グループや人材たちと協力し、「レバノンをイランの影響力から解放」し、法の支配、主権、自立を基盤とした国家を樹立すべく共同定期プログラムについての構想を練っていると公表した。

 

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