
ベイルート:トランプ政権は水曜日、バシャール・アサド大統領とその取り巻きに対する圧力の一環として、シリアの組織と個人に制裁を科した。
今回の制裁措置は、シリア南部でロシアが支援するシリア軍と少数集団ドルーズ派に属する現地民兵との間に激しい衝突が勃発し、何十名もの死傷者が発生した翌日に発動された。だがこの制裁はシリア南部の戦闘に関係するものではない。
米財務省・国務省によるこの制裁措置は、「シーザー・シリア民間人保護法」と呼ばれる法令によるものだ。法令名は、アサド政権下の拷問被害者何千名もの写真を公開したあるシリア警察官のハンドルネームに由来する。
水曜日の制裁対象に含まれたロシアが支援するシリア軍第5軍団は、2011年3月に始まった内戦中に組織された部隊だ。第5軍団には、後にアサド政権に忠誠を示した反乱分子も含まれている。
米国務省は、「シリア国内での妨害、破壊行為、停戦妨害に関わった」として、第5軍団司令官ミラド・ジェディド少将に制裁を科すと述べている。
制裁対象には、ヤセル・イブラヒム容疑者の2人の姉妹も含まれる。イブラヒム容疑者は、シリア内戦の政治的解決を妨害し、中東その他における自身のネットワークを駆使してアサド大統領に利すべく取引したとされる。
「ヤセル・イブラヒム容疑者が主導するイブラヒム一家は、バシャール・アサド大統領およびその妻であるアスラ・アル・アハラス夫人の隠れ蓑の役割を果たしている」とマイク・ポンペオ国務長官は述べた。国務省は、姉妹をナスリーンとラナと特定している。
米国はシーザー法の施行を6月に開始し、人権侵害と9年に及ぶ残虐なシリア内戦の解決妨害をしたとして、大量の経済制裁と渡航制裁を発動した。
今年すでに発動された制裁対象には、アサド大統領夫妻、その長男のハフェツ氏およびその他のアサド家の面々、軍上層部、企業の重役などが含まれていた。リスト上の多くはすでに米国の制裁対象であったが、今回は彼らと取引関係のある非シリア人も対象とされた。
今回の新たな制裁の波は、シリア南部で第5軍団と少数集団ドルーズ派に属する現地民兵との間で勃発した衝突を反戦活動家たちが報告したのと時を同じくして起きた。
英国を拠点とする反戦監視団体であるシリア人権監視団は、火曜日にスウェイダ県で勃発した戦闘により16名のドルーズ派戦闘員と12名の第5軍団兵士が死亡したと発表した。負傷者は両陣営で何十名にも及ぶという。
水曜日の現地の状況は比較的穏やかであると同人権団体は述べている。
スウェイダ県の活動家集団である「スウェイダ24」は、県の首都であるスウェイダ市で水曜日、前日に死亡した15名の戦闘員たちの葬儀が執り行われたと述べた。
同組織によれば今回の戦闘は、自分たちが先に入植していた農村から第5軍団を追い払うおうと現地の民兵たちが付近のカラヤ村にいた第5軍団を攻撃したことにより勃発したものであるという。
AP