
ジャイス山—- アラブ 首長国連邦(UAE)最北の首長国は、コロナウイルスのパンデミックの中、広々とした空間、新鮮な空気、ソーシャルディスタンスを保つ山頂を紹介する新たなアドベンチャーキャンプが、観光産業の復活を支援することになればと願っている。
そしてそれが機能しなかったとしても、昆虫食がある —— このコースに華を添えるイギリス人冒険家の十八番だ。
ラアス・アル=ハイマはジャイス山で新たな屋外アドベンチャーキャンプを提供すべく、サバイバルインストラクターのベア・グリルス氏と提携した。ジャイス山は石油が豊富なUAEで最高峰の山である。
元英国陸軍特殊空挺部隊隊員がテレビ放送向けのトレッキングで後ろに撮影隊を従え、自信満々な様子を見せて、未知の領域に踏み込んでいく。
彼のアウトドアの名言がラアス・アル=ハイマで提供されたコースに散りばめられ、何時間も続くこともあれば、その名言が一晩のコースの経験を丸ごと網羅することもある。そのコースとは、ナイフを使った戦い方、結び目の作り方、ビーチサイドの休暇でのルームサービスとはかけ離れた食事について学ぶコースだ。
ベア・グリルス・サバイバルアカデミーのマーティン・ノートン主任講師は、「人々は快適な領域から引っ張り出されることを願っています。それが私たちがしようとしていることです」とAP通信に語った。「私たちはすべての人に、不快だと感じるような、ある種の限界を体験してもらうよう、試みます。そして、そう、私たちは彼らの背中を押すことができます。そうすれば、彼らはコース終了後に、自分は自分が思っている以上のことができると信じるのです。」
参加者は木曜日にジャイス山の垂直の山腹を懸垂下降した。頭上では山羊の群れが鳴いていた。乾燥した虫に何人かがしかめっ面をし、それはAP通信のある記者にとってはバルガーウィートかと思われる味だったが、親切にもインストラクターが後味が長く続くと説明したのだ。
グリルス氏のアドベンチャーキャンプは、彼の母国イギリスと、中国の10箇所でも既に行われている。ラアス・アル=ハイマは彼にとって中東初の記念キャンプとなった。また、ジャイス山は、同首長国の世襲君主、シェイク・サウード・ビン・サクル・アル・カーシミーの宮殿のある山でもある。
地図を調べなければラアス・アル=ハイマ(または「テントのてっぺん」)の場所がわからなくても問題ない。7つの首長国から成る連盟の中の精力的な首長国で超高層ビルの並ぶドバイや同じく精力的で石油が豊富なアブダビの存在により、ラアス・アル=ハイマは往々にして影が薄いのだ。
同首長国は、その点を除けば、その頭文字RAKを冠した陶磁器製造所で有名であり、UAEの第二の観光地、また、同国の何百万人もの国外居住労働者向けの手軽な休暇の地を自負して、観光業の促進に取り組んできた。海外からの観光客のほとんどが、ロシアやカザフスタン、その他、旧ソヴィエト連邦諸国の人々だ。
ラアス・アル=ハイマの報告によれば、2019年の観光客は112万人に上った。
しかし、そんな中、コロナウイルスのパンデミックとなった。これにより、世界的に空の便が運航停止となり、UAE全体の重要な観光市場が利益を奪われる事態を見た。同首長国は「ステイケーション」市場を追求し、結果的に5月にイギリスのタブロイド紙の標的になるという憂き目を見た。イスラム教の神聖な断食月間であるラマダンに、ホテルのプールは人で溢れかえり、バーには人が密集したのだ。
新鮮な空気、涸れ谷の岩をよじ登っている傍の広々とした空間、渓谷、ベア・グリルス・キャンプの質素なスタイルは、今や、見るからにそれとは正反対のものを提供している。ゲストのために輸送用コンテナから宿泊用のキャビンを建てる計画がある。ベニヤ板でできた二段ベッドと切り立つ山腹の近くで小さな音を響かせる発電機のあるモデルキャビンが木曜日にできて公開された。
国有ホテルのRAKホスピタリティ・ホールディングの経営者、アリソン・グリンネルCEOは、AP通信に対し、旅行者は新しいアドベンチャーキャンプが提供するような「気晴らし」を求めていると語った。
グリンネルCEOはパンデミックによって観光業がどのように変化したかを尋ねられ、「私たちは完全に以前と同じようにはならないでしょう」と話した。「人々はもっと広々とした空間に慣れるべきだと思います。」
ラアス・アル=ハイマ観光開発局のラキ・フィリップスCEOによれば、ラアス・アル=ハイマは今や海外からの旅行者に対して無料の鼻腔検査も提供している。
「ラアス・アル=ハイマ政府が補助金を出しているのは、確実に私たちが観光客を歓迎し、彼らが自分たちの安全を知り、その負担を私たちが軽くできるということのためです」とフィリップ CEOは話した。
彼は言い添えた—- 「ソーシャルディスタンスを保つ一番簡単な方法は山にいることです」。
AP