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国連:核兵器禁止条約の発効決まる

国連事務総長アントニオ・グテーレス。 (AP)
国連事務総長アントニオ・グテーレス。 (AP)
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25 Oct 2020 12:10:48 GMT9
25 Oct 2020 12:10:48 GMT9
  • 核兵器禁止条約(TPNW)、50ヵ国目としてホンジュラスの批准が国連に報告され、発効が決まる
  • 米国は一貫して条約に反対し、核兵器の検証の時間を遅らせ、また各国分裂の要因になると主張

国際連合:国連は土曜日、50ヵ国が核兵器を禁止する国連条約を批准したと発表。90日後には発効する。条約の発効が反核活動家によって歓迎される一方、米国を始めとする主要な核保有国は強く反対している。

金曜日の時点で、条約は既に49ヵ国で批准されていたが、国連はホンジュラスが50ヵ国目として批准したとの報告があった旨を明らかにしている。

国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、条約を批准した50ヵ国を称賛し、また交渉を促進し、批准を後押しした市民社会の活動に対して、「非常に大きな支援となった」と敬意を表した、と国連のスポークスマン、ステファン・ドゥジャリックは述べている。

国連事務総長は、来年1月22日に発効するこの条約は、「核兵器の使用による壊滅的な人道的影響に注意を引く」という世界的な運動のまたとない機会となり、また、「これまでの核爆発、核実験の生存者への何よりの贈り物であり、その多くの人々はこの条約を支持している」と、述べた。

グテーレス事務総長は、この条約は「国連の軍縮の最優先事項であり続ける核兵器の完全廃絶に向けた有意義なコミットメントを表している」とコメントしたと、ドゥジャリックは述べた。

2017年のノーベル平和賞を受賞し、これまで兵器禁止条約批准の先頭に立ってきた、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の事務局長であるベアトリス・フィンは、次のように述べている:「広島と長崎への身もよだつ核爆弾投下、そして、核軍縮を礎石にした国連の創設から、今この瞬間75年になります」

「この条約を批准した50ヵ国は、核兵器は不道徳であるだけでなく違法であるという新しい国際規範を設定する上で真のリーダーシップを示しています」と彼女は述べた。

条約批准50ヵ国目が報告されたのは、ちょうど国連を公式に設立し、国連の日として祝われる国連憲章の批准75周年にあたる日だった。

「国連は核兵器廃絶を目標に平和を推進するために設立されました」とフィンは述べる。 「この条約は、国連のあるべき最高の姿をも表しています。市民社会と緊密に協力して、軍縮交渉に民主主義をもたらします」

条約は、すべての批准国が「いかなる状況においても、核兵器またはその他の核爆発装置を開発、試験、生産、製造、その他の方法で取得、所有、または保管してはならない」ことを要求している。また、核兵器または核爆発装置の譲渡または使用、およびそのような兵器を使用するという脅迫を禁止し、締約国に、条約をまだ批准していない国に対して、批准を勧めることを義務付けている。

条約の発効と共に、この条約を批准したすべての国が、定める要件に拘束される。

米国は、トランプ政権として、条約批准は「戦略的誤り」だと考えている旨の書簡を批准国向けに送付しており、あまつさえ批准を取り消すように促している。

AP通信が入手した米国の書簡では、従来の核保有5ヵ国(米国、ロシア、中国、英国、フランス)と米国のNATO同盟国は条約批准の「潜在的な影響に反対する立場で統一されている」と記されている。

また、TPNWとして知られる核兵器禁止条約は、世界的な核不拡散の努力の要と考えられている半世紀前の核不拡散条約に「検証と軍縮の時間を遅らせ、かえって危険である」とも述べている。

「TPNWの取扱いに関しては、国際社会の対応が分裂しており、今後も分裂状態は続き、コンセンサスに基づく進展の唯一の現実的な見通しを提供する既存の不拡散と軍縮のフォーラムに分裂の構図を持ち込み、さらに定着させるリスクがある」と書簡は続けて述べる。「TPNWが差し迫った拡散に対処するために協力する私たちの努力を損ねることが許されるのなら、それは残念なことである」

フィンは、「核不拡散条約は、核兵器の拡散を防止し、核兵器を廃絶することを目的としており、TPNWもその実現を目指すものである。核兵器を禁止することが、核不拡散条約の弱体化につながるという論法にはつながらない。核兵器禁止が核不拡散条約の最終目標でもあるはずだ」

NPTは、元々の核兵器保有5ヵ国以上に核兵器が拡散するのを防ぐことを目指した。非核署名国は、核兵器保有を追求しないことと引き換えに、核保有5ヵ国は核軍縮に向けて動くことをコミットし、またエネルギーを生産するための平和的な核技術への非核署名国のアクセスを保証した。

核兵器禁止国際キャンペーン(ICAN)の共同創設者兼初代代表であるレベッカ・ジョンソンは次のように述べている:「核兵器禁止条約は、世界中の人々が核兵器を必要としていないことを明確に示すものであり、実際核兵器は邪魔であり、障害物で、新型コロナウィルス感染症(COVID)から気候変動の脅威に至るまで、私たちが地上で抱えている実際のセキュリティの脅威に対処する妨げになっています」

彼女はAPのインタビューで、核兵器は、紛争中のナゴルノ・カラバフの飛び地をめぐるアルメニアとアゼルバイジャンの間の最近の戦争のような紛争を防ぐことも、対処することにも全く役に立たないと述べた。

「核兵器は邪魔物でしかなく、非常に高価であり、核兵器を抱える政府は、彼らがまだ取りつかれている核兵器の軍拡競争に絶えずお金を払うことによって、本当の安全保障問題から気をそらそうとしている」

アントニオ・グテーレス国連事務総長は水曜日のAP通信のインタビューで次のように述べている:「核兵器が存在しなくなって初めて、我々は核兵器の脅威から解放されることは明らかなことです。それが簡単ではないことを知っています。多くの障害があることも分かっています」

彼は、配備された核弾頭、ミサイル、爆撃機を制限する新戦略兵器削減条約の更新に関する米露協議や、来年の核不拡散条約の再検討会議など、多くの重要なイニシアチブが「すべて同じ方向に収束し、 最終的な目的が、核兵器のない世界」となることに希望を表明した。

この条約は、2017年7月7日に193ヵ国代表が参加した国連総会で賛成122ヵ国、オランダが反対、シンガポールが棄権で承認されている。賛成票を投じた国には、イランが含まれる。元から核兵器を保有している5ヵ国以外に、核兵器を保有している又はそう思われている4ヵ国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルは多くの同盟国とともに、交渉そのもの及び条約への投票をボイコットした。

1945年の広島への原爆投下の生存者であり、条約の熱心な運動家であったサーロー節子は、次のように述べている:「50ヵ国目の批准が報告されたとき、私は立っていることができませんでした」

「私は椅子に座ったままで、頭を抱え込み、喜びの涙を流しました」と彼女は声明で述べた。「私は核兵器廃絶に人生を捧げてきました。条約の発効のために協力してくれたすべての人に感謝します」

AP

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