
ダウド・クタブ
アンマン:米国の選挙の結果を見守るパレスチナ指導者たちは、平和を求めて、トランプ政権によって何年も空費した時間を取り戻すべく、ワシントンとの関わりの回復を望んでいると述べた。
パレスチナの高官たちは、1月20日まで政権の座にある現在の米国大統領を挑発することを避けるため、多くの世論調査の結果が出た後でも、余計な発言をせずに静かにしているよう求められている。
元ベツレヘム市長でパレスチナ民族評議会のメンバーであるベラ・バブーンは、パレスチナの人々は米国政府が彼らの大義を認めることを楽しみにしているとアラブニュースに語った。
「私たちは、次期大統領に選出されたのジョー・バイデンが、2021年初頭に、平和のための国際会議を求めるマフムード・アッバース大統領の呼びかけに前向きに応えてくれることを願っています」
バブーンは、今後の会議で実質的な議論ができるように、外交関係を迅速に高レベルで改善する必要があると述べた。
バイデン政権の副大統領候補であり現在選挙を共に戦っているカマラ・ハリスは、バイデン政権は二国間解決に取り組むことを志向しており、ワシントンでのパレスチナ自治政府のミッションと東エルサレムでの米国のミッションの再開を含む、パレスチナの指導者との接触を改めると述べている。
ハリスはまた、米国は国連難民高等弁務官事務所やパレスチナ人を支援する他の人道的プログラムへの財政的支援を回復するとも述べている。
ハイファに本拠を置く国際協議センターの所長であるワディ・アブナサールは、バイデンは確かにイスラエルとパレスチナ間の協議を再開することを志向するであろうが、必ずしもパレスチナを独立国家とすることを約束しているわけではないとアラブニュースに語った。
「特に現在のイスラエルとパレスチナの双方の指導者(ネタニヤフとアッバス)が変わらない状況で、そもそもバイデンがイスラエルとパレスチナ問題の解決を、取り組むべき課題として、高い優先順位に置いていると見るのは難しい」
しかし、アブナサールは、バイデンが「イスラエルとの良好な関係を維持することに腐心することは間違いなく、イスラム又はアラブ各国から、パレスチナ人に自己決定権を与えるよう相当な圧力がない限り、イスラエルに対して、多くを求めることはしないであろう」と見ている。
元パレスチナ政府のスポークスマン、ジャマル・ダジャニは、バイデンがパレスチナの人々の救世主になる可能性は低いと警告している。
「大統領としてのバイデンがトランプによって起きている混乱状況を収束できるかどうかは分からない」とダジャニはパレスチナの指導者に「米国に頼るのはやめよう」と、呼びかける前に語った。
パレスチナの指導者たちが、ワシントンとのコンタクトを改めることと、イスラエルとの安全保障関係交渉の再開を別問題としている一方で、アラブニュースが意見を聞いた多くのパレスチナ人は、トランプ現大統領が政権から離れ、より友好的なバイデン政権が誕生することで、現在のイスラエルとの交渉の行き詰まりが解決されることを望む声が多かった。
多くのパレスチナ人にとって、特に関心が高い事項は、パレスチナ人のために割り当てられた資金を、イスラエルがはく奪し、留保している税収紛争の解決である。