
カイロ: 土曜日、イランが同国南西部で新たな原子力発電所の建設に着手したとイラン国営テレビが発表した。イスラム共和国と世界各国との核合意から米国政府が離脱した後に課された大規模な制裁の解除をめぐり、米国との緊張が高まる中での発表となった。
また、これは全国的な反政府デモで動揺する中での発表となった。イランでは若い女性が警察による拘束中に亡くなったことに端を発し、同国の神権政権への反体制デモが続いている。
イラン国営テレビ・ラジオ局の報道ではカールーンの名で知られるこの300メガワットの新発電所は建設に8年、約20億ドルの費用を要する。この発電所はイラクとの西部国境近くでイラン内でも石油資源が豊富なフーゼスタン州に建設予定だ。
建設地の落成式には、4月にカールーン建設計画を初めて公表したイラン民間原子力機関のムハンマド・エスラミ長官が出席した。
イランにはロシアの援助を受けて2011年に操業開始した南部のブシェール港にある原子力発電所が1基あるほか、地下核施設も複数ある。
カールーン建設の発表はイランが同国の地下核施設フォルドゥで純度60%の濃縮ウランの生産を開始したと発表してから2週間も経たないうちのことだ。この動きは同国の原子力開発プログラムへの重要な追加動向と見なされる。
純度60%への濃縮は技術的に、兵器級レベルの90%への一歩手前の段階だ。核不拡散の専門家はここ数カ月、イランが少なくとも核爆弾1個分の燃料として再処理するのに十分な60%濃縮ウランを保有していると警告している。
イラン核合意に残る西ヨーロッパの3カ国、ドイツ、フランス、イギリスはこの動きを非難した。核開発計画の抑制と引き換えにイランへの制裁を緩和した2015年のイラン核合意を復活させようとする最近の試みは行き詰まっている。
9月以来、イランは全国的な抗議運動で混乱している。1979年のイスラム革命後の混乱期以来、同国の神権政治への最大の反体制運動の一つに拡大している。
この抗議運動はマフサ・アミニさん(22)がイラン道徳警察に逮捕されてから3日後の9月16日に拘留中に死亡したことに端を発して瞬く間に広がった。女性に対するイスラム共和国の厳しい服装規定に違反したというのが罪状だった。
イラン政府はアミニさんに虐待はなかったと主張しているが、彼女の家族によると拘束後にできたあざや殴られた跡が彼女の体にはあったという。
イラン国営IRNA通信による土曜日の声明の中で、同国の国家安全保障会議はデモ中に約200人が死亡したと発表した。これは同機関による今回の犠牲者数に関する初めての公式発表だ。
先週、イランのアミール・アリ・ハジザデ将軍は死者数を300人以上と発表した。
こうしたイラン側の発表の犠牲者数は一致しておらず、抗議デモの発生以来綿密に動向を注視してきた米国の団体、イラン人権活動が報告する犠牲者数よりも少ない。同団体の最新発表では、抗議運動とそれに続く治安部隊による暴力的な弾圧により469人が死亡し、18,210人が拘束されたとしている。
米国は2018年、ドナルド・トランプ大統領(当時)のもと一方的に核合意(正式名称は共同包括行動計画(JCPOA))から離脱していた。
米国はイランへの制裁を再開し、イラン政府は核合意の各条件の遵守をやめるようになった。イランは以前からずっと核兵器開発を否定しており、同国の原子力開発は平和的用途のものだと主張してきた。
AP