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アナリストら、ハマスは「イスラエルには優勢も、パレスチナ人の支持を失いつつある」

ヨルダン川西岸の都市ジェニン近郊のルンマナで、イスラエル軍に破壊された家の瓦礫に座るパレスチナ人。(AP)
ヨルダン川西岸の都市ジェニン近郊のルンマナで、イスラエル軍に破壊された家の瓦礫に座るパレスチナ人。(AP)
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12 Aug 2022 06:08:21 GMT9
12 Aug 2022 06:08:21 GMT9
  • ハマスは「最近のガザ地区での衝突で自制を示し、戦争の長期化を回避した」

ダオウド・クタブ

アンマン:ガザ地区に対する直近の攻撃のほとぼとりが冷めて久しいが、ガザ地区の有力者であるハマスは、イスラエルに対する報復で同輩のイスラム聖戦に加わることを拒否したことによる政治的弊害をまだ克服できずにいる。

政治学教授でパレスチナ政策・調査研究センター所長を務め、パレスチナの代表的な世論調査者でもあるハリル・シカキ氏はアラブニュースに対し、ハマスは、ジェニンにおけるイスラム聖戦の指導者バサム・サーディ氏の逮捕が国家的脅威であり、ガザ地区からの軍事的対応を必要とすることを看過してしまったと話す。

「さすがに、イスラム聖戦の司令官テイゼール・アル・ジャバリが暗殺された際は、ハマスはこれを軍事的対応が必要な脅威と見なしたが、それでもなお対応は限定的なもので十分だと考えていたようだ。そして、後者の脅威に対してさえ、ハマスは銃を構えながらも、イスラム聖戦を支援せず、彼らに単独で自衛させ、イスラエルの戦線の矢面に立たせたのである」

また、シカキ氏はアラブニュースに、ハマスの決断は「賢明ではあるが、民衆の支持を失うかもしれない」と述べている。

パレスチナの政治活動家やSNSユーザーによるハマスについてのコメントは、シカキ氏のものほど穏当ではなかった。彼らはこれまでハマス以外にも、様々な人物やグループの沈黙をしばしば非難してきた。

彼らは、受動的なハマスの姿勢をラマッラーの指導部になぞらえ、自らの権益を守るために立ち回っているとした。

パレスチナ首相府の元通信部長ジャマール・ダジャニ氏はアラブニュースに対して、イスラエルの新政権がガザ地区への攻撃をおこなった際、ハマスはその政治的思惑を察知していたのだと述べている。

「ハマスは誘いに乗らず、より多くの死と破壊を引き起こす戦争の長期化を避けるために自制を示した」と同氏は話した。

シカキ氏は、エジプトとイスラエルがハマスの行動を評価するだろうと考えている。そして、その行動の見返りとしてハマスに更なる経済的便宜を与え、ガザ地区の支配を強化させるという見通しを示している。

「イスラエルとしては、こうすることでハマスがイスラム聖戦に対して優位に立つ手段を手に入れ、より長期的な平穏の維持につながることを望んでいるだろう」とシカキ氏は話す。

「最終的に、イスラエルの中でもイスラエル対ハマスの直接対話、特にイスラエルの安全保障部門との対話の実現を求める勢力が伸び、彼らはこの件を根拠として、ハマスがイデオロギーだけに縛られているわけではなく、イスラエルとの長期的な交渉が可能な現実的な組織であると主張するだろう」と、シカキ氏は述べた。

「しかし、内部的には、イスラム聖戦対ハマスの関係が緊迫化するおそれがある。それだけでなくパレスチナ自治政府とのハマスの関係も悪化する可能性がある。というのも、ハマスがガザ地区での統治を強めるほど、同地区の支配権をすぐにでも取り戻そうとしているラマッラー指導者の見通しを崩す事態になりかねないからだ」とシカキ氏は話した。

人権弁護士でカーネギー国際平和財団中東プログラム・フェローのザハ・ハッサン氏はアラブニュースに対し、ハマスの関心は、ファタハ率いるパレスチナ自治政府が2021年5月の時のように暴力の激化を傍観していた一方で、自らこそがイスラエルによる占領への「真の」抵抗勢力だと示すことに常に向いてきたと述べている。

「イスラエルによるガザ地区への直近の砲撃は、ハマスに傍観を強いることになった。さもなくば、イスラエルの経済制裁により例外なく移動の制限を受けることになるからだ」

「しかし、ハマスに対する支持が、特にアル・アクサモスクに関して真の抵抗勢力であることに基づくものなのであれば、何百人ものイスラエルの右翼活動家がハラム・アル・シャリフで「神殿」の破壊を記念するために行進をおこなったことについて沈黙を守るのは、同組織の印象を損ねることになるだろう」

一方、アンマンを拠点とする市民社会活動家で、パレスチナ問題に詳しいサマル・ムハレブ氏は、異なる見解を示した。

アンマンに拠点を置く「民主主義と開発のためのアラブ・ルネサンス」の事務局長を務める同氏は、重要なのはイスラム聖戦による抵抗の成果を見ることだと言う。

同氏はアラブニュースに対し、ガザ地区での暴力の連鎖を歯がゆく思ってきたと語った。

「多大な失望と損失もあったが、それと同時にハマスは、イスラエルがデリケートな停戦の中で狂気に等しい行為を続けた場合に変化につながるような具体的な成果をもたらした」

ハーバート・ケルマン紛争解決研究所の中東プログラム・ディレクターであるオファー・ザルツバーグ氏は、経済的利益の観点からして、ハマスの判断は「イデオロギー的というより経済的」であるとアラブニュースに話した。

また、「ハマスが戦闘の回避を選んだことで、戦争を先送りにするためにハマスの統治下にあるガザ地区経済をあえて強化するというイスラエル国防当局の有力な勧告の追い風となった」と言う。

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