



ダウド・クタブ
アンマン:イスラエルの入植地関係者によると、パレスチナのアルビレ出身の米国市民のグループが、マイク・ポンペオ米国務長官のプサゴット訪問に対し、抗議活動を行った。
元アルビレ市長のアブデル・ジャワド・サレハは抗議活動参加者の一人であり、入植地は「正当に所有されていた私有財産を奪い、築かれている」と、アラブニュースに語った。
アメリカ系パレスチナ人のグループは、アラブニュースが入手したポンペオへの公開書簡の中で、自らが「イスラエルの入植地が築かれているプサゴットの土地の合法的な所有者」であると主張している。
土地は当初、安全保障の名目でイスラエル軍により没収され、後にイスラエルの入植者に引き渡されている。
89歳の元市長であるサレハは、イスラエル入植地建設の一環で、7ドゥナム(土地の広さを表す単位)の土地を失っている。サレハは、ポンペオに厳しい批判を向け、「ここはあなた方の友人によって盗まれた、私たち祖先の土地だ。入植地でできたワインを飲めば、そのブドウはパレスチナ人の血だ」と、述べている。
来年早々には退陣するトランプ政権の国務長官は、前例のないイスラエル入植地訪問で物議を醸しているが、入植地ではプサゴットワイナリーを訪問している。このワイナリーは昨年ポンペオが入植地を正当と認めた際に、「感謝のしるし」として、ワインのブランドの一つを「ポンペオ」に変えている。
アメリカ系パレスチナ人のグループは、「私有財産を返還してもらう活動を止めるつもりはない」と述べた。彼らはまた、ポンペオを「国務長官の職務に適さない人物」とのレッテルを張り、「海外にある米国市民の私有財産の盗難を助長する行動につき、彼自身に責任を負わせる」と、今後訴訟を提起する予定であると述べた。
パレスチナ年鑑の発行者であるアニスF.カシムは、ポンペオのプサゴットへの訪問は、「パレスチナ人の権利を蹂躙するものである」と、アラブニュースに語った。
カシムは、「イスラエルが歴史的にパレスチナで構築している入植地とアパルトヘイトシステムを支持することで、米国はパレスチナの土地の収奪を支持している」と、述べる。
カシムは、米国の行動を慣例および伝統的な国際法に「矛盾する」と、主張する。「ハーグ規則とジュネーブ条約は、占領権力による略奪を禁じている」と、カシムは主張する。
ヨルダン川西岸の入植地訪問に加えて、ポンペオはイスラエルが1981年に併合した占領下のゴラン高原も訪れる予定である。昨年、トランプ政権は占領地域に対するイスラエルの主権を正式に認め、非常に大きな物議を醸している。
アンマンに本拠を置くAl-Quds政治研究センターの所長であるオライブ・ランタウィは、ポンペオの訪問は、「入植を状態化、合法化する試みの継続」であり、米国が「より大きな入植地の併合を認める」ことにつながる可能性がある、とアラブニュースに語った。
ランタウィは、トランプ政権の高官の訪問を、「イスラエル人と彼らを支持する米国のシオニストへの贈り物」と、主張している。
ヨルダンの政治活動家ザイード・ナブルシは、ゴラン高原は「米国当局者の発言や行動に関係なく、シリアが占領する、シリアの領土である」と、述べた。
入植地の問題に詳しい、専門家のスハイル・ハリレは、国際法と国連安全保障理事会(UNSC)決議に違反する国家の行動は通常無視されると述べた。
ハリレは、バイデン時代になれば、こうした行動の多くが見直されるだろうと述べた。
「米国とパレスチナの間で、政治的、進歩的なレベルだけでなく、大学や地方自治体のレベルでも大規模な組織的活動が行われていると感じてる」
BDS運動の創設者の1人であるアリ・アブニマも、活動を反ユダヤ主義に結びつけようとするポンペオの試みについてコメントしている。
「この絶望的な戦術は、イスラエルのアパルトヘイト政権に別れの贈り物を与える、敗北した政権からの最後のあえぎである。ただ、こうした動きも、パレスチナ人が自らの権利のために活動を行い、闘うという決意に決して影響を与えることはない」と、アブニマはアラブニュースに語った。