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パレスチナ難民が伝統的な刺繍技術の復活で恩恵を受ける

ナディーン・マアロフさんは、母親のネスリン・エル・ティビさんと共に難民アーティストのグループを雇用して毎月給料を支給し、中東・北アフリカ(MENA)地域のフェアで難民たちの作品を販売している。(提供写真)
ナディーン・マアロフさんは、母親のネスリン・エル・ティビさんと共に難民アーティストのグループを雇用して毎月給料を支給し、中東・北アフリカ(MENA)地域のフェアで難民たちの作品を販売している。(提供写真)
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28 Nov 2020 07:11:56 GMT9
28 Nov 2020 07:11:56 GMT9
  • ナディーン・マアロフさんとネスリン・エル・ティビさんは、人道的な影響を与えながら美術様式の再確立を目指している
  • 彼らの社会的企業は難民のアーティストを雇用し、中東・北アフリカ(MENA)地域のフェアで難民たちの作品を販売している

Alicia Buller

ドバイ:古代から伝わる伝統的な刺繍技術「タトリーズ」と言えば、装飾的な衣服やクッションなどに施されたエレガントな柄を思い浮かべるのが一般的だ。しかし、家族経営の社会的企業である81 Designsにとってタトリーズは、レバノン南部に住むパレスチナ難民の女性コミュニティのためのより快適で豊かな未来のための機会となっている。

「タトリーズ」とはアラビア語でパレスチナのクロスステッチ刺繍技術を意味する。豊かな色彩と質感が特徴で、約3,000年前に中東で生まれた。

ナディーン・マアロフさんは、母親のネスリン・エル・ティビさんと共に難民アーティストのグループを雇用して毎月給料を支給し、中東・北アフリカ(MENA)地域のフェアで難民たちの作品を販売している。

「作品は非常に細かく、型にはまらないので、かなりの時間がかかります。1つのアイテムの製作に4か月かかる作品もあります。プロジェクトの開始から終了まで半年ほどかかるので、毎年フェアに向けて努力しています」 とマアロフさんは話す。

マアロフさんは、彼女の会社のような社会的企業が人々を助けるためにさらに作られると信じている。(提供写真)

2015年に会社を設立し、その2年後にはUAEを拠点とする毎年恒例のフェア「アート・ドバイ」に参加したマアロフさんとエル・ティビさんは、人道的にプラスの影響を与えながら、タトリーズを美術様式として再確立することを目指した。

それから3年後、20人のパレスチナ難民のアーティストを雇用して、古来より伝わるタトリーズの技術を守り、現代化したユニークな作品を制作している。

81 Designs を立ち上げたきっかけは、マアロフさんに長男が生まれたことだった。若い頃にアートディレクションと美術史を学んでいたマアロフさんは、卒業後様々な仕事に就いたが、自分の好きなアートの要素を取り入れた仕事に就いたことはなかった。

「伝統的な織物や芸術性についてたくさん研究をしていたので、このアイデアを思いついたのです。なぜ私たちはタトリーズの表面的な形しか見ていないのだろうと自分自身に問い続けました」とマアロフさんは振り返った。

「タトリーズは1つの美術様式なので、これらの女性たちが個人としてやっていることを維持できるように、タトリーズを再現したり、より強力なプラットフォームを彼女たちに与えたりする方法を考えたいと思いました」

COVID-19のパンデミックは中東全域の企業に打撃を与え、多くの人々に社会的・経済的な問題を引き起こしている。しかし、81 Designsにとっては、コロナウイルスに立ち向かうプロジェクト 「I Am Committed(私は全力を投じる)」で、アブダビ医療サービスとの非営利コラボレーションに取り組む機会となった。

「私たちは、UAEのすべての検査場で人々に配るリストバンドを作成し、地域の様々な企業がスポンサーとなりました。リストバンドは人々に検査を受けるように後押ししていました」とマアロフさんは話した。

マアロフさんとエル・ティビさんは、人道的にプラスの影響を与えながらタトリーズを美術様式として再確立することを目指している。(提供写真)

マアロフさんは、彼女の会社のような社会的企業が人々を助けるためにさらに作られると信じている。「誰かの技能を使い、その人に仕事を提供する社会的企業を設立すると、それだけで他の人が同じようなことをするきっかけになると思います」と彼女は言う。

「この地域から様々な社会的企業が生まれていて、それ自体の影響は、恵まれない人たちのための機会が集まる場所を作るために重要で、同時に彼らは素晴らしい人たちなので、寄付が必要な人として扱わないことが重要です」

しかし、81 Designs は必ずしも成功するとは限らなかった。創業資金を求めてレバノン周辺のいくつかのNGOに連絡を取ったものの、抽象的すぎてうまくいかないと判断したNGOもあれば、最終的な製品をイメージできないNGOもあった。しかし、こういった障害はいずれもマアロフさんの最終的な成功を阻むものではなかった。

「事業を立ち上げるときには、困難に直面しますが、とにかく前に進み続ける必要があります。自分を信じてください。自分が実際に作っているものが、他の人にプラスの影響を与えることができると信じてください」

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この記事は、アラブ地域の地位を変える可能性を探るために、UAEの首相でありドバイの統治者でもあるモハメド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム氏のビジョンを反映して、モハメド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム・グローバル・イニシアチブが立ち上げた「Middle East Exchange」のパートナーとして、アラブニュースが発行している。

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