
ダウド・クッタブ
アンマン:パレスチナ人たちが12月4日、火を消して、ユダヤ人入植者と報じられている放火犯を取り押さえたことで、東エルサレムの教会への放火を阻止した。
この事件はゲッセマネ教会で起きた。同教会の場所は、イエスキリストが捕らえられる前に祈ったとされていることから、キリスト教において大切な象徴的意味を持つゲッセマネの園の近くだ。
ワファ通信社は、目撃者、ハムザ・アジャジさんの目の前で起きた事件の説明を引用していた。「この教会の警備員が、COVID-19の規制措置を利用して、教会の木製ベンチに火をつけようとしていたと思われる敬虔なユダヤ教徒の男を追いかけているところを、私たちは目撃しました」と、同通信社はアジャジさんが語ったことを報じていた。4人のパレスチナ人がその男を追い、他の者が火を消した。その後、警察が到着し、容疑者を連れて行った。
ヨルダンのラテン総主教区のウィリアム・ショマリ補助司教は、この事件を非難した。
「過激なユダヤ教徒が、全てのキリスト教徒の心に近い教会を燃やそうとすることは、耐えられないし、非常に不快です」と、同司教はアラブニュースに語った。「この犯罪行為は、私たちの新たな総大司教の就任時に起こっています。これは、人間同士、宗教同士の和解に取り組んでいる全ての人々を傷つける行為です」
パレスチナのハイヤー・プレジデンシャル・コミッティ・オブ・チャ―チーズ(the Higher Presidential Committee of Churches Affairs)の代表を務めるラムジ・コーリー氏は、この放火を神聖な都市の性格を変えようとする一連の行動の中の1つだと語った。
「私たちはヤッファ門の中のホテルを襲う企てや、アル=アクサー・モスクで日常茶飯事の嫌がらせをはじめ、こうした方向で、様々な形の企てを目にしてきました」と、同氏はアラブニュースに語った。
カトリック・カウンシル(the Catholic Council)のワディ・アブ・ナサール特別顧問は、この事件を心配し、捜査を望んでいた。動機が人種差別とするならば、相互尊重の領域で、イスラエル人に対する現在行われている教育の内容に関して、「多くの結論が導き出されるべきです」と、同顧問はアラブニュースに語った。
アル=アクサー・モスクと、岩のドーム修復のためのハシェミット基金のワスフィ・カイラニ事務局長は、2000年から2018年の間に、聖地へのこうした犯罪は45件以上あったと語った。「これは、ユダヤ的でないもの全てを拒絶する組織的活動の一環です。宗教機関に対するこうした犯行でみんな共通しているのは、こうした卑劣行為の責任を誰も問われないということです」
ベツレヘムの元市長で、パレスチナ民族評議会の一員でもあるベラ・バブーン氏は、教会へ火をつけようとする企ては、「反逆、憎悪、迫害、残虐行為の歴史的な出来事」を思い起こさせるもので、この事件はイエスキリストが捕まり、はりつけにされた日に本人が祈った同じ場所で起きたと語った。こうした種類の「憎悪と恨み」は、パレスチナ人が苦しんできた圧政的な占領行為と同じところから生じている、とバブーン氏は付け加えた。
エルサレムのギリシャ正教会総主教管区のアタラ・ハンナ大司教は、放火の企てを、制度化された人種差別が反映された危険な兆候だと語った。「エルサレムは、3つの一神教の聖都ですが、残念なことに、エルサレムの独自性を無価値だと思う者がいるのです。そして、キリスト教徒のものであろうが、イスラム教徒のものであろうが、あらゆる神聖な場所は、犯行から守られるべきだという事実があります」と、同大司教はアラブニュースに語った。
何が起こったとしても、「私たちはここにいて、エルサレムに留まります」と同大司教は語った。