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ローマ教皇フランシスコ、個人的な利益よりも公共の利益を優先するようレバノン指導者に呼びかけ

2020年12月23日、バチカン図書館で週例の一般謁見を迎えるローマ教皇フランシス。(ロイター通信)
2020年12月23日、バチカン図書館で週例の一般謁見を迎えるローマ教皇フランシス。(ロイター通信)
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25 Dec 2020 01:12:15 GMT9
25 Dec 2020 01:12:15 GMT9
  • 「捏造された困難」のために新政府樹立が阻まれている、とキリスト教マロン派大主教
  • 教皇フランシスコは「可能な限り早い時期に」レバノンを訪問するとコメント

Najia Housari

ベイルート:世界中のカトリック教会の最高司教であるフランシスコ教皇は木曜日にバチカンからクリスマスの演説を行った。そこにはレバノンの人々に向けたメッセージを盛り込まれていた。

今年レバノンが陥った苦しみに対して悲嘆を表明した。「平和の中に暮らし、命を脅かされることなく生きていたいという切実なる願いが奪われていることに心から胸が痛みます。この時代、そして世界にとって、これは自由のメッセージであり、共和の証人となるものであります」

フランシスコ教皇は、レバノンの政治的だけでなく精神的にも指導者の立場にある人たちに向けて、公共の利益を個人の利益よりも優先させるよう訴え、1920年にレバノンの独立と大レバノン国家の誕生において指導的役割を果たしたElias Howayek総主教の牧歌的書簡の一節を引用した。「あなた方は責任を負う人間であり、この世界における裁判官であり、国民の代表として国民のために生き、公的な立場で…公共の利益を追求する義務がある。あなた方の時間は自分たちの利益のためにあるのではなく、またあなたの方の仕事も自分たちのためにあるのではない。国家のためであり、代表している国家のためにあるのです」

フランシスコ教皇は、レバノンの人々が 「今起きている変化の中で、あらためてアイデンティティを見つけ出せるようになるはずだと 」と述べ、”故郷や遺産を捨ててはならないし、美しく豊かな国の未来の夢をあきらめてはならない “と続けた。

教皇は「可能な限り早い時期に」レバノンを訪問すると述べ、国際社会に「レバノンが地域的な紛争や緊張から抜け出す支援」を呼びかけた。

木曜日、レバノンのマロン派のBechara Al-Rai総主教は、伝統的なクリスマスメッセージの一部で、新政府樹立の促進に向けた働きかけが不首尾に終わったことについて触れた。また、政治家を批判し、レバノンが直面している危機についても語った。

Al-Rai総主教は、「ベイルート港における制御不能な凶器によって、爆発の犠牲者と被災者が生まれてしまいました。彼らの心は悲しみの洞窟に閉じ込められています。法科学の捜査が、それにそれに関わる人や法律家や権力者を中心に行われていることに、何よりも胸を痛めています。ただ、災害にかなう人間はおらず、誰も免れることはできません」と述べた。

さらにこう続けた。「これほど深刻な危機を経験した国はそうはないでしょう。そして、我々の指導者のように危機を救うことに(見たところ)消極的な指導者もまたそうはいないでしょう。この政党がろくに成果もあげぬままこの数年を費やしてしまわなければ、今の危機が起きることもなかったはずです。彼らは政治を自分たちが利益を得るための術と見なし、公共の生活と憲法上の権利を乱しています。彼らはまるで敵国を統治しているかのように、自国民を辱め、制度を腐敗させ、司法を妨害し、経済と通貨に打撃を与えています」

そして次のように警句を述べた。「意図的あるいは無意識のうちにレバノンを破壊しようと望む者たちがいます。しかし、どれだけ山積していようとも、課題の数々に対処し、民主的で中立的で独立したレバノン、つまり主権や協調関係や洗練性が保たれたレバノンを守るのだと、私たちは心に誓うものであります」

Al-Rai総司教また、「新政府樹立を妨げている、捏造された隠れた困難」についても語った。「私たちは良心に望みをかけていました。しかし、約束は反故にされるという事実を突きつけられ、忸怩たる思いをすることとなりました。政権樹立は振り出しに戻ったのです。新政府を作らない理由について、関係者の人たちは国民に対して率直に話すべきでしょう。国民には自分たちが直面している現実と運命を知る権利があるのですから」

さらに、レバノンが地域紛争に巻き込まれる事態の回避のためにフランシスコ教皇が行った国際社会に対する呼びかけに賛意を示してその言葉を繰り返した。

ミシェル・アウン大統領は木曜日、Al-Rai総主教に電話をかけ、新型コロナウイルスの感染拡大のために金曜日のクリスマスにブケルケで行われる祝賀ミサに出席できないことについて謝罪した。

アウン大統領の近い関係者によると、大統領が2週間前に首相指名者のサド・ハリリ氏が提示した閣僚名簿案を拒否したのは、「宗派間における大臣職のバランスと公平性に欠ける」ためだという。ハリリ氏に対し、「司法相と内務相の2つの大臣職、すなわち治安と司法における均衡を求めている。政府が1人の人間に運営されるのは非論理的だ」と語っているという。

木曜日の夕方、多くのレバノン人駐在員が家族と休暇を過ごすため、ベイルートのラフィク・ハリリ国際空港に到着した。検疫を避けられることから、PCR検査を受ける人の長い行列ができた。

保健省は、木曜日だけで17,000件以上のPCR検査が実施されたと発表しており、休暇中は家族で過ごす時間は予防措置をしっかり取るよう新たに指示を出した。

同省は休暇後の新型コロナウイルスの感染例の急増に準備しているとの情報もある。水曜日、レバノン国内での新規感染例は2,246件に上り、感染拡大が始まって以来最も高い数字となった。

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