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美術専門家ら、ガザの古い家屋の修復・保全の取り組みを先導

長らく放置されてきた築200年のグセイン宮殿の修復にあたる作業員、2020年12月14日(月)。 (AP)
長らく放置されてきた築200年のグセイン宮殿の修復にあたる作業員、2020年12月14日(月)。 (AP)
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26 Dec 2020 12:12:49 GMT9
26 Dec 2020 12:12:49 GMT9
  • マムルーク朝のスルタンにちなんで名づけられたアル・カマライア学校のゴミをチームで除去するのに2週間かかった。毎日若い男女が集まり、ほこりの積もった床を掃き、レンガにブラシをかけ、窓を支える木枠を嵌める作業に当たった

ガザ市:築500年の壮大なアル・カラマイア学校にかつての雄姿を取り戻すため、草の根保全活動の参加者らが時間のかかる工程に着手すると、集積したゴミの中から徐々にレンガの壁が現れた。

ガザ市旧市街の中心部に立つマムルーク朝時代のこの建物は、取り壊しの危機に直面しますます減少の一途をたどる歴史的建造物の一つである。

「見るに堪えない、ひどい状態でした。まるで掃き溜めでした」と、美術専門家でボランティアリーダーのアブドゥラ・アル・ルッツィは語る。

アル・ルッツィ他美術専門家らはガザの歴史上の二つの時代、マムルーク朝と次のオスマン朝にさかのぼる、廃屋となった家屋や建造物の修復を目指し、創始者を意味する「モバデルーン」プログラムを立ち上げた。

観光局関係者によると、パレスチナ自治区の旧市街にはこれらの時代の建造物が最大200軒、全体または部分的に現存している。これらの建物は放置や劣化、さらには都市開発による取り壊しの危機に直面している。

「一般認知の低さと所有者の経済面への懸念がこれらの建物にとっての最大の脅威となっています」と、ガザ・イスラム大学の歴史遺産学部IWANセンターのディレクター、アハメド・アル・アスタルは語る。「これらの家屋は私たちのアイデンティティですが、無知がその破壊をもたらしています」

300平方キロメートル内に200万人が住むガザ地区は狭く、専門家やボランティアらは過去の世紀から残る建造物がそれ以前のずっと古代の文明の建造物と同様に消滅してしまうことを恐れている。

人口増加、イスラエルとの対立、そして2007年以来ガザを統治してきたハマスによる管理不足が、ガザの500年の歴史の痕跡の消滅を招いている。この領域は古代エジプト、レバント、メソポタミアを結ぶルート沿いという最高の立地により栄えてきた場所だ。しかし、4,500年前の希少な青銅器時代の住居跡などは大部分が住宅建設プロジェクトのためにハマスのブルドーザーにより破壊されてしまった。

モバデルーンはガザ市で遺跡の保全を目指す数少ない団体の一つだ。しかし、その取り組みは規模が限られ、系統的な計画に欠けることが多い。

マムルーク朝のスルタンにちなみ名づけられたアル・カマライア学校のゴミをチームで除去するのに、2週間かかった。毎日若い男女が集まり、ほこりの積もった床を掃き、レンガにブラシをかけ、窓を支えるための木枠を嵌める作業に当たった。

「ここは建造時の姿を今も保つ唯一の学校で、教室もまだ残っています。旧市街に建っていますから、比較的最近まで教育やクルアーン学習のために使われていたことは明らかです」とガザ観光省の考古学部門ディレクター、ジャマル・アブ・リダは語る。

ガザ住民は財政難に心を砕き、13年間にわたるイスラエル・エジプトとの国境封鎖に苦しみ、医療システムの崩壊を招いたコロナウイルスの大流行と戦っている。

歴史的遺産・遺跡の保全キャンペーンの重要度は決して高くないものの、取り組みとしては歓迎されている。

「これらのプロジェクトは文化遺産の保存を目的とするものですから、非常に重要なのです」とアル・アスタルは語る。

学校から数ブロック離れた場所では、別のチームがグセイン宮殿の修復に取り組んでいる。200年以上所有してきた一家の名が付けられた建物だ。作業員らはレンガの上に何層も重なり外観の特徴を隠していたほこりを払ったり、ドア枠の寸法を測ったりした。

この家屋の作業は8月に開始しており、1月に完了する予定だ。「長く放置されてきたため、ひび割れ等の問題が山積しています」と修復作業を率いる建築家、ナシュワ・ラムラウィは言う。「すばらしい歴史的・文化的価値がある建物です。何か共同体に役立つ形で活用したいと考えています、すべての人に開かれた文化・サービス・社会的施設のような形で」

AP

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