
ハゼム・バルーシャ
ガザ市:ガザ市の看板に掲示されていたイランのコッズ部隊司令官の故カセム・ソレイマニ将軍のポスターが、一周忌を迎える数日前に破り捨てられた。
ソレイマニ氏は、2020年1月3日にバグダッド空港近くで行われた米国のドローン攻撃で殺害された。
ガザで張られたポスターには、「エルサレムの殉教者」というフレーズが書かれていた。これは、ソレイマニ氏の葬式でハマス政治局のイスマーイール・ハニーヤ局長が口にしたものだ。
ハマスは過去数年間、同組織の軍事力を発展させる上での最も優れた支援者として、イランを公に称賛してきた。
しかし、パレスチナ人とアラブ人は、ソレイマニ氏をシリアとイラクの軍事作戦に直接介入し、両国の民間人の虐殺に関与した戦争犯罪者と見なしている。
このポスターは、ハマスとイランが支援する勢力に所属していると思われる未知のグループによって張り出された。
ハマスの治安部隊は、ポスターを破った集団の先頭にいたシェイク・マジディ・アル・マグリビ氏を逮捕したと、同氏の家族と近しい人々が述べたという。
アル・マグリビ氏は、Facebookで次のように書いている。「すべての英雄は、ガザの地からこの恥を取り除くことができます。英雄がこのポスターを汚し、裂き、歪ませるのを許してください…私たちの頭上にこの汚物が残っているのは恥ずべき事です」
このポスターの出現は、ハマスと12の軍事組織の参加を伴うガザ地区での軍事演習と時を同じくしており、そのほとんどがイランから支援を受けていることを認めている。
数日前、ハマスの著名な指導者マフムード・アルザハール氏は、同氏がガザの外相を務めていた2006年の最初の会合で、ソレイマニ氏から2200万ドルを手渡されたと述べた。
人民党政治局のメンバーであるワリド・アル・アワド氏は、現時点でソレイマニ氏の写真を掲示することは不必要であると述べた。それは、イスラエルから報いを受けるか、アラブ諸国との関係を失い、ガザに悪影響を与えるからだという。
「ソレイマニ氏の写真を掲げることは、ガザをイランのテロの輪の中に目立った形で置くことになります」と同氏は付け加えた。
パレスチナ解放人民戦線の政治局のメンバーであるタラル・アブ・ザリファ氏は、同将軍の写真を掲げることは、ガザを「迷路のように大きく危険な政治的絡み合い」に導き、パレスチナの大義が大きな行き詰まりを経験している時に、アラブ諸国を味方につける代わりに、アラブ諸国の支持を失うだろうと述べた。
活動家のアハメド・シルミ氏も、イランの支援を受けたパレスチナの勢力がソレイマニ氏の写真を掲示することの正当性を否定した。「抵抗運動は、軍事行動だけではなく、人々の好意や、人々が大義を採用したいという気持ちに値するような道徳的明快さが求められます。道徳的明快さへの懸念を犠牲にして、独自に武器の兵器庫を建設することに関心を持つことは、大きな代償を伴います」
ヒズボラはガザよりも多くの武器を保有していたが、イスラム教徒の意識の中ではのけ者扱いになっていたので、ヒズボラはその武器の量では満足できなかったと同氏は付け加えた。
ウンマ大学の政治学教授であるハッサム・アル・ダジャニ氏は、ガザで起きることには全て論争がつきまとうもので、それはエジプトのアブデルファタハ・シシ大統領やソレイマニ氏、またはアラブ首長国連邦の援助隊の写真であっても同じだと述べた。
「私たちの人生には生涯論争がつきまといますし、議論をすることは健全で有益なことです。しかし、たとえ同意はできなくても、政治は原則ではなく利益によって支配されていることを知るべきです」と同氏は述べた。
ソレイマニ氏の写真がガザで掲示されるのは2回目だ。最初は同氏を追悼するための看板で、ハマス、イスラム聖戦、パレスチナ解放人民戦線、人民抵抗委員会が設置した。
ハマス当局者のイスマイル・ラドワン氏は当時、「私たちはガザ地区において、パレスチナを支援し、その勢力を発展させてくれる人々に対して忠実であり続けます」と述べた。