
AFP、エルサレム
国連によれば、パレスチナ難民支援を担当する国連機関の事務局長が、職権濫用疑惑に関する捜査を受けて水曜日に辞任した。
国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は声明で、ピエール・クレヘンビュール事務局長が、同機関での「管理関連の問題」捜査完了までを目処に今週水曜日に辞任したと発表した。
クレヘンビュール氏はその後、アントニオ・グテーレス国連事務総長に即時辞任の意を伝えたと、国連のステファン・ドゥジャリク広報担当者はニューヨークで報道陣に明かした。
「現時点では、国連加盟国とその他のパートナーが引き続きUNRWAとそのサービスに積極的に参画し続けることが重要だ」とドゥジャリク氏は述べている。
UNRWAは、ヨルダン川西岸、ガザ地区と東エルサレム、ヨルダン、レバノンやシリアで500万人以上の登録難民に支援を提供している。
グテーレス事務総長は今週水曜日に当面同機関の指揮を取る暫定副事務局長としてクリスティアン・サンダース氏を任命している。
クレヘンビュール氏に対しては、ニューヨークの国連事務局より「氏の不適切な振る舞いに関するUNRWA担当者からの告発に基づき」捜査が進行中である旨を3月に伝えられているとUNRWAの広報担当者は述べている。
スイス人であるクレヘンビュール氏は、2014年に同機関の事務局長に就任した。これ以前には、赤十字国際委員会の運営担当ディレクターを務めている。
ドゥジャリク氏は、水曜日に発表した声明で、国連事務局内部監査部による捜査の予備的な結果では、クレヘンビュール氏による「運営資金に係る詐欺または横領の疑いは除外された」としている。
「ただし、管理面の問題で対処すべきものは存在する」と同氏は述べている。
最大の資金供給者である米国が年間3億6000万ドルの拠出を停止した昨年以降、UNRWAは予算面での問題に直面している。米国とイスラエルは共に、管理不行届と反イスラエル感情の扇動のかどでUNRWAを避難している。
スイス、オランダとベルギーもそれぞれ、調査中の管理問題を理由にUNRWAへの資金拠出を停止した。同機関の広報担当者によれば、今年末までの活動継続資金として8,900万ドルが必要である。
「同機関は、保健衛生、教育、人道支援の分野で不安定な地域を安定化する重要な業務を行っており、これには国際社会の支援が欠かせない」とドゥジャリク氏は述べた。
イスラエル外相は、クレヘンビュール氏の異動を「汚職を排除し、透明性を高め、同機関の政治問題化を避けるために必要な長いプロセスの最初の一歩に過ぎない」としている。
イスラエルのダニー・ダノン国連大使は、声明で「UNRWAを閉鎖する以外に解決策はない」としている。
ガザのイスラム系指導者であるハマスは、今回の異動が3年毎に投票で決定されるUNRWAの委任更新に関して国連総会で予定されている議論に影響を与えかねないとして、懸念を表明している。現在のUNRWAの委任は来年6月に失効となる。
イスラエルとエジプトが境界を厳格に管理するガザ地区に暮らすパレスチナ人200万人のうち、半数以上がUNRWAからの食糧支援を受けている。
ハマスのバシーム・ナエーム幹部は、今回の人事異動により「同機関とその委任が米国とイスラエルによる圧力の標的となる」危険が高まるとしている。