
メネクシェ・トクヤイ (Menekse Tokyay)
アンカラ : トルコ防衛大臣フルシ・アカル (Hulusi Akar) が最近イラクとイラクのクルディスタンを訪問したことは、不法なクルド労働者党 (PKK) に対する、アンカラ、バグダッド、そしてイラク領土内のアルビール (Erbil) の差し迫った合同軍事作戦に関する憶測を呼んでいる。
金曜日、トルコ大統領エルドアンは、イラクのシンジャールにおけるクルド労働者党に対し、不気味に迫る軍事作戦をほのめかし、こう話した。「我々は、一夜にして突然現れることができる。」これは、彼がかつてシリア攻撃において話したものと同じ言葉だ。
夏季の空陸両面からのクルド労働者党に対するアンカラの軍事活動は、バグダッドによる広範な非難を呼んだ。国境の村を空爆し、2 名のイラク国境高官が死亡したためだ。両者が良好な関係を回復するのには数か月の期間を要した。
1990 年代初頭以来、トルコの軍事目標が PKK のイラク拠点から攻撃を受けてからは、トルコは、北部イラクの PKK に対する国境を跨ぐ軍事作戦を数度にわたり実施している。
月曜日、アカルはバグダッドを訪問してイラク当局者と面会し、その後、アルビールへと向かった。火曜日にはそこで、クルディスタン地域政府首相マスルール・バルザニやクルディスタン地域政府大統領ネチルバン・バルザニをはじめとする、クルディスタン当局者と会談した。
アンカラは、PKK の潜伏場所を標的とするため、イラク北部の街シンジャールにおける広範囲に及ぶ攻撃を画策している。しかし、今回は単独によるのではなく三国連合による。
また、アカルとイラク当局者との会談中に問題が発生した。バグダッドは、近々シンジャールからテロリストを排除することを約束し、トルコもまた要求されればそうすることを支援する準備がある、とアカルはアナドル通信社 (Anadolu Agency) に話した。
またトルコの防衛トップは、両国は「情報を互いに交換し続け、そして情報交換に適した仕組みを作ってゆく」、とも話した。
彼はまた、PKK に関する情報交換のために想定される配備に対し、アルビールとバグダッドに感謝の意を表明した。
同国の戦略的利害を確たるものとするため、トルコは、イラク北部において、すでにある 10 ヵ所に加え、一時的な軍事拠点をさらに建設するつもりでもある。
これは、春のトルコの大規模軍事作戦の準備を意味する可能性がある、とワシントンを拠点とする中東情勢アナリスト、エレバン・サイード (Yerevan Saeed) は考える。
「現在は、天気と地勢が非常に厳しいので、どんな軍事活動もその成功は覚束ない」、と彼はアラブニュースに話した。
過去において、PKK はクルディスタン地域政府 (KRG) という支配的なクルディスタン民主党 (KDP) をしばしば非難してきた。KDP が地域における PKK の場所と動きについての諜報活動報告をアンカラと共有していたためだ。KDP は、イラク北部における PKK の存在に反対しているにもかかわらず、こうした主張を断固否定している。
KRG は両天秤の事態に面している。というのは、PKK に対する部隊に参加するよう要求するアンカラを拒否する一方、同地域におけるクルド人同士の戦いも懸案であるからだ。
PKK の加盟集団、シンジャール レジスタンス部隊 (YBS) は、 2014 年シンジャールにおいてダーシュ (Daesh) と戦闘を行ったが、この地域、とりわけシンジャール山とその周辺地域では現在も活発である。アンカラは、過去数度にわたり YBS のメンバーを標的としてきた。
ワシントンによって、PKK はテロ活動としてリストアップされているが、YBS はそうではない。
アンカラに拠点を置くシンクタンク ORSAM のイラク研究の調整役のビルゲイ・デュマン (Bilgay Duman) は、イラクにおける三国連合による軍事作戦は差し迫ったものではない、と考える。「テロ集団」の構成要因に対し、三国には相違があるためだ。
「イラクにおける、PKK の加盟集団をどのように考えるかについて、彼らには未だ相違があります。一方、現地の実情は違います。それゆえ私は、PKK の兵士が集中する区域に対するピンポイントな軍事作戦には三国が協調することを期待します。現在はそれが最良の選択肢であることでしょう」、と彼はアラブニュースに話した。
デュマンによると、バグダッドとアルビールは脅威を分類しており、彼らは、国内の安全保障上の問題を引き起こすことのない集団を標的とすることはない。
「YBS は、イランの支援を受けているハシャド・アル・シャービ (Hashd Al-Shaabi) 市民兵部隊に広範に関与しており、資金や武装を提供している」、と彼は話した。
また、ジョー・バイデン米国新政権の同地域の方針は、イラク内の動静やトルコによる潜在的な軍事作戦像に対する一決定要因である、と専門家は指摘する。
アメリカ国家安全保障会議、中東および北アフリカ調整役、ブレット・マクガーク (Brett McGurk) と同地域の地元クルド人集団との提携も、その目論みに影響を及ぼすだろう。
アンカラは、それがイラクあるいはシリアのものであれば、クルド人の関与する提携はすべて脅威と考えるにもかかわらず、マクガークは、2017 年のイラクのクルド人独立の国民投票に反対した。
「米国は現在、 PKK のことをテロ集団と見なし、PKK を排除し、代わりに地元クルド人集団を強化しようとしています。一方、PKK が、イラク北部における KDP の権力と正当性に挑み、大都市を標的とする限り、私たちは、アンカラ、バグダッド、アルビール間での取り組みがより調整されることを期待できます」、とデュマンは話した。
しかし、サイードにとっては、イラクあるいはクルド陣営が、クルド人地域でトルコの軍事作戦の一翼を担う可能性は低い。
「諜報活動の共有は、こうした協調や協力の一要素となる可能性があります」、と彼は話した。