カリフォルニア州カラバサス：ロサンゼルス・レイカーズでのバスケットボール選手としての20年間のキャリアで、NBAオールスターに18回選出、NBAチャンピオンを5回経験し、同年代のバスケットボール選手中最も偉大なプレイヤーの一人に数えられたコービー・ブライアントが26日、ヘリコプターの事故で死亡した。41歳だった。

カリフォルニア州カラバサス近くで起きたヘリコプター事故でブライアントは亡くなったと、状況に詳しい人物がAP通信に語った。この件に詳しい別の人物は、ブライアントの13歳の娘ギアナも亡くなったと認めた。

事故はロサンゼルス中心部から北西約30マイルの場所で午前10時頃に起きた。

連邦航空局の広報担当アレン・ケニザーによると、事故を起こした機体はシコルスキーS-76で、事故の原因は不明とのことだ。

ロサンゼルス郡保安官のアレックス・ヴィラヌーヴァによると、この事故でヘリコプターの乗客8人とパイロットが亡くなった。

ヴィラヌーヴァは「生存者はいませんでした……ヘリコプターに乗っていたのは9人で、パイロットと乗客8人です」と語った。

ブライアントは成人してからの生活の多くを、ロサンゼルスの南、沿岸部のオレンジカウンティで過ごしており、時間を節約したり評判の悪い南カリフォルニアの交通状況を避けるために、よくヘリコプターを使用していた。選手時代でさえ、練習や試合のためによくヘリコプターで移動しており、引退後もビジネス目的の活動でこの方法による移動を続けた。

国家安全運輸委員会（NTSB）は現地に調査員チーム（Go Team）を派遣した。NTSBは通常、調査員が知ったことについて簡単な概要を報告する仮報告を約10日以内にを発表する。推定原因は発表されないと考えられる―原因の特定には1年以上かかる可能性がある。

シコルスキーS-76は「一般的に優秀な安全記録のある優良なヘリコプターだと考えられています」とヘリコプター事故訴訟に関する教科書の著者であるカンザスシティの航空法律家ゲイリー・C・ロブは語った。「しかし、部品は故障しますし、部品は壊れます。どんなことも起こりえます」

事故は、カリフォルニア州サウザンドオークスにあるブライアントのバスケットボールトレーニング施設「マンバ・スポーツ・アカデミー」から数マイルの場所で起きた。ブライアントには妻のヴァネッサとの間に４人の娘がおり、引退後は女性のスポーツを促進させることに積極的に取り組んでいた。

コリン・ストームは「低空飛行する飛行機かヘリコプターのような音」が聞こえたとき、カラバサスにある自宅のリビングルームにいた。

「とても霧が濃くて何も見えませんでした。だけど、それからエンジンが止まりかけたような音がして、それからドカーンと音がしたのです」と彼は話した。

少ししてからやや霧が晴れ、ストームは自宅の前の山腹から煙が上っているのを見ることができた。

ブライアントはNBA歴代得点第3位で2016年に引退した。卓越した万能な試合運びと容赦ない競争倫理で得点を量産する選手として、レイカーズでの20年間を終えた。ブライアントのリーグ得点ランキング第3位の順位は、25日の夜レイカーズのレブロン・ジェームズがブライアントのホームタウンであるフィラデルフィアで行われた試合で、ブライアントの記録を抜いて3位になるまで続いていた。
ブライアントは最後のツイートで「ゲームは前進し続けている＠KingJames」と書いていた。「大いに尊敬するよ兄弟」と。

ジェームズは25日の夜、「コービー・ビーン・ブライアントとどんな会話であれ話せるのは幸せだ、これまでプレイしたバスケットボール選手史上最も偉大な一人だ。レイカーズ史上最も偉大な選手の一人だよ」と話した。

ブライアント死亡のニュースにより、スポーツ界を超えて嘆きが殺到している。ニュースが入ってきたときNBAは試合を予定通り続けたが、サンアントニオ・スパーズとトロント・ラプターズは共に、ブライアントに敬意を表し試合開始時に、彼がキャリア後半に背番号24番を着けたことから、自発的に24秒のショットクロックバイオレーションを行った。

女性のスポーツを促進させるための活動と並行して、ブライアントは引退後にプロダクション会社を開始しエンターテイメント業界に進出した。彼のバスケットボールとの関わりについての短編アニメーション『親愛なるバスケットボール（Dear Basketball）』への参加により、彼は2018年にアカデミー賞を受賞している。その他にもESPN用にコンテンツを制作した。

ブライアントは最近のNBA史において最も偉大なキャリアを持つ選手の一人であり、16回NBAチャンピオンとなったレイカーズフランチャイズの代表として、最も人気のあるバスケットボール選手の一人となった。2008年にリーグMVPを獲得し、2回NBA得点王になり、NBAオールディフェンシブチームに12回選出された。

ブライアントはシャキール・オニールとの白熱したコンビで協力してレイカーズを引っ張り、2000、2001、2002年にNBAタイトルを獲得した。後にパウ・ガソルとのコンビでさらにタイトルを2つ、2009と2010年にも獲得している。

ブライアントは2016年、NBA最終試合で60得点をあげて引退した。2017年12月、レイカーズは前例のない二重の名誉として、永久欠番するブライアントの8番と24番のジャージのバナーをステイプルズセンターのラフターに掲げた。

ブライアントはNBAの現世代の選手らの上に大きくそびえ立っている。ジェームズは25日にブライアントの記録を抜いた後、子供の頃バスケットボールキャンプにスーパースターのブライアントが来たときに、彼の話を聞いたことを思い出した。

「彼が言ったことを一つ覚えているよ。こう言ったんだ、もしバスケットボールで成功したり、偉大な選手の一人になりたかったら、練習しなくてはだめだ」と、ジェームズはブライアントのキャリア得点を抜いた後で話した。「練習に代わるものはないんだ」

ジェームズは後に、2008年北京オリンピック米国チームでブライアントとチームメイトになっている。

ジェームズはこう話した「彼のオフェンスに欠点はゼロだった。ゼロだ。彼から下がれば、彼に3点シュートを入れられた。ちょっと彼にボディアップされれば、彼に回り込まれた。ミッドレンジからシュートを打てた。ポストプレーができた。フリースローを成功させた……スキルと仕事倫理のおかげで、彼のオフェンスは本当に不死身だったよ」。

ブライアントは成人してからの全人生を、バスケットボールのスーパースターとして過ごした。父親の元NBA選手ジョー・”ジェリービーン”・ブライアントがプロ選手としてプレーしていたイタリアで子供時代の一時期を過ごしてから、彼は1996年に高校からダイレクトでドラフトでNBAに入った。

シャーロットが彼をドラフトしたすぐ後に、レイカーズが17歳のブライアントをトレードで獲得してから、彼はオニールと共にすぐに最もエキサイティングで興味をかきたてるバスケットボール選手の一人となった。オニールはフリーエージェントでレイカーズと契約していた。ブライアントはスラムダンクコンテストで新進ルーキーとして優勝し、レイカーズは次第に伸びて3回連続でチャンピオンチームになった。

2008年にブライアントとガソルは別のチャンピオンチームとしての核となり、NBAファイナルに3回連続で進み、最終的にタイトルをさらに2回獲得することとなった。

これらの連続タイトル獲得の間に、ブライアントは数え切れないほどの偉業を成し遂げている。その中には2006年1月にトロントと対戦した試合での81得点が含まれる。ブライアントのNBAでのファイナルシーズンは怪我に悩まされたが、それでもユタと対戦した試合での驚くべき60得点を記録して引退している。

2003年、ブライアントはコロラド州のリゾートで19歳の従業員を襲ったとして告発されている。彼は合意の上で性交したと話していた。検察は後に原告の求めに応じて、ブライアントに対する性的暴行の重罪告訴を取り下げた。

AP