
ドバイ―国連人権事務所は29日、28回にも及ぶとされるイランでの大量の死刑執行を非難した。被執行者の中には、数人の少数民族の囚人も含まれている。同事務所はイラン政府に対し、バローチ人男性1人の絞首刑を中止するよう求めた。
イランは人権に対する経歴や大量の死刑執行について、国連や西側諸国の人権団体からの批判に頻繁にさらされてきた。アムネスティ・インターナショナルによると、その死刑執行数は、世界でも中国に次いで多い。イラン政府はこうした批判を、根拠がなく、イランの法律への理解を欠いているとして一蹴してきた。
「我々はイランの一連の死刑執行を非難する。その数は12月中旬以降、少なくとも28回に及んでいる。被執行者の中には、少数民族の人も含まれている」。国連人権事務所はツイッターでこのように述べた。
「我々は当局に対し、執行時期が迫っているジャビド・デフガンさんの処刑を即時中止するとともに、彼やその他の人の死刑事案について、人権関連法に照らして再考するよう促している」。同事務所はこう付言した。
29日に出されたこの国連の声明に対し、イランからの正式な反応はなかった。29日(金)はイランでは週末にあたる。
アムネスティ・インターナショナルによると、デフガンさんは「極めて不公正な裁判を経て」死刑を宣告された。訴因は、武装集団に所属し、イスラム革命防衛隊のメンバー2人を待ち伏せ攻撃して殺害したというものだった。
「裁判所は、拷問にかけた上での“自白”に頼って判決を下しており、革命防衛隊のエージェントと検察当局による取り調べ中の重大な手続きの乱用を無視したものだ」。アムネスティはこのように述べた。
イランのスィースターン・バルーチェスターン地方は、世界最大のアヘンの産地であるアフガニスタンとパキスタンの国境地帯にある。この地域は長年、薬物の密輸集団や分離独立派戦闘員が引き起こす混乱に苛まれてきた。この地域の住民のほとんどはスンニ派のイスラム教徒だが、イラン人はシーア派教徒が大多数を占める。
国営メディアは28日、イラン系アラブ人が多く住むフーゼスターン南西部で、ダーシュのイラン人メンバーが、バスィージ民兵組織の民兵2人を殺害した攻撃に加わったとして処刑されたと伝えた。
ロイター