• トリポリ出身のナジブ・ミカティ元首相は金曜日、「48時間以内にトリポリの状況を統制するよう」軍に促した

ナジア・フサリ

ベイルート：トリポリ市内でデモ活動に伴う暴動が何日も続き、木曜夜には市の建物が焼き払われる事態となり、レバノンの国民や政治家たちはショックを受けている。それでも政治家たちには依然として、新内閣の樹立に向けて協力しようとの姿勢が見られない。

木曜夜に暴動はエスカレートし、催涙ガス、ゴム弾、実弾を発砲する治安部隊に対して、デモ隊は火炎瓶、手りゅう弾、投石などで攻撃した。

金曜朝にトリポリの住民たちが目覚めると、そこには夜間の衝突による破壊があった。レバノン軍司令官は、「3人を逮捕した。1人はシリア人で、破壊行為に加わり火を放った。残る2人は、暴動に加わり民間防衛隊の消防士たちが建物へ到着するのを妨害した容疑による」と発表した。

デモ隊は、影響を被る人々への補償のない国内のロックダウンが延長されたことに対して、日曜日から街頭で抗議活動をしている。

トリポリは75万人以上の人口を有するが、そのうち23％の人々が1日当たり2ドル以下で暮らしている。

これらの暴動が、軍隊との衝突を伴って他の都市にも波及するのではとの懸念が広がっている。すでにトリポリでは男性1人が殺害され、抗議者と国内治安部隊員の双方に何十人という負傷者が発生している。

木曜日、街に軍を配備したことを糾弾する座り込みデモが起き、それに続いて、オスマン帝国時代の市の建築物が襲撃と略奪を受けて燃やされた。

トリポリのリアド・ヤマク市長は、「暴動の背後にいるのはトリポリ外部の者たちだ」と述べている。

治安部隊のある関係者は、「治安部隊は建物に手りゅう弾を投げた者たちの写真を持っているが、彼らはある政党の者たちだ」と述べた。

トリポリのある政治家は、アラブニュースに対して次のように語った。「この事態を軍に押し付けようとする動きがあるが、それは大きな間違いだ。街頭の抗議者たちは貧しい界隈の人々であり、学校にも行っておらず、職もなく、彼らの暴動が政治的な動機にしても自然発生的なものにしても、それをコントロールすることはできない。このような極度に貧しい地区はトリポリにしか存在しないため、ここで起きたことがレバノンの他の都市でも起きるということはないだろう」

この関係者は匿名を希望しながら、「木曜夜に起きたことは、この先、暴力を伴わずに抗議者たちを阻止・鎮圧すべく治安部隊が厳格な措置をとれば回避可能であり、起訴を恐れて暴動は止まるだろう」と述べた。

今回のトリポリの暴動と時を同じくして、レバノンは、国の社会的セーフティーネットへの資金として、世界銀行から2億4600万ドルの融資を受ける契約を結んだ。政府はこれを法令草案にして議会にかけることになる。

トリポリ出身のナジブ・ミカティ元首相は金曜日、軍に対して「48時間以内にトリポリの状況を統制するように。さもなくば我々は非常に危険なところに行き着くだろう」と要請した。

首相に指名されたサード・ハリリ氏は、今回の事件を「組織的犯罪」と表現し、「街の安定を危機に陥れ、施設を焼き、通りを占拠する企てを起こした者たちは、一人残らずこれらの事件に責任を負うべきだ」と述べた。

ハリリ首相は、街を焼いた者たちは「この街の者ではない犯罪者」であると付け加えた。

「なぜ軍は木曜の夜、じっとしたまま、市庁舎が燃えているのに何もしなかったのか。軍がトリポリを守るのでなければ、いったい誰が守るのか」と彼は問いかけた。

しかしハリリ首相は、以前の社会不安事件で過激派が市内に侵入したとされる「昔のカンダハルのような筋立て」との考えを受け入れることは拒否した。

「もし過激派が街へ侵入する計画があったとして、誰がその門戸を開けているのか」と彼は述べた。