
テヘラン:イランの情報相は西側諸国に対し、テヘランへの厳しい国際的制裁措置が続けば同国は核兵器開発を進める旨警告したと9日(火曜)国営テレビが報じた。
マフムード・アラヴィ情報相の発言は、イランが核開発計画について方針を転換する可能性を明言したものとして異例といえる。イランは長らく、核開発計画はあくまで平和目的のものと主張してきた。
イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師が1990年代に発令したファトワー(布告)では、核兵器を禁止している。
「我が国の核計画は平和的なものであり、最高指導者によるファトワーでも核兵器は禁じられているが、各国がイランに圧力をかけるならば、責任はイランではなくそれらの国のものとなる」とアラヴィが発言したと報じられた。
しかし、イランは「現在の状況の下では」核兵器に向けて進む計画はないとアラヴィは付け加えた。
イランの国家としてのすべての事柄について最終決定権を持つ81歳のハメネイ師は7日(日)、米国に対し、2015年の核合意の決定事項をイランに遵守を求めるならばすべての制裁措置を解除せよと求めた。しかしジョー・バイデン米大統領は、米国が先に動くことはないと言明した。
昨年12月にイランの核兵開発計画を主導したとされるイラン人科学者が暗殺されたことを受け、イラン議会は今月下旬予定の海外からの核査察を阻止するための法案を承認した。これは核合意の重大な違反となる。
アラヴィ情報相は、イラン軍の隊員が暗殺を手助けしたとも発言したと報じられている。イランはイスラエルが暗殺に関与していると疑い、非難している。
アラヴィは発言についてそれ以上の言及を避けており、科学者モーセン・ファクリザデが死亡した爆発事件が軍の隊員により実行されたものかどうかは不明である。過去10年間にわたりイラン人核科学者らを暗殺してきたと指摘されるイスラエルは、攻撃に関するコメントを拒否し続けている。
この発言は、軍の隊員がファクリザデ暗殺に加担した可能性についてイランが初めて言及したものとなる。ファクリザデはイランのいわゆるAMAD計画の主導者であり、イスラエルと西側諸国は同計画についてイランが核兵器開発の実現可能性を検証するための軍事活動であるものと非難している。
国連の核の番人の役割を担う国際原子力機関(IAEA)によると、同計画は「組織的計画」としては2003年に終了しているという。米国の諜報機関も2007年の報告書で同じ意見を表明している。
しかし、イスラエルはイランの弾道ミサイル計画やその他の技術研究を指摘し、イランが現在も核兵器開発に関心を持っていると主張する。
イランのハッサン・ロウハニ大統領は昨年12月、イランはファクリザデ暗殺に対する報復の時間と場所を決めるばかりだとして、復讐の決意を表明している。
イランに「最大限の圧力」をかけるとしたドナルド・トランプ前大統領の政策に対し、イランは核合意の下での約束を徐々に破り始め、同国の立場を強め、またトランプの方針から離れる姿勢を見せるバイデン大統領に合意に復帰を迫る狙いで、さらなる挑発的な態度に出た。
イランはこれらの道筋の一部として核兵器レベルの濃縮度のウラン製造に着手し、核弾頭の主要部品となる金属ウランの実験を始めると表明した。イランはすべての合意違反は容易に撤回可能であると主張している。
AP