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ICCはイスラエルの戦争犯罪を調査しなければならない、と人権団体が主張

米国やイスラエルなど40カ国以上が、イスラエルの軍事政策の調査を理由に参加を拒否したり、ICCの権威を認めなかったりしている。(AFP/資料写真)
米国やイスラエルなど40カ国以上が、イスラエルの軍事政策の調査を理由に参加を拒否したり、ICCの権威を認めなかったりしている。(AFP/資料写真)
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26 Feb 2021 08:02:13 GMT9
26 Feb 2021 08:02:13 GMT9
  • トランプ氏による制裁の後、米国は2022年に人権理事会の理事国になろうとしている

レイ・ハナニア

主要な人権擁護団体を代表する当局者らは25日、イスラエルがパレスチナ人に対して行った戦争犯罪の調査が必要だと主張し、ジョー・バイデン米大統領に対し、前大統領が国際刑事裁判所(ICC)当局者らに課した制裁を解除するよう要請した。

ICCは、1998年に国連が作成したローマ規程の原則と、ナチスの戦争犯罪を起訴した、第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判で作られた判例に基づき、2002年に作られた。

ICCには123カ国が加盟しているが、初めからローマ規程を支持していた、米国やイスラエルなど40カ国以上が、イスラエルの軍事政策の調査を理由に参加を拒否したり、ICCの権威を認めなかったりしている。

「憲法権利センター」の上級専属弁護士Katherine Gallagher氏と他の世界中の人権活動家らは25日、ウェビナーのパネルディスカッションに参加した。このフォーラムは、中東平和財団と同財団のLara Friedman会長が主催した。

「我々が(24日に)ジュネーブで開かれた国連人権理事会で見たのは、米国による復帰の意向の表明だ」と、ラマラに拠点を置くパレスチナの人権団体アルハクの法律研究者Michael Kearney博士は話した。

「だがそれは、パレスチナを人権理事会の議題から外すことを条件にしている。米国の復帰が何に基づいているかに我々は注意しなければならない」

米国のドナルド・トランプ前大統領は2018年に人権理事会から離脱した。バイデン政権のブリンケン国務長官は24日、ジュネーブで開かれた人権理事会で、米国は2022年に人権理事会の理事国に立候補すると述べた。ブリンケン氏は、LGBTQIの権利の保護や、人種差別との闘いとともに、シリアと北朝鮮への調査を優先すべきだと述べた。

「人権理事会は、不正や圧制と闘う人々を支援しなければならない」とブリンケン氏は述べた。

「我々は、イスラエルに対する容認できない偏見や、人権侵害国の理事国入りを認める加盟規則など、人権理事会の課題も認識している」

トランプ氏がICCに制裁を課しても、バイデン政権が複雑なサインを出しても、人権理事会はイスラエルがパレスチナで戦争犯罪を犯したという疑惑の調査をやめなかった。

2月5日、ICCの「予審裁判部」は、「ICCローマ規程の締約国であるパレスチナの状況において、ICCの領土管轄権は、1967年以降イスラエルが占領している地域、すなわち東エルサレムを含むガザ地区とヨルダン川西岸地区に及ぶ」と認定した。

この判決により、「イスラエル国防軍、イスラエル当局、ハマス、パレスチナの武装勢力のメンバー」が犯したとされる戦争犯罪を調査する道が開かれた、とFriedman氏は述べた。

パネリストらは、イスラエルがパレスチナに対し、ICCの権限下で保護されたあらゆる権利を認めない政治的方策を取っているということに同意した。

ICCは、トランプ政権、マイケル・ポンペオ前国務長官、ジョン・ボルトン元国連大使から脅されたにもかかわらず、調査を進めると決めた。トランプ氏は、ICC当局者と、ICCの調査を支援する個人や法人に制裁を課す大統領令を出した。 

イスラエル人権情報センター(ベツェレム)の研究部長Yael Stein氏は、イスラエルは、国際法のルールがイスラエル兵の行動に適用される際に混乱させるため、複雑な法制度を作ったと主張した。

「イスラエルは自ら調査すると主張している」とStein氏は述べた。「しかしイスラエルは自国に対する容疑を調査しない。イスラエルは命令を調査しない。『兵士は出された命令に従ったのか』という質問にのみ対処する」

同氏は、容疑は「重要でない申し立て」に絞られていると述べた。

「兵士が民間人を殺害した場合、殺人罪を免れるため、命令に従わなかったとして起訴される」と同氏は述べた。「(イスラエル当局は)実際に事件を調査していると主張することができる」

「イスラエル・アラブ少数民族権利法律センター(Adalah)」の創設者Hassan Jabareen氏は、これを「イスラエルの法のブラックホール」と呼んだ。

「確実に合法性が認められる、合法性のブラックホールがあり、結果として、誰も罪に問われたり責任を問われたりしない状況をイスラエルは作り出している」とJabareen氏は話した。

「イスラエルがそれをした一例は、イスラエルがガザを『敵』だと宣言した2007年だ。よって、ガザにいる全員が敵であり、たとえ誰かが不法行為で負傷したとしても、イスラエル兵は何も問われない」

ガザの犠牲者は、全員イスラエルの「敵」と定義されているため、イスラエルの法廷に訴えることを法的に認められていない、と同氏は述べた。

ICCが今月出した判決は重要であり、1967年にイスラエルに占領されたヨルダン川西岸とエルサレムにユダヤ人だけの入植地を違法に作ったことに直接適用される、とKearney氏は話した。

イスラエルは1998年にローマ規程の戦争犯罪の問題を除外しようとしており、特に入植地や住民移送を除外しようとしていた、と同氏は述べた。

イスラエルが、トランプ政権がICCに課した制裁を維持するよう働き掛けているため、バイデン氏はまだ制裁を解除していない、とGallagher氏は指摘した。

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