
クリストファー・ハミル・スチュワート
ロンドン:国連はイランの少数派に対する人権侵害を強く非難し、国内の少数派に対する「明らかに組織的な作戦行動」を糾弾した。この非難は、シースターン・バルーチェスターン州で起きた暴力と騒乱を受けて出された。
「イランでは12月以降、シースターン・バルーチェスターン州、フーゼスタン州、クルド自治区などの少数派グループを対象に、明らかに組織的な作戦行動が展開されています」と、国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレ氏は述べた。「大量逮捕や強制失踪が報告されているだけでなく、刑の執行までの過程に重大な欠陥のある死刑執行も増加しています」
「同国全土では、市民の自由や政治的・批判的表現の行使が国家安全保障法や刑事訴追、脅迫の対象となり続けています」
「私は、2018年と2019年の抗議行動の中で起きた人権侵害を含め、人権を侵害する行為の免責が続いているのを懸念しています」
フーゼスタン州のアラブ系住民とクルディスタン州のクルド系住民は、過去1週間で治安部隊との間で騒乱と暴力が勃発したシースターン・バルーチェスターン州のバルチ系住民と同様、長い間政権の支配下に置かれてきた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、イスラム革命防衛隊は月曜日、イラン・パキスタン国境の燃料密輸業者に発砲し、10人を殺害したという。この事件以来、イランでは地方政府に対する抗議と暴力がエスカレートしている。
火曜日、抗議者たちはシースターン・バルーチェスターン州の都市サラーバーンで、市の事務所を攻撃した。別の事件では、同様にサラーバーンの警察署が小型武器とグレネードランチャーで武装した何者かに攻撃された。銃撃戦となり、警官1人が死亡した。
イラン当局者は、騒乱は「制御下にある」と発表した。しかし、イラン国内の人々に接触した情報筋によると、イラン政府による州全土での取り締まりとインターネットの遮断にもかかわらず、抗議者たちは木曜日に高速道路を封鎖し、政府の建物を占拠したという。
パリを拠点とするイランの反体制グループ 「イラン国民抵抗評議会」 のメンバーであるアリ・サファヴィ氏は、同氏の情報源からの情報として、騒乱に関連した死亡者数は現在までに40人に達する可能性があるとアラブニュースに語った。
「バルチ人、クルド人、アラブ人を含むイランの少数民族は、ムッラーの差別的な政策と慣行にひどく苦しんでいます」と、同氏は述べた。
「シースターン・バルーチェスターン州のサラーバーンや他の都市での無防備な人々に対する、戦車の配備を含む野蛮な弾圧は、どの基準に照らしても人道に対する罪です」
「国際社会は直ちに、可能な限り強い言葉でこの虐殺を非難し、独立した国際調査を開始すべきです」
サファヴィ氏は、この暴動に対してEU加盟国からの反応がないことを批判した。また、イランでの深刻な人権侵害とイランと関係するテロリストがヨーロッパで活動しているにもかかわらず、EUが資金を提供するオンラインの欧州・イラン・ビジネスフォーラムが来週開催されようとしていることを強く非難した。
「EUにとっては、イランの人々の命よりも、欧州企業がひともうけすることのほうが大切なのです」と、同氏は述べた。