
Najia Houssari
べイルート:レバノンで影響力を持つマロン派キリスト教会の主導者が、国は「本格的なクーデター」の危機に直面していると警告し、「混沌、飢え、抑圧」を回避する為の国際会議開催を呼びかけた。
ビシャーラ・ブトロス・アル・ラヒ総大司教は、土曜日の何千人もの信者達に向けた感動的な演説で、「宗派に関係なく、レバノンに向けて悪を心に抱く者のために超えてはならない一線の線引きをしている」と述べた。
同氏の発言はイランから支援を受けるヒズボラと、自由愛国運動(FPM)とその創設者であるミシェル・アウン大統領を仄めかす言及だと幅広く受け取られた。
「私たちは本格的なクーデターの企てに直面しています、」と同氏のレバノンを救う為の国連による国際会議開催の要求を支持するべく、ブケルケにある教会本部を訪れたレバノン人達に向けてアル・ラヒ氏が語った。
総大司教の演説に反応して、人々は「ヒズボラはテロリスト」、「イランから出ていけ」、そして「去れ、ミシェル・アウン」と唱えた。
「革命!革命!」という叫びも聞かれた。
コロナウイルスのパンデミックの最中で集会を制限する措置があるにもかかわらず、ブケルケでの集会はそのまま進められ、一部の傍観者達はこれがレバノンの政治における膠着状態の終わりに向けた前兆となる可能性があると示した。
私達はレバノン軍を支持し、レバノン唯一の擁護者にしたいと考えます。
総大司教ビシャーラ・ブトロス・アル・ラヒ氏
提携先のウェブサイトでは、集会が「政党に対して利用される」ことを恐れて、ジブラーン・バシール氏率いるFPMは出席しなかった、と記している。
ブケルケの情報元はアラブニュースに対し、アル・ラヒ氏が声を上げようと決めたのは、アウン氏と首相に指名されたサード・ハリーリー氏を和解させようと努めた事を含む一連の取り組みが失敗に続き「レバノンが実存的な脅威に直面しているから」であると伝えた。
ブケルケ教会のドームに広げられた旗には「中立性、主権、安定性」、「まず第一にレバノン、最後にもレバノン」、「レバノン全体の為のブケルケ」と書かれていた。
アル・ラヒ氏は演説の初めに「活発で、前向きで、主権を有し、独立していて、自由で強力な、単一かつ統一された中立なレバノンが末長く続きますように」と述べた。
彼はこう言った。「その他全ての解決策が行き詰まり、私達の国の運命について合意することも、祖国の問題について話し合うこともできていないからこそ、私達は今国際会議を求めているのです。 私達はレバノン内で解決方法を見出す事を支持しています」
さらに彼は「国を飢えと抑圧で破滅させてしまうというのは、どのような形であっても受け入れられる事ではありません。提案された解決策を拒む事は、混乱を招き、権力の方策を取り上げる事を意味します」と付け加えた。
アル・ラヒ氏は、その中立性を守る事で「もうレバノンは紛争と戦争の犠牲者や、分断された国ではない」とし、国際会議の開催を呼びかけた。
彼はまた「私たちは行政の権限がレバノンの領土全体に広がる事を望んでいるのです。私達はレバノン軍を支持し、レバノン唯一の擁護者にしたいと考えています」と加えた。
アル・ラヒ氏は国連主催の会議も「レバノンでのパレスチナ人難民の再定着化を防止して、シリア人難民達の祖国への安全な帰還を約束する」計画に同意するべきだと述べた。彼は「私たちは軍隊や収容所を望んでいませんし、だからといってレバノンを弱体化させたくは無いのです」と言った。
「レバノンの国境は改正の対象ではないですし、キリスト教徒とイスラム教徒の相互関係に触れてはなりません、そして民主主義は反対する対象ではありません」
総大司教は抗議者達に「汚職を前にして黙ったままでいてはなりません。あなたのお金が盗まれたり、国境が流動的であったり、政治家たちの失敗や、ベイルート港爆発の調査における混乱、さらに無実の者の投獄を許してはなりません」と言って、声を上げ続けるように呼びかけた。
「政府の形成と改革実施の失敗を許してはなりません」
その多くが異なる宗派からなる集会の参加者達は、アル・ラヒ氏が最後の希望だとアラブニュースに語った。
「崩れ行く国を気に留めている政治家はいません。私達は政治家たちに見放されたのです、」と一人は言った。50代のイスラム教徒の女性は「これは私達の声を挙げる機会です。総大司教の姿勢は愛国的です、彼は歴史に残ることでしょう。この国は崩れていっています」と語った。
40代の男性は「人々が飢えと失望で苦しんでいると言いにブケルケに来た、もう他には失うものが無い」と言った。
教会本部への道には国内治安部隊の隊員達が配置され、広場に入る者達は検査された。
集会前にヒズボラとFPMの支持者達はこの催しに反対するツイートを共有するのに、ソーシャルメディアを利用した。