Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • トルコとイラン、イラクでの作戦をめぐって対立

トルコとイラン、イラクでの作戦をめぐって対立

トルコは何十年もの間、イラク領土の奥深くにいくつかの軍事前哨基地を配置してきた。(ロイター通信/資料)
トルコは何十年もの間、イラク領土の奥深くにいくつかの軍事前哨基地を配置してきた。(ロイター通信/資料)
Short Url:
01 Mar 2021 05:03:43 GMT9
01 Mar 2021 05:03:43 GMT9
  • 言葉による緊張は激化する。しかし直接または代理勢力を用いた紛争の可能性は非常に低い – オックスフォード大学の研究者

Menekse Tokyay

アンカラ:トルコ政府とイラン政府の間の外交危機はイラジ・マスジェデ駐バグダッド・イラン大使が行った最新の声明を受けて激化している。同大使はトルコによるイラクでの軍事介入に反対を繰り返した。これは地域におけるトルコとイランのより幅広いライバル関係を強調する新しい動きとなっている。

「トルコ軍はイラクの領土に脅威をもたらすべきではないし、イラクの領土を侵害してはならない」とマスジェデ氏は日曜日に主張した。

「我々は、トルコであろうと他の国であろうと、イラクに軍事的に介入したり、進軍したり、イラクに軍事的プレゼンスを持つことを全く受け入れない」とマスジェデ氏は述べ、トルコ政府にイラクから軍隊を撤退させ、国境を尊重するように呼びかけた。

「イラク地域の治安は、イラク軍と(クルディスタン)地域の部隊によって維持されるべきだ」とマスジェデ氏は述べた。

トルコは非合法化されたクルディスタン労働者党(PKK)の存在を根絶するために、数十年にわたりイラク領土の奥深くにいくつかの軍事前哨基地を配置してきた。トルコの軍隊は空中や地上での国境を越えた作戦を実施しており、そうした活動は近年増加している。

これらの作戦は最近、トルコの部隊と航空機による領土侵犯に関してイラク政府の怒りを買っている。しかしトルコ政府はイラクのクルディスタン地域でPKKの幹部を殺害するための空爆を続けている。

PKKに長年拘束されていた13人のトルコ国民を解放するために2月19日に行われたトルコによる最新の作戦は、イラク北部のガラ山地で失敗した。

作戦中に捕虜を殺害したとしてトルコ政府がPKKを非難したのに対し、PKKは、捕虜が拘束されていた洞窟をトルコが偶発的に爆撃したと主張した。

イランの支援を受けるイラクの民兵組織で、ハシュド・アル・シャビとしても知られる人民動員隊は、この地域でのトルコの動きに対抗するためにシリア国境沿いのシンジャルに3つの大部隊を展開している。

トルコ政府はイラクでの作戦に関するイラン大使の発言を受けて、日曜日に同大使を召喚した。「トルコ政府はイランがトルコによるテロとの戦いに反対するのではなく、支援することを期待している」とトルコ外務省は同大使に伝えたと報じられている。

「イラン大使は、イラクの国境を尊重することについてトルコに説教すべき人物とは程遠い」とファティ・イルディズ駐イラク・トルコ大使は述べた。

トルコは最近、2019年11月にイスタンブールで殺されたイラン反体制派マスード・モラヴィ・バルダンジャニ氏の殺害をめぐって、イラン当局者モハマド・レザ・ナセルザデ氏を逮捕した。この動きは、トルコとイランの関係をさらに緊張させた。

ロンドンにある王立国際問題研究所の研究員ガリップ・ダライ氏は、「トルコとイランの関係はさらなる激動へ向かっている」とアラブニュースに語った。

「イラクはイランにとって中東で最も重要な国であることに変わりはない。イラク北部におけるトルコの軍事的プレゼンスと政治的影響力の増大はイランをますます不安にさせる一方、イラク中央政府はトルコによるシンジャルへのいかなる作戦も歓迎しないだろう」とダライ氏は付け加えた。
オックスフォード大学の研究者でアナリストのサミュエル・ラマニ氏によると、トルコとイランの関係は不安定であり、激化した対立と協力の局面がめまぐるしく入れ替わるという。
「現在、我々は対立の高まる局面を迎えている。トルコはイラクのPKKによる安全保障上の脅威が高まっていると見ているが、イランとイラク・クルディスタンの関係は、昨年起きたイランの最上位司令官カセム・ソレイマニ氏の死を受けて、肯定的な瞬間を迎えているからだ」とラマニ氏はアラブニュースに語った。

ラマニ氏はまた、トルコによるイラクとの2国間関与の拡大はイランの覇権主義的な願望を脅かしており、イランはイラクの主権を侵害するトルコの拡大的な軍事作戦に対するイラク政府の潜在的な不満を利用しようとしていると付け加えた。

「トルコとイランの間にはより幅広い緊張の背景がある。トルコに対抗するためにカスピ海地域でロシアとイランの関係が拡大しており、トルコ政府はイランのスパイという疑惑のある人物を逮捕している。そしてシリア北部の状況、特にアインイーサをめぐって両国の意見が食い違っている」とラマニ氏は述べた。

ラマニ氏は、より幅広い緊張状態を考えるとトルコとイランがトルコ政府による反PKK作戦の正当性とイラクでのイランによる干渉の正当性について言葉による戦争を続けるが、イランとトルコの軍隊やイラク国内の協力者との間で直接的な衝突が起きることは考えにくいと予想している。

しかしダライ氏は、米国が支援してトルコがシンジャルへの作戦を行う可能性は高いと予想している。ダライ氏は、現在進行中のハシュド・アル・シャビとトルコ政府の間の危機が激化すればイランがこの地域の状況に巻き込まれる可能性が高いと述べた。

「ハシュド・アル・シャビはこの地域のPKKを援護する一方、ハシュド・アル・シャビと協力するヤズディ教徒の民兵組織シンジャル抵抗隊の存在は、宗教的少数派ヤズディ教徒を国際社会が認識するきっかけとなる可能性がある」とダライ氏は述べた。

特に人気
オススメ

return to top

<